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【ヒットの法則311】3代目JK型ジープ ラングラーはオンロード性能の洗練度も高めていた

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【ヒットの法則311】3代目JK型ジープ ラングラーはオンロード性能の洗練度も高めていた

2007年3月、ジープ ラングラーが10年ぶりにフルモデルチェンジされて日本に上陸した。新開発のV6OHVユニットを搭載すること、新たに4ドアモデルが追加されたのが大きな話題となったが、もちろん頑健なラダーフレームやリジッドアクスルなどジープらしさはしっかりと継承していた。3代目JK型はそれまでの伝統を守りながら、いかにその能力を研ぎ澄ませたのか。富士の裾野で開かれた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年5月号より)

伝統的なアイコンを受け継いで正常進化
記録的な暖冬だった3月初旬、新型ラングラーの試乗会が富士の裾野で開かれた。富士山にはジープがよく似合う・・・というのは私の勝手な思い込みである。60年ほど前、米進駐軍の将校たちは休暇をとって名峰フジヤマを訪れ、ジープとこうした記念写真を撮ったに違いないと思うからだ。

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ジープの愛称は後からついたもので、オリジナルの名称はウイリス・クアッド。これが米陸軍に正式採用されたのが1941年。民間用(CJ型=後のラングラー)として生産が開始されたのが1945年。実に66年の歴史を持つ。歴代のラングラーはこのオリジナルジープの直系後継車にあたり、それゆえオリジナルのアイコンをずっと受け継いできた。

それは、丸型ヘッドライト、7本縦型スロットグリル、台形オーバーフェンダー、露出したドアヒンジ、取り外し可能なソフト/ハードトップなどである。新型ラングラーはいわゆる正常進化モデルで、オフロード走破能力の向上はもちろんオンロード性能の洗練度を高めているのが特徴。

また、ラングラーで初の4ドア5人乗りのラングラー・アンリミテッドを追加したことがビッグニュースである。これはオリジナルラングラーのホイールベースを520mmも延長したモデルで、2ドアではなしえなかった後席居住性と積載性を格段に向上させている。

エンジンはこれまでの直6の4LからV6の3.8Lにスイッチ。従来からあるV6がベースになっているが、各部がリファインされ、ほぼ新製といっていいパワーユニットだ。

新搭載のV6エンジンはスムーズで静か
試乗は2ドアのラングラーから。2ドアにはスポーツ(ソフトトップ)、サハラ(ハードトップ)、ルビコン(ソフトトップ)の3タイプがある。ルビコンはいわばオフロードコンペティション仕様というべきモデルでトランスミッションは6速MTのみの設定。他は4速ATである。

まずサハラ(18インチタイヤ)で走り出す。4WDは選択式なので一般道ではFR。ホイールベースの2425mmはほぼ軽自動車と同じ。なのでステアリングの動きにかなり敏感に反応する。上屋が高いからムリはできないが、思いのほか機敏に走れる。そしてなにより見晴らしがいい。フロントウインドウは新型となって平面ガラスからゆるい曲面ガラスとなったが、ちゃんと伝統通り「起立」していて、あたかも大画面液晶TVを観るような前方視界だ。

V6エンジンは格別にパワフルではないが低速域からトルク感があり、スムーズで静か。以前の直6はいささかラフであったから、このチェンジは正解。ラングラーの性格にマッチしている。ラングラーはバリバリのオフロードカーではあるが、運転に特別気をつかうところはない。

次に乗ったのはラングラー・アンリミテッドのサハラ。フロントより小さい後部ドアがついたサイドビューは逞しく、どこかミリタリー調のイメージで類型的なオフロードSUVとは一線を画す。全長は4705mm。アメリカ市場では受注の約70%がアンリミテッドという。さすがにロングホイールベースの恩恵でリラックス性が2ドアよりグンと高く、乗り心地も優れる。

サスペンションは2ドア、4ドアともに前後リジッドアクスルなのだが、昔のそれとは異なり、ほどよく洗練されていてドタバタしない。ステアリング形式は現在では稀少となったリサーキュレーティングボール式。高剛性が求められるオフロードカーには適切なシステムで、しっとりしていて好ましいステアリングフィールを示す。

最後に2ドアのスポーツ(16インチタイヤ)で2kmの特設オフロードコースを走る。4WDセレクターのポジションは4Lレンジをホールド。え~、ここを登るのか、降りるのか~というかなりタフなコースだったが、無事スタックせずに走り切れた。結論。ラングラーはホンモノ4WD。歴史があるクルマはやはり違います。(文:御田昌輝/Motor Magazine 2007年5月号より)



ジープ ラングラー スポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4185×1880×1865mm
●ホイールベース:2425mm
●車両重量:1770kg
●エンジン:V6OHV
●排気量:3782cc
●最高出力:199ps/5000rpm
●最大トルク:315Nm/4000rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:323万4000円(2007年)

ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4705×1880×1845mm
●ホイールベース:2945mm
●車両重量:1980kg
●エンジン:V6OHV
●排気量:3782cc
●最高出力:199ps/5000rpm
●最大トルク:315Nm/4000rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:379万0500円(2007年)

[ アルバム : JK型ジープ・ラングラー はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • TJ型までのJeepは良く言えばJeepらしく、悪く言えばJeepだから許された部分が多々あった。
    無造作に飛び出したトランスファーやステアリングボックス、耐転倒対策でガチガチに固められたYJのサスペンションやオフロード走る人はどうせ替えるんだからと言わんばかりの貧弱なTJのコントロールアーム等々。
    しかし4ドア化の開発段階でダイムラーが設計に携わっていたのはJeepにとっては幸運だったのかもしれない。
    よく言えばようやくまとな四駆になった。悪く?言えば普通の車になった。
    JK型がデビューしたころ、四駆雑誌の編集長していた石川雄一氏が自身の雑誌で次のように書いている。
    ようやく70年代のレンジローバー、90年代のランドクルーザー80に追いついてきた。
    しかし最近のRRやランクルが打算と退化で妙な車になってしまい、大幅に遅れて追いつきてきたJKが私たちには丁度良く感じられる。なんという皮肉だろうかと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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