■フィットに待望の「RS」が設定された!
2022年10月6日にホンダ「フィット」がマイナーチェンジを受けました。その注目は、なんといっても「RS」が追加(復活)したことに違いありません。
【画像】メッシュグリルがスポーティ! 精悍顔の新型「フィットRS」内外装を写真で見る(34枚)
RSはほかのグレードとどう違うのでしょうか。
まず異なるのはスタイリングです。RSはプレスリリースによると「デザイン、走りの質にこだわったタイプ」とされていて、大きく口を開いたようなフロントバンパーをはじめ、サイドシルガーニッシュ、リアバンパー、リヤスポイラー、そしてアルミホイールなどに専用デザインを採用しています。
フィットの標準タイプ(「BASIC」や「HOME」)がグリルレスとしているのに対し、メッシュのグリルを加えているのもRSのスタイリングの象徴的な部分といえるでしょう。
一方インテリアに目を向けると、スエード調素材をコーディネートしたシート表皮も専用ですが、それ以上に特徴といえるのがハンドル。ほかのグレードが2本スポークとしているのに対して、RSは3本スポークでイエローステッチが入るなど、専用としているのだから驚きました。
そのハンドルにはアクセルオフ時の減衰力を4段階で選択できる減速セレクター(パドル)も備わっています。
加えて、メーター左下に用意されるドライブモード切り替えスイッチもRSの独自アイテム。「ノーマル」「スポーツ」そして燃費重視の制御となる「ECON」の3パターンから選んで切り替えることができます。
ちなみにほかのグレードは「ノーマル」と「ECON」のみで、スイッチの場所もRSとは異なります。
■RS専用セッティングで安定感がスゴイ!
RSの真骨頂は見た目よりも走りでしょう。サスペンションをはじめとする専用チューニングにより、ドライバビリティを差別化しているのです。
実際にドライブして感じたのは、まずステアフィールの違い。パワーステアリングの制御が専用の味付けとなり、その結果としてほかのグレードよりもステアリングの据わりにしっかり感があります。
また、旋回時の挙動が落ち着いているのも感じました。ロールスピードが抑えられ、ワインディングロードを走ってみてもサスペンションがしっかりと踏ん張ることで車体の安定感が高まり、まるでひとクラス上のクルマを操っているかのような感覚です。
ほかのグレードと比べてみると、RS以外のグレードはハンドル操作に対する反応や旋回中のロール感などから“ひらひらと軽快に走る”のに対し、RSは車体をより安定させてしっかり感を強調しているという印象を受けました。
また、アクセルを踏み込むとシフトアップ制御が入り、高速領域以外はモーター駆動(高速領域でも機械的な有段変速はおこなわない)にも関わらず瞬間的にエンジン回転が落ちてシフトアップしているような感覚があります。
これは先立って登場した「シビックe:HEV」にも組み込まれている仕掛けですが、効率云々は関係なく、ドライバビリティを高めるためのもの。
RS専用の走行モードである「スポーツ」にするとアクセルの応答性が良くなるほか、シフトアップ制御もより変速感を強調するように変更されています。
そのおかげで加速のリズム感が増し、クルマとドライバーの一体感が増したことでアクセルを踏む爽快感が高まっていることが理解できました。
マイナーチェンジ前のフィットに比べるとモーターの出力アップやシフトアップ制御の採用に伴って標準車同士で比べてもアクセルを踏む歓びが増していますが、RSはそれがひときわレベルアップした印象。スタイルだけでなく、走りでもしっかりスポーティグレードになっているといえます。
ところで、RSはサスペンションが硬めにチューニングされているので、乗り心地を心配する人もいるかもしれません。しかし、その心配は杞憂に終わるでしょう。
確かに、路面の悪い場所を走る際などはほかのグレードに対してアタリが硬く感じられる状況がないわけではありません。
しかし、衝撃はしっかりと吸収していわゆる「角を丸めた乗り味」としているから不快さはなく、一般的な国産コンパクトとは違いますが「ドイツの小型車のような感覚」をイメージすれば良いでしょう。だからファミリーカーとしても家族から不満が出ることはないはず。
そんなフィットRSは運転好きだけでなく、誰にでも安心しておススメできるクルマと感じました。見た目で選ぶのも、大いにアリだと思います。
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