トヨタ クラウンはトヨタを代表する高級乗用車です。1955年にデビューした初代モデルが日本初の純国産設計の自動車であったことから、日本を代表する自動車とも言われる1台です。長らくトヨタの量販車の最上級モデルとして頂点に君臨し、いまだに憧れの的となっています。
高級車としてのみならず、初代モデルのデビューから現行最新型まで60年以上受け継がれ、16代を重ねる息の長さ、乗用車から公用車や社用車、あるいはタクシーなどの業務用車やパトカーのような特殊車両にまで使用される用途幅の広さなど、まさにあらゆる面で突出した国産車と言えます。
イエロー・ボディにレッドのロゴが映え! 世界最大の国際輸送物流会社が絶賛使用中の小型トラックとは? トミカ × リアルカー オールカタログ / No.109 DHLトラック
トヨタ S200系 クラウン ロイヤルサルーン 実車フロントビュー(2008年モデル)*『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません。トヨタ S200系 クラウン ロイヤルサルーン 実車リヤビュー(2008年モデル)*『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません。『トミカ』のNo.110『トヨタ クラウン パトロールカー』は、そのデザインから、現在まで16代続いているクラウンのうち13代目にあたる、2008年にデビューしたS200系をベースとしたパトロールカー(以下、パトカー)をモデル化しています。『トミカ』のNo.110にパトカーが選ばれているのは、やはり“110番”との関連からでしょうか?
S200系クラウンのコクピット。横基調に広がりのあるインストルメントパネルや、縦方向の流れを強調したセンタークラスターにより、開放感にあふれ、ドライビングプレジャーを高める空間が創出されている。ウッドパネルを使っている部分の一部がパトカーではツヤ消し黒のパネルに、シフトレバーのパネルがシルバー加飾のものになっているようだ。さて、この13代目クラウンは「安心」、「信頼」といったクラウン伝統の資質を受け継ぎながら、先進の技術を積極的に取り入れ、世界基準の性能を確保しつつ、日本人の感性と調和する魅力を備えた高級セダンを目指して開発され、「超えてゆく、ブランド。」がキャッチフレーズでした。具体的には、優れた走行性能と環境性能を両立するハイブリッドシステムを搭載し、卓越した燃費性能を実現したモデルを用意していました。また、“ロイヤル”シリーズ、“アスリート”シリーズ、ハイブリッド全車に高い車両安定性と予防安全性能を確保する『VDIM(=Vehicle Dynamics Integrated Management/統合車両姿勢安定制御システム)』を採用したほか、ドライバーの眼の開閉状態検知により一層の衝突被害低減を目指した、世界初の『進化したドライバーモニター付プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)』を設定していました。
室内は広くゆったりしており、「さすがはクラウン」だと思わせる。パトカー仕様でもこの美点は変わらないが、むしろゆとり部分は機材の搭載スペースなど実用性にあてられている。さらに、カーナビゲーションの地図情報に基づき、ドライバーに一時停止情報を案内後に注意を喚起、その後の急ブレーキ操作に対する減速を支援する世界初の『ナビ・ブレーキアシスト』をはじめ、高速道路での合流・退出時のシフト制御を行なうなどの高度な運転支援、また、ナビゲーションからの道路コーナー情報と路面段差学習情報に基づいて、ショックアブソーバーの減衰力を最適に制御することで、操縦性・走行安定性と乗り心地をより高める『NAVI・AI-AVS』を設定するなど、世界トップレベルの安全性能と車両安置性を打ち出していました。
警ら用パトカーにも搭載される2.5ℓ・V型6気筒の4GR-FSE型エンジン。市販車用はプレミアム・ガソリン仕様だが、パトカー要はレギュラー・ガソリン仕様になっている。画像は市販車用。ハイブリッド車には、4.5ℓ車クラスの動力性能と2.0ℓ車クラスの低燃費を両立するFR専用2段変速式リダクション機構付のハイブリッドシステムを搭載し、環境に配慮しながら、パワフルで滑らかな加速感を提供し、“ロイヤル”および“アスリート”シリーズでは、高性能V6・3.5ℓ、3.0ℓ、2.5ℓエンジンと、駆動力統合制御システム(DRAMS)を備えた『6 Super ECT』を組み合わせ、滑らかで力強い走りを実現。また、基本性能を引き出す電子制御システムの基盤となる電子プラットフォームを一新し、処理能力や通信容量を向上することで、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどの情報の統合制御をより高次元で実現していました。
トヨタの世界初の高級セダン型燃料電池車『MIRAI』(2代目/JPD20型)と並ぶ愛知県警の200系クラウン・パトカー。画像は環境イベントでの一コマ。『MIRAI』のデザインラインが16代目のSH35型クラウンとも似るため、将来のパトカーへの期待も高まる。(PHOTO:愛知県警)さて、日本の警察が使用するパトカーは緊急自動車指定を受けた警察車両で、“制服パトカー”と通称される白黒ツートーンカラーの車体に赤色灯を屋根上に装備した車両と、必要な時にだけ赤色灯を掲示し隠密活動を行なう“覆面パトカー”に大別されます。さらにこれらは、主に犯罪や事故の未然防止のため、あるいは通報時に現場へ素早く到着するために町中を巡回する“機動警ら”活動に用いられる“警ら用パトカー”と、高速道路交通警察隊や交通機動隊などの交通警察でもっぱら交通取締に用いられる“交通取締用パトカー”に分けられます。なお、刑事警察官が乗務して捜査活動に用いられる“覆面パトカー”もパトカーの一種ですが、これらは特に“捜査用車”と呼ばれます。
2023年2月現在、No.120までの通常の『トミカ』シリーズには、このNo.110を含めて4車種の“制服パトカー”がラインアップされていますが、意外なことに町でよく見かける“警ら用パトカー”をモデル化していると思われるのは、実はこのNo.110だけで、あとは高速隊専用の“交通取締用パトカー”になるようです。その意味で貴重な存在です。また、トヨタ・クラウンの『トミカ』も現在、このNo.110も含めて3台がラインアップされており、それぞれモデル化されている世代が異なるので、コレクションしてみるのも面白いでしょう。
ちなみに“警ら用”と“交通取締用”の識別の手掛かりは赤色灯です。パトカーの赤色灯は屋根の上に直接取り付けられているものと、遠くからでも赤色灯がわかるよう、駐・停車時には赤色灯を高く持ち上げる昇降機の上に取り付けられているものがあります。この昇降機付き赤色灯は一般に“警ら用パトカー”の装備で、高速走行する“交通取締用パトカー”では昇降機が空気抵抗になってしまうため、基本的には取り付けないそうです。そんなところからNo.110が“警ら用パトカー”ではないかと推測できるというわけです。ただしこれは確実な見分け方というわけではなく、S200系クラウンの“交通取締用パトカー”も存在しますし、昇降機を装備していない仕様の警ら用も存在します。
茨城県警のS200系クラウンのパトカー。交通取締仕様のようだ。(PHOTO:茨城県警)パトカーは公用車であり、国費あるいは都道府県費で購入されるため、いつごろから配属されたかが調べられるのですが、『No.110 トヨタ クラウン パトロールカー』のモデルとなっているS200系クラウンのパトカーは2010年度から配備が開始されたようです。エンジンは警ら用が2.5ℓ・V型6気筒の4GR-FSE型ですが、レギュラー・ガソリン仕様。交通取締用が3.0ℓの3GR-FSE型。トランスミッションは全車6速AT(シーケンシャルシフトマチック)です。また、全車アルミホイール装備で、警ら用が16インチ、交通取締用が17インチのようです。しかしながら『トミカ』のホイールは共通化されていますから、残念ながら識別の手掛かりにはなりません。
ちなみにパトカーの前面に装着されているマークを旭日章(あるいは日章、警察章)と言います。警察のマークとしては1875年(明治8年)に「円形万筋彫込(えんけいまんすじほりこみ)」と呼ばれるものが採用され、1882年(明治15年)には六角形の旭日章となりました。そして第二次世界大戦後の1948年(昭和23年)に、現在の五角形のものとなっています。なお、法律上では“日章”と呼ばれ、「東天に昇る、かげりのない、朝日の清らかな光」を意味するのだそうです。
『トミカ』の『No.110 トヨタ クラウン パトロールカー』は、町でよく見かけるパトカーの特徴を余すところなく再現した、よくできた1台です。ぜひあなたのコレクションにも加えてみてはいかがでしょうか?
■トヨタ GRS200型 クラウン 2.5 V6-D4 ロイヤルサルーン 主要諸元(『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)
全長×全幅×全高(mm):4870×1795×1470
ホイールベース(mm):2850
トレッド(前後・mm) :1535
車両重量(kg):1590
エンジン型式:4GR-FSE型 V型6気筒DOHC
排気量(cc):2499
最高出力:158kW(215ps)/6400rpm
最大トルク:260Nm(26.5kgm)/3800rpm
トランスミッション:6速AT(6 Super ECT)
サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後) :ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ:(前) 215/55R17 93V
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みんなのコメント
まぁ、子どもたちにとってはどうでもいい話だと思うが。