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雨が降ったら手で溝を掘って使うってマジ!? 価格は1本約7万円!  意外と知らない全日本ラリーのタイヤ事情

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雨が降ったら手で溝を掘って使うってマジ!? 価格は1本約7万円!  意外と知らない全日本ラリーのタイヤ事情

 この記事をまとめると

■全日本ラリー選手権・第3戦「久万高原ラリー」が4月26~28日に開催された

【今さら聞けない】タイヤの溝に挟まった小石は取るべき?

■デイ1とデイ2でまったく異なる天候となり、タイヤの選択が難しかった

■全日本ラリー選手権ではどんなタイヤが使用されているのかをチーム関係者に聞いた

 全日本ラリー選手権のタイヤ事情を直撃

 2024年の全日本ラリー選手権・第3戦「久万高原ラリー」が4月26~28日、愛媛県久万高原町を舞台に開催された。シュコダ・ファビアR5を駆る新井大輝選手、トヨタGRヤリスRally2を駆る奴田原文雄選手、スバルWRXを駆る鎌田卓麻選手など、トップドライバーが脱落するサバイバル戦となるなか、勝田範彦選手がGRヤリスRally2を武器に、今季2勝目を獲得した。

 それにしても、今年の久万高原ラリーは、レグ1は雨/ウエット、レグ2は晴れのち曇り/ウエットおよびドライというコンディションとなったことから、タイヤ選択の難しい一戦となったのだが、そもそも全日本ラリー選手権の最高峰クラス、JN1クラスではどのようなタイヤが使用されているのか?

 というわけで、ここで全日本ラリー選手権のタイヤ事情をクローズアップしたい。

 ご存知のとおり、JN1クラスには純レーシングカーとして開発された国際規定の「Rally2」と、足まわりの構造変更や材質置換による軽量化などの大幅な改造を認めた国内規定の「JP4」の2種類のマシンが参戦しているが、使用されているタイヤはいずれもFIAの登録タイヤを採用。

 2024年はヨコハマ、ダンロップ、ミシュランの3メーカーがJN1クラスにタイヤを供給しているが、ターマックにおけるリム幅は「8J」、外径は「650以下」と規定されていることから、いずれも210/650R18、わかりやすく表記すれば235/40R18とモータースポーツユースとしてはやや小さいタイヤが装着されている。

 各メーカーのFIA登録タイヤをチェックしてみると、ヨコハマのターマック用タイヤが「A051T」で、SS(スーパーソフト)、S(ソフト)、M(ミディアム)と3つのコンパウンドをラインアップ。JN1クラスでは事前に申請すればタイヤの「ハンドカット」が認められていることから、ウエット路面ではSSに排水パターンを自作して対応しているようだ。

 ちなみにこのA051T、自動車用品店などで見かけることはほとんどないが、扱いとしてはレース用のスリックタイヤと同じで、ヨコハマの取り扱いショップに注文すれば購入可能である。ただし、1本約7万円とかなりの高級タイヤで、それだけでもいかにJN1クラスへ参戦することが大変なのかがうかえる。

 タイヤ選択に注目して全日本ラリーを観戦するのもおもしろい

 また、ダンロップのFIA登録ターマック用タイヤは「ディレッザ301R」と「ディレッザ201R」の2種類で、301Rがドライ用、201Rがウエット用としてラインアップ。

 一方、ミシュランのFIA登録ターマックタイヤ「パイロットスポーツ」もドライ/ウエットがラインアップされているようで、ドライには数種類のコンパウンドが設定されているようだ。

 いずれもピーク時のグリップは低いようだが、安定性が高くなっているようで、GRヤリスRally2にヨコハマのA051Tを装着する奴田原選手は「耐パンク性が強くて長い走行距離も走れる。それにグリップが安定して継続していることが最大の特徴です。ウエットではSSのコンパウンドで対応していますが、大雨が降ればハンドカットが有効になってきます」とのこと。

 一方、スバルWRXに301R/201Rを装着する鎌田選手は「いままでの国内ラリータイヤはグリップを上げてコーナリングスピードを高くする方向でしたが、FIAの登録タイヤはタイヤ幅が狭いので、四輪をうまく使ってコーナリングするようなタイヤになってきました。ピークのグリップは低いけれど、早めに向きを変えて立ち上がるようなドライビングで対応しています」と語る。

 さらにシュコダ・ファビアR5にパイロットスポーツを装着する福永修選手によれば「しっかりしたタイヤでコントロールがしやすい。ライフが長いのでロングステージを走っても安定しています」とのことだ。

 1大会に使用できるタイヤ本数は10本で、いかにタイヤをマネジメントするかが勝敗の鍵を握る。今大会のようにレグ1がフルウエット、レグ2がドライ主体となるとタイヤ選択が難しく、しかも、タイヤメーカーによって特性が異なることから、時としてタイヤ選択が明暗を左右することになる。

 ちなみに、JN2クラス以下はいわゆるタテ溝が2本入った公道走行が可能なタイヤが使用されており、ワンメイクレースなどで使用されているハイグリップラジアルタイヤの装着も可能だ。

 ヨコハマユーザーの多くは「A08B」を採用しており、ダンロップユーザーはJN1と同様に301R/201Rを採用。なお、JN2クラスのサブカテゴリーとして新設されている若手ドライバーの発掘・育成クラス「MORIZO Challenge Cup」はダンロップのワンメイクコントロールが実施されており、301R/201Rよりもコストが安価でライフが長く、性能変化の少ない「Z3」がオフィシャルタイヤとして採用されている。

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みんなのコメント

4件
  • お前はアホか
    少年マンガで、雨が降ってきたけどレインタイヤを持っていなかった主人公が、車体をジャッキアップしてスリックタイヤを彫刻刀で削って溝を付け、その状態で走るシーンがあった。
    まさかと笑っていたが、本当とは!
  • kaz********
    グルービングですね、専用の工具で熱でゴムを溶かしながら削いでいく地道な作業、WRCではグループBの頃から行われて居た様な気がします。
    大型トラックのタイヤでも行われて居て、タイヤメーカーがグルーブの深さを指定して居ます。当然深く掘りすぎるとワイヤー迄到達してしまうので、専門知識のある人が行わないと、使い物にならなくしてしまいます。ミシュランは昔から取り入れて居た手法だったと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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