ボクのフェラーリは納車前、大掛かりな整備や部品交換をしていない。実施したのは、一般的な納車前整備(エンジンルームやブレーキ点検など)とオイル交換、くわえてETC車載器とレーダー探知機、ドライブレコーダーの移設程度だ。
納車前整備のとき、GSTの担当者(庄司さん)からはオーディオの不調(機械は動いているものの、音が出ない)などいくつかの気になる箇所は聞いていた。もちろん、「どういたしましょうか?」と、相談はあったが、ボクは「そのままでいいです」と、答えた。
なぜなら、自分でカスタマイズする楽しみを残したかったからだ。読者の皆さんから指摘のあったタイヤも(「なぜ、2007年製タイヤを装着したままディーラーは販売したのか?」といった指摘)、納車前の限られた時間では、タイヤの最新事情を調べる余裕がまるでなかったので、「どんなタイヤがいいか、あとでゆっくり調べてから交換しよう」と、決めたゆえ、前オーナーが装着したタイヤのままで納車してもらった。
ディーラーによっては、それでも「いや、危険ですから交換しましょう!」と、強引に新しいタイヤの購入を勧めてくるかもしれない。しかし、ボクの担当者である庄司さんはそういったことを絶対にしない。あくまで、カスタマーファーストである。
それは、フェラーリを購入する前からそうだ。以前、アバルト500で自損事故を起こしたときも、修理or代替すべきかあらゆるパターンをシミュレーションしてくれた結果、ボクに最適な方法(結局はルノー「トゥインゴ GT」への代替)に導いてくれた。クルマを購入するときの見積書には、ボディコーティングやフロアマットなど、ぼくが絶対に購入しないディーラーオプションを、はじめから未記載で作成してくれるのも嬉しい。
これに対し、身内が以前乗っていた欧州ブランドの担当者はヒドかった。担当者に言われるまま、2年ごとに新車へ乗り換えていた。そんなある日追突事故にあった。ボクはてっきり、自動車保険の関係もあって代替するのかと思いきや、いくつかの選択肢(代替、修理、その他)を用意するまでもなく、半ば強引に修理を選ばせた。
ボクはそうなってしまったのを知らず(知っていたら止めていた)、後ほど修理内容を見たら「ここまでする必要があるのか?」と、驚きの修理内容と金額だったのに唖然とした記憶がある。おそらく、修理したうえで、またすぐに代替させるつもりだったのだろうか……ボクには信じられないエピソードだった。ただ、身内もさすがにおかしいのでは? と、思い、ほどなくして別の欧州ブランドに乗り換えてしまったが。
話を戻そう。タイヤの件も、非常に危険な状態ではないからこそ、交換せずに販売してくれた。2007年製造と、少々古いタイヤではあるものの、溝はしっかり残っているうえ、ヒビ割れはひとつもない。前オーナーが大切に保管してきただけあって、12年経過しているとは思えないコンディションだった。タイヤに詳しい自動車ジャーナリストからも「それであれば、とりあえずは大丈夫でしょう」と、コメントをもらった。
とはいえ、内部は確実に劣化している。それゆえ、「交換は早めにおこなってくださいね」と、しっかり教えてくれるあたり、「本当に庄司さん(&GST)からフェラーリを購入してよかった」と、思うばかりであった。
そんな矢先、エンジントラブルが発生した! と言っても、ボクのフェラーリではない。ヤマハの船外機だ。
ボクは仕事と別に、ボランティアで(一社)東京都ボート協会の役員を務めている。ボートとは競技用ボートだ。「レガッタ」と聞けば、お分かりになる読者も多いはず。学生時代、ボート部に所属していた関係で、オトナになった今、競技団体にかかわっている。
2019年3月末、フェラーリを運転し(久しぶりのドライブだった!)、協会主催の大会に出向いた。場所は埼玉県の戸田公園である。フェラーリはまことに快調であったのに対し、大会運営用のモーターボートは絶不調。なんと、大会初日(予選)に2艇のエンジンが故障してしまい、航行不能に陥った!
翌日の決勝に向けて、関係者があたふたするなか、ボクも必死で修理業者を探したもののまったく見つからない。「この時間(18時)からは無理」、「出張は受け付けていない」など、いくつもの業者に断られた。
「どうしよう……」と、途方に暮れていたとき、「そうだ! GSTがあるではないか!」と、思い出した。GSTはクルマの販売以外に、マリン事業も手がけているのだ。とはいえ、土曜日の夜に対応してくれるのだろうか……ダメ元で庄司さんに電話したところ「なんとかしましょう!」と、対応してくれたのだ。
2時間後、横浜から埼玉までわざわざふたりのメカニックが来てくれて、深夜まで修理作業に従事してくれた。おかげで、2艇のエンジンは復活! 翌日の大会を無事に運営出来たのだ。
ちなみに、これまでボクがGSTで購入したクルマは、1度も修理に出したことがない。それだけに、初の修理依頼がフェラーリのエンジンではなく、ヤマハの船外機だったとは、あまりにも意外だった。
あらためて、「GSTでクルマを購入して本当によかった」と、フェラーリで雨の首都高を運転しながら思うのであった。と、同時に、今後も修理依頼は船外機のみになるよう祈りつつ……(フェラーリよ、壊れるな!)。
音が出ないオーディオについては、「せっかくならナビを装着しよう!」と、思い調べたものの、いきなり壁にぶつかった。
なんと、1DINタイプ(折りたたみ式スクリーン付き)のナビゲーションシステムがあらゆるメーカーから販売されていないのだ! 調べるかぎり、全滅である。パイオニアやパナソニックといった大手メーカーのナビゲーションシステムは現在、すべて2DINタイプなのだ。ポータブルナビという選択肢もあるが、ダッシュボード上に設置するのは美しくないので避けたい。
調べると、海外ではパイオニアなどがApple Car Playに対応する折りたたみ式スクリーン付き1DINデッキを販売している(ナビゲーション機能はない)。これだ! と、思ったものの日本へは導入されないようだ。旧車オーナーには受けそうなのに……。
ほかにも、ジャガー・ランドローバーは旧車用に、高精彩モニターを搭載した1DINタイプのインフォテインメントシステムを開発した。このモニターは純正ナビゲーション機能も有するという。海外の1DIN事情がうらやましい限りだ。
ボクは悩んだ結果、ナビはあきらめた。中古品を購入して装着すべきかどうか悩んだものの、故障のリスクが怖い。それに、知らない道をフェラーリで運転するのはほぼないはず、という理由からオーディオのみを交換することにした。
ただし、オーディオにそれほど詳しくないだけに、タイヤとおなじくゆっくり吟味して選びたい。が、音楽を楽しみたいボクは、いくら官能的なフェラーリサウンドが楽しめるからといっても、それ以外の音を楽しめない日々が続くのも少々辛い。
そこで、困ったときの庄司さん。ボクのフェラーリをGSTに持ち込むと、「ちょっと待ってね」と、ひとこと。30分後、クルマに戻ると音が出ているではないか! 修理してくれたのかと思いきや、ほかのクルマから外したさいに、「念のため……」と、メカニックが保管していたおなじソニー製の別商品に載せ替えてくれたのだ(おなじメーカーであれば交換は容易という)。ちなみに、純正オーディオが不調だった原因は、長年使っていなかったことにあるようだった。
はたして、ボクのフェラーリはようやく音楽を楽しめるようになった。ちょっと古い1DINデッキゆえ、Bluetooth機能はないし、AUX端子といった外部接続端子もないため、押入れの奥にしまい込んだCDアルバムを引っ張り出した。
ただし、問題がもうひとつ出てきた。音飛びである。現在、どんなサスペンションを装着しているのかわからないものの(すくなくとも純正ではなさそうだ)、おどろくほど乗り心地が硬い。古いタイヤの影響もあるかもしれないが、それにしても硬い。首都高の段差を乗り越えるたびに、ドライブレコーダーが衝撃を検知し、録画を開始するほどだ。
それゆえ、CDもときどき音飛びしてしまう。解決しようにも、こればっかりはサスペンションを換装する必要があるだけに、今すぐには難しい。
そこで、自動車パーツショップに赴くとBluetooth対応のFMトランスミッターがあった。スマートフォンに内蔵する音楽を、BluetoothによってFMトランスミッターに送り、そこからさらにFM電波へ音楽を飛ばし、ラジオで受信する仕組みだ。これはきっと便利であるに間違いない!
早速購入した商品を使っているが、案の定、大変重宝している。音飛びの心配がないうえ、心配した雑音もほとんどなく、快適に音楽を楽しめている。が、そうなると気になるのはスピーカーの音質だ。
さまざまな広報車に搭載されるハイパフォーマンスオーディオシステムに慣れ親しんだボクとしては少々物足りない。もう少し臨場感や重低音が欲しいところ。そうとなると、オーディオのカスタマイズが必要である。
タイヤの交換は決まったので(詳細は次話以降)、次はオーディオの交換かなぁとぼんやり考えるうち、「タイミングベルトやF1マチックのクラッチ交換も考えなくては……」と、思い出した。ボクと360モデナの“交換日記”は当分続きそうである。
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