ハリウッド映画ながら多くの日本車、それもクルマ好きが喜ぶスポーツモデルが登場する『ワイルド・スピード』シリーズ。
メインキャストとしてこの映画の人気をけん引し、自身も大変なクルマ好きで多くの日本車を所有していた故ポール・ウォーカーのコメントとともに、原点ともいえる第1作を振り返る!
文/渡辺麻紀、写真/NBCユニバーサル・エンターテイメント
(C) 2001 Mediastream Film GmbH & Co. Productions KG. All Rights Reserved
【画像ギャラリー】よみがえるブライアンの勇姿!! シリーズ第1作『ワイルド・スピード』を見る
■現在まで続く超人気シリーズの原点
仲間たちで力を合わせてスープラをレストアしていく。このファミリー感がシリーズの大きな魅力だ (C) 2001 Mediastream Film GmbH & Co. Productions KG. All Rights Reserved
01年、その第1作が公開されたとき、これほどまでに愛され続けるシリーズになると、誰が予測しただろうか。
19年にはスピンオフも作られ、今年は、コロナ禍で去年から延期されていたシリーズ9作目も公開される予定となり、その人気は衰えるどころか高まるばかり。こんなカーアクション・シリーズは後にも先にもこの作品だけ、『ワイルド・スピード』だけだと言い切っていい。
そこで今回は、その人気シリーズの記念すべき第1作『ワイルド・スピード』を取り上げてみたいと思う。最近はカーアクションがSFの領域にまで達しているシリーズだが、この1作目は正統派のカーアクション。改造車によるストリートレースのカリスマと、そのチームを潜入捜査する刑事の友情を描いている。
改造車を駆った神業的なドライビングテクニックをたくさん拝めるのだが、その多くはプロの腕前によるもの。VFXは補助的に使われているだけで、車が空を飛んだり、氷の上を暴走したりはしない。つまり、最近の作品に比べると地味ではあるが、圧倒的にリアルなのだ。
■その数60台以上!! まるで日本車のプロモーション映画
仲間を救うために走るトレーラーに飛び移る。この頃はまだアクションにもリアリティがあった (C) 2001 Mediastream Film GmbH & Co. Productions KG. All Rights Reserved
そのリアルに合わせてなのか、登場する車はほぼ日本車。
潜入捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)の最初の車は三菱エクリプスで、その後、トヨタ・スープラ。カリスマのドミニク(ヴィン・ディーゼル)は真っ赤なマツダRX-7。
このほかにもスカイラインGT-R、ホンダシビッククーペ、さらにアジア系ギャングが駆るバイクもホンダ製と、日本車がズラリ。その数、60台は超えるというから驚かされる。
劇中、公道の信号待ちで突発的にゼロヨンレースをするシーンがあり、そのときのブライアンの車は改造して見違えるようになったトヨタスープラ。対戦相手は「お前が一生かかっても乗れない車」とドライバーが豪語するフェラーリF355GTSだったのだが、スープラが見事勝利を収める。
ちなみに、このフェラーリのドライバーは車の実際の持ち主でもある本シリーズのプロデュ―サー、ニール・H・モリッツ。
もちろん、遊びのカメオ出演ではあるものの、そんなリッチな人が大衆的なイメージの日本車に乗るはずもなく、その一方でお金のない若者たちが日本車を選ぶのは、低価格で性能もよく、しかも改造しやすいからだという暗黙の了解が、このエピソードからも浮かび上がってくる。
本シリーズ、リアルに基づいていた最初の3本までは日本車が数多く登場していたが、ヒットするにつれて製作費もどんどんアップ(1作目は3800万ドル=約41億円、現在はおよそ2憶5000万ドル=約270億円と約6.5倍!)。アクションもド派手かつSFっぽくなってきた4作目以降では欧米の車が多く、日本車はあまり出演しなくなった。
■作品の中に生き続けるポール・ウォーカー
まだ若さの残るポール・ウォーカー(右)とヴィン・ディーゼル(左) (C) 2001 Mediastream Film GmbH & Co. Productions KG. All Rights Reserved
さて、そこで今回フィーチャーしたいのは潜入捜査官ブライアンを演じたポール・ウォーカーである。
ご存じの通り彼は、13年の11月、友人の運転していた赤いポルシェカレラGTに乗り合わせ、交通事故に遭って亡くなってしまった。
途中まで撮影が終わっていたシリーズ第7弾『ワイルド・スピードSKY MISSION』(15)はデジタル技術と、彼とよく似た弟を代役に立て完成した。『ワイルド・スピード』シリーズはそんな彼が大ブレイクするきっかけになった映画でもあり、彼の代表作なのだ。
ウォーカーは本作に主演する前から大の車好きだったようで、当時、彼にインタビューしたとき、こんなことを語ってくれた。
「僕が車好きなのはDNAだと思うんだ。祖父はカーレーサー、父はギアヘッド(車オタク)だったから、いつも車をいじっていた。そういう姿を見ていたせいで、僕自身も車好きになったんだと思う。
もちろん、ドライビングは得意なんだけど、それ以上の技術を得るため、ドライビングスクールに通いみっちり教え込まれた。これはとても楽しい経験だったから、撮影が終わったあともいろんなドライビングスクールに行き、それぞれでいろんなことを教えてもらったよ」
さらに、休日の過ごし方についてもこういうくらいである。
「暇さえあればレーストラックに行っている。好きなのはNASCAよりフォーミュラ1のほうで、一番好きなのはWRCなんだよ。何しろラリーが大好きなんだ。好きなレーサーを挙げろと言われれば、間違いなく(ミハエル・)シューマッハだ。彼とは一度会ったことがあって、そのときの印象も最高だったから」
そもそも『ワイルド・スピード』の企画も、ウォーカーの希望だった『デイズ・オブ・サンダー』(90)×『フェイク』(97)のような映画、というところから始まったものと言われている。
前者はトム・クルーズ主演のストックカーレーサーの物語、後者はジョニー・デップ主演の潜入捜査官ものと、本作の設定と重なり合う。
■ポール・ウォーカーは生粋の日本車マニア
ストリートレースに潜入するブライアン。ポール・ウォーカーは運転だけでなく見栄えのする銃器の扱いかたもうまかった (C) 2001 Mediastream Film GmbH & Co. Productions KG. All Rights Reserved
本作のあと、シリーズの2作目『ワイルド・スピードX2』(03)のときのインタビューでは、日本車への愛を熱く語ってくれた。
「僕の愛車は日産のR34スカイラインGT-Rだよ。以前はヨーロッパの車が好きだったんだけど、車を自分でチューンするようになって日本車が大好きになった。日本車のほうがいろいろ出来るし面白い。
それに何といっても経済的で信頼性が高いだろ? 僕のスカイラインなんて1ガロン(約3.8リットル)で20マイル(32km)も走るんだから! ほかに三菱ランサー・エボリューションや、スバルのWRXをもっている」
そして、最後は笑いながらこう締めくくってくれた。
「日本車のスポークスマンをやりたいくらいだよ。日産、三菱、スバル、全部まとめてね!」
『ワイルド・スピード』シリーズが続く限り、ブライアンを演じたポール・ウォーカーの名前は忘れられることはない。最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(日本公開8月6日予定)を楽しむ前に、そのルーツに戻ってみるのもまた面白いだろう。
●解説
ロサンゼルスで多発する輸送トラックの強奪事件。犯人はチームで行動し、日本車の改造車を使っていることから、車好きの捜査官ブライアンが潜入捜査に入る。彼はまず改造車のストリートレースに参加し、カーレースに熱狂する若者たちのカリスマ、ドミニクに近づく。
監督はロブ・コーエン。ウォーカーとは『ザ・スカルズ/髑髏の誓い』(00)が最初の仕事で、ヴィン・ディーゼルとは本作のあと『トリプルX』(02)で再び組んでいる。
デジタルに明るい監督だからか、本作でもニトロを仕掛けた改造車のエンジンの動きをデジタルで表現し、『トリプルX』では、アクロバティックなアクションをするスタントマンの顔に、ディーゼルの顔を入れ込むというデジタル技術を用い、アクションをより面白く演出している。
また、ドミニクの恋人レティを演じたミシェル・ロドリゲス、ドミニクの妹ミア役のジョーダナ・ブリュースターは本作の出演が決まったとき、車の運転免許はもっていなかったという。もちろん、その後、慌てて取ったというが、若葉マークとは思えない堂々たる運転っぷり。演技とスタントの賜物だ。
本作の日本の興収は4億円、ワールドワイドでは2憶ドル(約216億円)ほどだったが、シリーズ第8作目『ワイルド・スピードICE BREAK』(17)ではその10倍の40憶円。ワールドワイドでは12憶ドル(約1297憶円)もの収益をあげている。モンスター級の人気シリーズに成長しているのだ。
* * *
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みんなのコメント
ほぼ日本車しか出ない、
それとこの改造スタイルは日本の走り屋を彼ら流に真似た物だと知って更に驚いた、更にそれを日本人が真似して少しブームになった、何が流行るか分からないもんだな、今のワイルドスピードは別な映画ね。
「ワイスピ」「イニD」
車好きが一気に加速
当時スポコン、アンダーネオン、バイナルグラフィックって標準装備でしたw
日本車ブームもこの頃から火がつきましたよね、
映画としてもワイスピ1が1番面白いです
これは伝説ですよね!