「残価設定ローン」を使わない人も知っておきたいクルマの残価率
新車の購入方法については、かつては「現金一括」と「分割払い」がほとんどを占めていましたが、近年ではこれらに加えて「残価設定ローン」を利用するユーザーも増えています。
残価設定ローンの基本的な仕組みは、メーカーが将来の買い取り額を保証することでユーザーは車両価格から将来の買い取り額を引いた金額を支払うというものです。
例えば、車両価格500万円のクルマに対して、3年後に200万円での買い取り額が保証された場合、ユーザーは3年間で総額300万円の支払いを月々に分けて行います。
実際には金利が発生するため総支払額は300万円を超えますが、それでも本来の車両価格に対して分割払いを行うよりも月々の支払額が少なく抑えられる点が魅力です。
また、契約期間終了後は原則としてクルマを返却することになりますが、再度ローンを組んで同じクルマに乗り続けることも可能です。もしくは、200万円の残価を清算してクルマを買い取ることもできます
もちろん、残価設定ローンには注意しなければならないポイントもあります。例えば、残価が保証される条件として、走行距離やクルマの状態に一定の制限があるほか、カスタムやチューニングも原則として不可能です。
また、金利は車両価格全体(この場合は500万円)に対して発生するうえ、「分割払い」の金利よりも高く設定されていることが多いため、総支払額が想像以上に高額になるという点もデメリットと言えます。
残価設定ローンを利用する上で最も重要になるのが残価率です。残価率とは、車両価格に対して、メーカーが設定する将来の買取保証額(残価)の割合です。
上述の例では、車両価格500万円に対して、3年後の残価は200万円となるため、3年後の残価率は40%となります。
もし、3年後の残価率が50%であれば、ユーザーが支払うのは250万円+金利となり、同じく60%であれば、200万円+金利となり、月々の支払額に大きな影響を与えます。
また、この数値が高ければ高いほど「リセールバリューが高いモデル」となるため、「残価設定ローン」を利用しない人にとっても重要な意味を持つものです。
一般的には、3年後に50%、5年後に35%の残価率を持つモデルは“残価率が高い”と言われており、「ランドクルーザー」や「アルファード」などが代表例です。
残価率はモデルやグレード、オプションによっても変化する場合があるほか、おおむね3か月程度で見直しが行われます。
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先代より向上した新型クラウンの残価率は?
注意すべき点も多いとは言え、残価設定ローンを利用するとワンランク上のモデルにも手が届くことから、国産高級車や輸入車などでは利用するユーザーの割合が特に高いと言います。
国産高級車の代名詞的存在であるトヨタ「クラウン」も、これまで残価設定ローンの利用比率が高いとされてきたモデルです。
ただ、SUVが全盛となっている昨今では、セダンの残価率は低く設定されることが多いのが実情です。
実際、フルモデルチェンジ直前の先代クラウンの残価率は、3年で46%、5年で29%となっており決して高いとは言えません。大人気SUVのトヨタ「ハリアー」の残価率が3年で59%、5年で43%となっていることと比較するとその差は歴然です。
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一方、2022年7月に登場した新型クラウンは、クロスオーバーSUVを中心とした、4つのボディタイプを持つまったく新しいモデルへと生まれ変わりました。
これまでのクラウンとは大きく異なることもあり、残価率がどのように設定されるのかに注目が集まっていましたが、2022年9月にほかのボディタイプに先駆けて発売が開始された「クラウン クロスオーバー」では、3年で52%、5年で36%となっており、先代よりも向上していることがわかります。
過去の販売実績がなく、将来の中古車市場での人気の予測が難しい新型モデルでは、残価率は堅実な数値に設定されることが多いことを考えると、今後の売れ行きによっては上方修正される可能性は十分ありそうです。
クラウン クロスオーバーの残価率が先代に比べて高く設定されているのには、現在トレンドとなっているSUVスタイルであることに加えて、グローバルモデルとなったことも影響しています。
日本の中古車は総じて状態がよいことから、アジアや中東、アフリカなどで非常に高い人気を誇ります。ただ、ほぼ国内専用モデルであった歴代クラウンでは、各国のニーズや法規制に対応していないことから、海外の中古車市場ではほとんど需要がなかったのが実情です。
一方、グローバルモデルとなった新型クラウン クロスオーバーは、多くの国でほとんどそのまま走行することができるため、海外からの引き合いも多くなることが予想されます。
海外での人気が残価率に与える影響は非常に大きいと言われています。その最たる例が、3年後の残価率が70%にもおよぶというトヨタ「ランドクルーザー」です。
圧倒的な信頼性を持つランドクルーザーは、日本国内以上に海外での需要が高く、その影響でリセールバリューが跳ね上がっています。
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ランドクルーザーは極端な例としても、新型クラウン クロスオーバーが海外での人気を得ることに成功すれば、必然的に残価率も向上していくと考えられます。
いずれにせよ、残価率を把握しておくことで、将来クルマを手放すことになった際や新しいクルマに乗り換える際に有利に働きます。残価率の高さだけを見てクルマを選ぶことはおすすめしませんが、ひとつの重要な要素であることは間違いありません。
文:ピーコックブルー
写真:トヨタ自動車
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みんなのコメント
残価の金利がえぐい!
500万で200万の買取りで300万の支払いなのに500万に対しての金利らしいね。
ディーラーでこの説明はなし。
これは法律に触れないのか毎回気になる。