諸費用を含んだ乗り出し価格、1億7000万円というイタルデザインとのコラボモデルを発売するなど、2007年の販売開始から様々な話題を提供してきた日産『GT-R』。
登場から15年目となる2022年には騒音規制をクリアできないことからいったん表舞台から姿を消すと言われている。つまりR35型GT-Rは約2年後には絶版車となってしまうのだ。
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そこで、今回は水野和敏氏そして田村宏志氏という2人の「ミスターGT-R」が手がけてきたR35型GT-Rの最新中古車事情を紹介する。
文/萩原文博
写真/NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】誕生してから14年、今も深化を続けるR35GT-R その魅惑的なデザインの変遷をみてみよう!!
■現行型でいったん終了!? 日産のプライド「GT-R」とはどんなモデルか
日産GT-Rは「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」をコンセプトとしたマルチパフォーマンススーパーカーとして、2007年10月に発表された。
GT-Rの開発担当者であった水野和敏氏の「GT-Rは毎年進化させる」という言葉どおり、GT-Rは一部改良やマイナーチェンジを重ねてきた。そのメニューはシャシーやタイヤなど多岐に渡っているが、注目はエンジンだろう。
R35 GT-Rのエンジンは、ひとりの「匠」と呼ばれる熟練工により組み立てられる。その誇りと責任がエンジンに装着されたネームプレートに込められている
搭載されている3.8L V6ツインターボ+6速デュアルクラッチトランスミッションというパワートレインは、デビュー当時から変更されていない。しかし、デビュー時の最高出力480ps、最大トルク588Nmから、2010年の11月のマイナーチェンジで最高出力530ps、最大トルク612Nmにパワーアップ。
そして2011年11月から販売された2012年モデルからは最高出力550ps、最大トルク632Nmに向上。同時に燃費性能もデビュー当時のJC08モード8.2km/Lからこの時点で8.7km/Lまで向上していた。
そして、2014年2月に登場した『GT-R NISMO』は最高出力600ps、最大トルク652Nmまで高められ、2016年7月に発表された2017年モデルでは標準車が最高出力570ps、最大トルク637Nmまで向上。翌月発表されたGT-R NISMOは最高出力600ps、最大トルク652Nmのキープとなっている。
写真は日産GT-R NISMO 2020年モデル。GT-R NISMOの空力デザインはスーパーGTマシンのノウハウが隅々にわたってフィードバックされている
2019年7月に発表された2020年モデルでは、新型のターボチャージャーを採用しレスポンスを約20%向上させるなどピックアップを高め、R35型GT-Rが完成の域に達したと言える。
また、約14年という販売期間では数々の特別仕様車も設定された。最初の特別仕様車として設定されたのが、2013年7月に登場した「スペシャルエディション」そして、2015年2月には45台限定発売の「45th Anniversary」。2018年12月には、「大阪なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル」を発表。そして2019年4月にはスカイラインGT-R生誕50周年を記念した「50th Anniversary」が設定されている。
R34型スカイラインGT-Rでも、ファイナルエディションとして「ニュル」を設定した田村宏志氏だけに、コレクターズアイテムとなりそうなファイナルエディションの発売が予想できる。それでは、R35型GT-Rの中古車事情を見てみよう。
■高止まり傾向の中古車価格だが狙い目モデルもあり!
現在、R35型GT-Rの中古車の流通台数は約206台。3カ月前の2020年11月の時点が約200台。2020年12月には約180台まで減少したものの、その後は増加傾向となり約206台まで盛り返してきた。
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流通している中古車の平均価格は約880万円。3カ月前の時点では約820万円だったが、ジワジワと値上がりし、年末年始には直近3カ月の中でピークといえる約920万円を付けたが、その後は値落ち傾向となっている。
中古車の平均走行距離は約2.9万kmで、中古車の価格帯は約460万~約2680万円と非常に幅広いのが特徴だ。
各年式モデルの中古車の平均価格を見てみると、2007年12月~2008年11月までの初期型は約688万円。2008年12月~2009年11月までが約739万円。2009年12月~2010年10月までの中古車は流通しておらず。2010年11月~2011年10月までが約787万円。
2011年11月~2012年10月までは約769万円と前モデルとほぼ変わらないが、2012年11月~2013年11月までは約806万円となる。2013年12月~2014年10月までは約843万円、2014年11月~2016年6月までは約1027万円と中古車の平均価格が1000万円を超える。
2度目の大幅なマイナーチェンジを行った2016年7月~2017年10月までが約1253万円。2017年11月~2019年5月までが約1250万円。2019年6月~2019年9月までが約1273万円と2度目のマイナーチェンジ以降はほぼ横ばいといえる状況だ。
しかし、2019年10月以降は中古車の平均価格が約2680万円となっていることからもGT-R NISMOが中心となっていることがわかる。
こうして見ると、GT-Rの残価率の高さが浮き彫りとなるが、価格的見ると、平均価格が約770万~約843万円の1度目のマイナーチェンジが行われた2010年11月から、サスペンションのセッティングが見直された2014年モデルが販売された2014年3月までが狙い目と言える。
写真は日産GT-R 2011年モデル(MY11)。イヤーモデル制のためMY07からMY20までの9モデルが存在する(最初のモデルチェンジはMY11でMY16とMY19は欠番)
年式と走行距離の分布を見てみると、約70台と最も多い2008年式は走行距離が15万km超という中古車が約13台もあり、最も多いのが約19台の5万~7万kmとなっている。
走行距離の分布では1万~2万kmが約30台、2万~3万kmが約29台と最も多く、5万~7万kmが約22台、そして3万~4万kmが約20台となる。
先ほどピックアップした2010年~2014年式までを照らし合わせると、3~4万kmが約10台で、価格帯は約738万~約1280万円だが、800万円以上はチューニングカーとなっている。そして、2~3万kmが約11台で価格帯は約638万~約819万円だ。
中古車のグレード構成では「プレミアムエディション」が最も多く約78台、「ブラックエディション」が約46台、「ピュアエディション」が約24台。そして「NISMO」が約17台となっている。特別仕様車では「スペシャルエディション」がわずか1台で約858万円、「45th Anniversary」もわずか1台で約1000万円。そのほか50周年記念車や大阪なおみバージョンの中古車は流通していない。
■スポーツカーだから気を付けたいポイントと今後の動き
ハードなサーキット走行を行っている可能性もあるスポーツカーだけに、走行距離の多さよりもこれまでのメンテナンスの頻度やどういうパーツを交換してきたのかという履歴、すなわち整備記録簿が大切となる。
歴代GT-Rの中でも最高にサーキットが似合うR35 GT-R。500馬力を超える真のパフォーマンスを体感できるサーキットは走って楽しいこと間違いなし!!
走行距離が延びていたとしても、適切なタイミングでしっかりとメンテナンスが行われていれば不安は解消されるし、もし整備記録簿がないとなると、走行距離が少なくてもどのように使われてきたのかわからない。GT-Rをはじめとしたスポーツカーの中古車を購入する際にはまず、これまでの整備の履歴がしっかりとしたクルマを選ぶのがいいだろう。
一般的には年式が進むと価格が安くなるのだが、R35型GT-Rの場合、300万台の中古車はほとんど流通しないし、400万円台の中古車もすぐに売れてしまう。それだけ日本を代表するGT-Rは台数が少ないということもあるが、根強い人気があるのだ。したがって今後これ以上平均価格がガタッと暴落することはないと考えられる。
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元の設計の良さと、日産の体力の無さ
両方感じる。