クルマ購入において、ボディカラーの選択はとても重要だ。ユーザーがそれぞれ自分の好みで気に入った色を選ぶわけだが、最近は魅力的なボディカラーが多くて悩みどころとなる。
そこで本稿では、クルマのボディカラーが見る人に与える心理的な影響など、ボディカラーにまつわる気になる話題をお届けしよう。
速そうに見える? あおられやすい!? ボディカラーが人に与える気になる影響
文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、フォッケウルフ
■クルマ購入時の選択肢のひとつとして
クルマを購入するにあたり、メーカー、車種、グレード、オプションや装備などなど、購入者はさまざまな選択を下すことになる。ボディカラーもそのひとつで、車種ごとに設定されたカラーラインナップのなかから、自分好みの1色を選ぶことになる。
ボディカラーを選ぶ時のポイントとしては、やはり自身の好みが最も重要となるが、周囲からの見られ方、つまり人に与える印象も重要となる。さらに、キズや汚れが目立ちにくいかどうか、売却時に有利に働くかといったことなども影響し、検討するための材料となる。
とはいえ、今どきは塗装技術も発達し、カラーバリエーションも実に多彩になった。さらに、塗装の処理方法の進化によって同系の別カラーなどもラインナップされ、それぞれ印象がガラッと変わるので購入者の嬉しい悩みは尽きない。
そんな時は自動車メーカーが車種ごとのキャラクターや世界観を訴求するべく設定した「イメージカラー」を選ぶという手もある。各車のイメージカラーは、開発に携わったデザイナーが入念に検討したカラーなので、クルマとのマッチングという点でハズレる可能性は極めて低い。車種によっては奇抜なカラーも存在するが、個性を主張したいと考えるなら選択する価値は大いにある。
クラウン クロスオーバーのイメージカラーは、写真の「プレシャスブロンズ」や「プレシャスレイ」といった茶や黄味がかった色。従来の白、シルバーのイメージをここでも覆している
■定番カラーが人気の理由
しかし、さまざまなボディカラーが用意されるようになっても、定番の色を選ぶ人が依然として多いという。アクサルタ社から発表されている「世界自動車人気色調査年次報告書」によれば、白、黒、グレーが路上でもっとも多く見られるクルマのボディカラーである。
この傾向は日本においても同様で、(日本の)自動車検査登録情報協会の統計では、白、灰、黒が2015年から2021年まで不動のトップ3となっている。
白、黒、灰色(グレー)が人気トップスリーだが、特に白の比率はダントツに高い(出典:世界自動車人気色調査報告書)
定番のカラーというのは、無難で飽きが来ず、メンテナンスも容易なうえに、多くの人が選ぶ色ということもあって売却時の査定への影響が少ない。つまりユーザーのメリットがいろいろとあるというのが、人気の理由でもある。
特に人気ナンバー1の白は、ソリッド系、パール系ともにどんな車種にも似合い、すっきりとしたイメージを与えたり、軽やかな印象が演出できる。色彩心理学的に例えると、他の色が混ざっていない「無垢」な印象から、「純潔さ」や「純真さ」を表すと言われている。
同じく定番となっている黒は、見る人に引き締まった印象を与えることから、「シック」とか「高級」、「重厚感」といったイメージを演出できる。無彩色であることから周囲の色を引き締めて目立たせる効果もあるが、クルマの場合それ自体が大きなサイズであり、そこにメッキパーツなどが装着されると、逆に目立つことにもなる。
■各色が深層心理に与える影響とは?
ここまで紹介してきたように、人に与える印象というのはカラーによってさまざま。色彩心理学によれば、色によって心のなかに何某かの感情が生まれたり、配色によって行動が影響を受けるなど、人の心と色には深い関わりがあるのも事実だ。
色に影響を受けた心理が行動につながることを鑑みると、ボディカラーによって「速そうに見える」という説は一理ある。ただそれが何色かというと「見た人による」としか言いようがない。同様に、「事故りやすい」とか、「あおられやすい」という説が聞かれることもあるが、これも人それぞれの感覚によるものだ。
ちなみに、色彩心理学においては、色それぞれにイメージと心理的効果がまとめられている。それが見た人の行動や感覚に直結するとは一概に言い切れない部分はあるが、以下の表で紹介するので、ボディカラーを選択する際にでも参考にしてみてほしい。
「色のイメージ」はそれぞれの色が示す意味や印象を、その結果人がどんな気持ちになるかは「心理的効果」で解説している
色には想像を超えたパワーがあり、生物学的にも、心理的にも、文化的にも、人に少なからぬ影響を及ぼすそうだ。しかもクルマは長い時間を一緒に過ごすものになので、購入後のカーライフを考慮して納得のいく色を選びたい。色がもたらす影響やメリット・デメリットを理解したうえでベストな選択をしたいものだ。
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