世界一の乗り心地を持っていたXM
執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】乗り心地は世界一 シトロエンXM 最新のシトロエン アミとC3、e-C4、DS 9も 全90枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
900ポンド(14万円)から手に入るロールス・ロイス。こんな見出しを付けても良いかもしれない。少し過剰表現かもしれないが。
英国の中古車市場を見てみると、1000ポンドもしないで買えるシトロエンXMが何台か見つかる。安心してしばらく乗りたいなら、もう少し上の価格帯から選んだ方が良いとはいえ。
もちろん、一番強気の価格のXMを選んでも、フロントノーズにパルテノングリルは付いていない。ドアを開いても、溢れんばかりのクロームメッキや柔らかなレザーが迎えてくれるわけでもない。
シトロエンのハイドロニューマチック・サスペンションは、ロールス・ロイスがシルバーシャドーにも採用した技術。XMが搭載する頃には、ハイドラクティブ・サスペンションへと進化し、「世界一の乗り心地」と1989年のAUTOCARでは絶賛している。
ただし、クラスをリードする乗り心地は最大のストロングポイントでありつつ、ウイークポイントでもあった。シトロエン・ファンが大げさだと反応する信頼性への不安を、生み出すきっかけとなった技術でもある。
実際に調べれば、ハイドロ・システムのメカニズムは比較的単純だとわかる。ある程度の道具と知識さえあれば、大々的なものを除いて、自宅で整備を済ませることもできる。
英国にも小さいながらXMのファン・コミュニティが存在する。英語だが、アドバイスをもらうことも可能かもしれない。
信頼性で選ぶならシリーズ1.5か2
シトロエンXMには、1989年から1994年までに製造されたシリーズ1と、1994年から2000年までのシリーズ2が存在する。細かな改良が加えられているが、個性的なインテリアとクリーンなボディラインを持つ、シリーズ1の魅力は捨てがたい。
シリーズ2のアップグレード内容は、安全装備の拡充や、パッシブ・リアステアリング搭載によるシャープさを増した操縦性など。新しいエンジンも獲得している。
さらに電気系統とハイドラクティブ・サスペンションに改良を受け、弱点も改められた。そのため、後期型の方が全般的に信頼性が高く、日常的に乗りやすいと考えられている。
筆者がオススメしたいのが、ファンの間ではシリーズ1.5と呼ばれる中期型。1992年から1993年の間のXMだ。後期型の改良が加えられつつ、スタイリングはより印象的な前期型を保っている。
シトロエンDSやCXの後継モデルとして、XMは低くシャープなスタイリングと他を圧倒する快適性を備えるが、先輩モデルのように取引価格は上昇していない。手頃に狙えるハイドロ・シトロエンだ。
ボディをデザインしたのは、カロッツェリアのベルトーネ。ただし、惹かれる見た目だとしても、同年代のクルマ以上に注意は必要ではある。
ボディは錆びるし、電気系統にも不安は残る。しかし、良い例を見つけて整備を欠かさなければ、当時最も快適なサルーンに乗ることができるのは事実。思い切って飛び込んでみるのも、悪くないかもしれない。
オーナーの意見を聞いてみる
ポール・ブリーズ・ロバーツ
「XMは、特に電気系統の信頼性に欠くという評判を聞きます。シトロエンがプラグイン・アースと呼ばれる技術を採用したためで、エンジンルーム内でも、腐食でアースが取れなくなることが原因です」
「修理は可能で、後期タイプのリングアースに切り替えて、インナーフェンダーにボルトで固定すれば大丈夫。XMが亜鉛メッキされていない、という噂も誤解です」
「実際は二重亜鉛コーティングされているのですが、その弱点として、水が亜鉛コートに入り込む場合があるようです。アンダーシールが完全に施されたXMを所有していたことがありますが、腐食はまったくありませんでしたよ」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
XMで一番乗りやすいエンジンが、2.1Lのディーゼル。自然吸気で走りは緩慢ながら、極めて堅牢なユニットだ。2.0Lのガソリンターボは燃費が良くなく、速くもないため価格も安い。高めの価格が付くのが、3.0LのV6エンジンとなる。
ディーゼルの場合はヘッドガスケットの不具合がないか、ターボ付きの場合は青白い煙が排気ガスに混ざっていないか確かめたい。タイミングベルトの交換履歴も確認ポイントの1つ。
サスペンション
コーナーを少し速めに通過し、フィーリングを確かめる。柔らかく浮いているような印象を受ければ、状態が良い証拠。
ハイドラクティブのLDSオイルは、明るい緑色が正解。カーキ色は劣化しているサイン。4万8000km毎の交換が求められる。もしハイドラクティブの調子がおかしいと感じたら、ノーマル・モードとスポーツ・モードの違いを確かめるとわかりやすい。
路面の凹凸を通過して尖めの揺れが伝わるようなら、窒素の入ったスフェアの交換が必要かもしれない。といっても、スフェア1つの値段は25ポンド(4000円弱)。インターネットを調べれば、交換方法の情報も簡単に見つかるだろう。
電気系統
テールライトの故障警告が出る不具合が一般的。ライトが点灯する場合は、接点をクリーニングし、アース線を交換し、グローブボックス内のコンデンサが正常か確かめる。
LCDスクリーンのドット欠けは、画面裏のリボンケーブルを交換することで修理できる。サイドウインドウのレギュレーターは、湿気が原因で不調になることが多く、完璧な修理は難しい。部品自体は比較的安価に入手できる。
ボディとホイール
亜鉛コート内に水が入り、内側から錆びることがある。ストラット・トップやサイドシル、荷室のフロア、インナーフェンダー、ドア周辺やバンパーブラケットなどを確認し、サビの早期発見に努めたい。深く進行していることもある。
アンダーシールも完璧とはいえず、ドライバーなどで突いて、その内側を確かめたい。溶接作業を含むボディの修復と、アンダーシールの再塗布費用は予め見ておきたい。
フロントノーズはプラスティック製。ヘッドライト周辺にヒビが入ることがある。
英国ではいくら払うべき?
500ポンド(7万円)~999ポンド(14万円)
修理前提のXMが英国では出てくる。ほとんどがシリーズ2。ハイドラクティブの整備は不可避だろう。
1000ポンド(15万円)~1999ポンド(29万円)
走り込まれたシリーズ2のXMが見つかる。自然吸気のディーゼルエンジンを載せた、ステーションワゴンも含まれる。
2000ポンド(30万円)~2999ポンド(44万円)
サスペンションの状態の良い、良好なXMが英国では購入できる。
3000ポンド(45万円)以上
状態の良いシリーズ1や1.5が見つかる。特に状態の良いXMは、欧州本土にあることが多い。
知っておくべきこと
XMで話題になりがちな電気系統の不具合は、主に前期モデルのエンジンルーム内にあるアースポイントが腐食することが原因。後期モデルではリングコネクターに変更されている。
現存するXMの多くは、アースの修理を受けているはずだが、リングコネクターへ交換されているかどうかは確かめたいポイントだ。
英国で掘り出し物を発見
シトロエンXM D12 ハーモニー 登録:1990年 走行距離:15万7700km 価格:3340ポンド(50万円)
左ハンドルで初期のXM。フランスで売られている1台だ。新車時からのワンオーナー車で、2.1Lのターボディーゼル・エンジンを積んでいる。シリーズ1だから、インテリアも斬新なデザインのまま。ボディの腐食もないという。
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みんなのコメント
今のC5とか乗って変態気取られても役者が足りんわ。
あれの濃いグリーンメタのやつに乗りたかった。
エグザンティアといい、あの頃のシトロはとても尖っていてよかった。
でも地獄を見るだろうな。
フランス車でもプジョーはそれほど壊れない。
その後のC6にすごく惹かれたが、結局ハイドロが心配でプジョーの508を足車に買った。
こちらは全く壊れない。