車検、カットライン、スペックの見方は?“社外品LED”に関する基礎知識7つ
純正でも急速に普及しているLEDバルブだが、まだまだハロゲンバルブやHIDを採用する車種は数多い。そんなLEDバルブはかなり進化しており、かつての社外品は暗いと言われてきたが、近年の性能は大きく向上。しかし、安価な粗悪品が普及しているのも事実であり、照度や車検などの問題でトラブルになるケースも多いという。そこで、70年以上の歴史を持つ日本の自動車用器具メーカー「IPF」に、ヘッドライト用LEDバルブの疑問について聞いてみた。ご登場願うのは、IPFの市川哲弘サン。
【DIY】「LEDポジション球」選びのポイントは長さと明るさ
Q.1 HIDとLEDってどう違うの?
A HIDとの明るさの差は解消してきている
製品にもよるが、明るさに関してはLEDとHIDとの差は随分となくなってきた。また、HIDは立ち上がりが遅く、ハロゲンに比べて長寿命ながらも経年によって暗くなるため、今後はLEDが主流になることが予想されている。
Q.2 LEDバルブの選び方って?
A 明るさと配光がポイントです
大切なのは明るさと配光。ルーメンで表わされることが多い明るさは、光源から出る360度の明るさを数値化したもので、ゆえに数値が高いだけではダメ。配光もポイントでヘッドライトに装着したときに適正な位置を照らすかが重要。理想は純正の配光で、それに近いものが良品と言えるという。”数値的には明るいけれど必要なところが暗い…”は、あまりオススメできるバルブではない。
配光はライト形状によって異なる
Q.3 カットラインって?
A 対向車に眩しくないようにするものです
LEDバルブ選びでポイントとなるのがカットラインというもの。対向車に対してまぶしくならないよう、上方向を照らす光はカットされる。このカットされた部分と照射部分との境目が、カットライン(カットオフラインとも呼ぶ)だ。上の写真は純正で、下左の写真はカットラインが正常な状態。日本は左側通行のため、対向車に配慮した左上がりのラインとなる。逆に下右の写真はラインが出ていない状態で、対向車のドライバーはまぶしく見えてしまう。すなわち「カットラインが出ているバルブ選び」がキモとなるのだ。
Q.4 車検でポイントとなるのは?
A カットラインや路面を照らす明るさが重要
車検はロービームで、ヘッドライトテスターを使って測定する。まずは、写真の黄色い四角の中にカットラインが来るように照射されていればOK。測定するのは、この四角内左下にある”+”表示部分の明るさで、片側6400カンデラ以上なければ車検には通らない。つまりカットラインが出なければ、測定できないため車検はNGとなる。
Q.5 LEDバルブに放熱性はなぜ必要?
A 熱とともに照度が暗くなっていくためです
ヘッドライト用のLEDバルブはかなりの明るさが必要なため、発熱性も高い。時間が経過すればするほど熱によって輝度が下がってくるため、放熱するためのヒートシンクや冷却ファンなどが必要となる。放熱性が悪ければ、点灯時は明るくても5~10分程度で暗くなっていくという。これではヘッドライトとしての実用性は×だ。すなわち、しっかりと放熱できるバルブ構造なのかを見極めたいところ。
Q.6 商品のスペックはなにを見るべき?
A 消費電力とルーメン値のバランスが重要
「消費電力28Wで片側2500ルーメンが適正値」とIPFは考える。1Wあたり100ルーメンを超える数値が表記される場合は、放熱性が追い付かずすぐ暗くなるか、そもそも表示自体がデタラメの可能性も。購入後は片側だけ車両に装着し、2m離れた壁に向けて照射。片側の純正カットラインと同じようなラインが出るかで精度を確認することができる。
Q.7 購入時の注意点は?
A 対応車種を調べておきましょう
純正バルブと同じ口金形状だからといって、どの車種にも装着できるわけではない。LEDバルブはヒートシンクやファンなどが備わる分、ハロゲンバルブよりも後端部分が大きく、奥行き次第では取り付けできないことも。バルブ形状だけでなく、メーカーの適合表で確かめよう。純正品を含め、信頼のおける製品を数多く展開するIPF。車内に計測設備などを備えるなど、ユーザー想いかつ高精度な商品の開発がモットー。
IPF/市川哲弘サン
取材協力:IPF TEL027-346-3316http://www.ipf.co.jp
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