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時代の移り変わりとトヨタ カローラの歩み【名車の生い立ち】

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時代の移り変わりとトヨタ カローラの歩み【名車の生い立ち】

車の歴史 [2024.05.19 UP]


時代の移り変わりとトヨタ カローラの歩み【名車の生い立ち】
 大衆車と聞くと、どんなクルマを思い浮かべるでしょうか。あなたが若い世代ならプリウスやヴォクシーの名前が挙がりそうですが、日本での大衆車といえばトヨタ カローラを外して語ることはできません。半世紀以上にわたり、日本はもとより世界でも愛され続けたカローラは、私たちの生活に寄り添い、時代の変化に応じた価値を創り続けています。今回はカローラの基本形であるセダン系モデルを軸に、その歴史を振り返ってみましょう。

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高度経済成長の真っ盛り、1966年に誕生した初代カローラ

初代(E10系):1966年 カローラ セダン(2ドア)
 トヨタ カローラが発売されたのは1966年のこと。現在(2024年5月)から58年前に遡ります。当時の日本は高度経済成長の最中で、東京オリンピックが開催されてから2年後のこと。「いざなぎ景気」といわれ、国内の景気がどんどん上向きになっていた時代でした。一般家庭にもカラーテレビ(Color television)、クーラー(Cooler)、自家用車(Car)が普及していき、これらは新三種の神器(頭文字から3C)と呼ばれています。そんな好景気も追い風となり、カローラは大いに注目されたニューモデルだったのです。


初代(E10系):1966年 カローラ セダン(2ドア)
 それ以前のトヨタの国民車といえば、全長3620mmのコンパクトなボディに0.8Lの2気筒エンジンを積んだパブリカというモデルが担っていました。パブリカは、現在でいうヤリスのご先祖となるコンパクトカーです。その上にあるのは、1.5Lミドルクラスセダンのコロナ。コロナは、例えるならマークX辺りのポジションといえばわかりやすいでしょう。カローラは、その隙間を埋めるモデルとして誕生し、全長3845mmのボディに排気量1.1Lのエンジンが搭載されました。当時のライバルである日産 サニーの排気量が1.0Lだったこともあり、「プラス100ccの余裕」というキャッチコピーで売り出したのも話題となりました。


オイルショックにもめげず、商品力を底上げした70年代カローラ

2代目(E20系):1970年 カローラ セダン(4ドア)
 1970年代に入ると、新時代の幕開けを予感させる出来事が多くありました。その象徴となるのが1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)。岡本太郎氏がデザインした太陽の塔は、今でも記憶に残っている人が多いはず。そのほかマクドナルドが日本上陸し、ファーストフードが身近になったのもこの時代。またボウリングも手頃な娯楽として一大ブームになり、女性プロボウラーがアイドル的存在としてお茶の間の顔となっていました。

 そんななか、1970年に登場した2代目カローラは、全長を3995mmまで拡大し、ひとまわり大きくなりました。排気量は1.2Lでスタートし、その後は1.4Lや1.5Lモデルが登場するなど、よりパワフルでゆとりの走りを獲得したのが特徴です。当時は東名高速道路が開通したばかりで、より遠くへ快適に移動する必要があり、クルマも相応に進化する必要があったのです。1972年にはカローラクーペをベースに、1.6L 直4DOHC(ツインカム)を搭載したカローラレビンも初登場。これはカローラの派生車種として独自の進化をしていきますが、それはまた別の機会に詳しくご紹介しましょう。


3代目(E30系):1974年 カローラ セダン(2ドア)
 1974年には3代目カローラが登場。ちょうどこの頃、オイルショックにより原油価格が高騰しました。ガソリンはもちろん、トイレットペーパーなどの日用品まで値上げという非常事態が起こり、日本はパニック状態に。トヨタもこれを受けて自動車を一時減産を行いましたが、そんな状況のなかでもカローラの販売は好調で、輸出にも力が入れられました。当時は排出ガス規制や衝突安全性への対応が求められましたが、カローラはボディを拡大することで対応。3ドアリフトバック、2ドアファストバッククーペボディが加わり、豊富なボディバリエーションも3代目のトピックといえます。


4代目(E70系):1979年 カローラ セダン(4ドア)
 70年代の最後の年でもある1979年、4代目カローラが発売されました。ボディデザインは直線基調となり、新時代を感じさせるモダンなフォルムになったのが見どころ。ボディタイプはセダン(2ドア/4ドア)、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バン(2ドア/4ドア)の7バリエーションで展開され、カローラ市場で最も多い展開となったのもこの世代です。1983年3月には生産累計1000万台を突破し、名実ともに世界の大衆車の座を獲得しました。


前輪駆動(FF)化に方向転換した80年代カローラ

5代目(E80系):1983年 カローラ セダン
 オイルショックも落ち着き、時代の転換期に入った80年代初頭。高度経済成長の余波も残る空気から脱却し、エンターテイメントも多様化していった時代がやってきました。それまでとは多方面で価値観が変わり、当時の若者は大人から「新人類」と呼ばれていました。1983年は任天堂からファミリーコンピューターが発売され、東京ディズニーランドがオープンしています。そんな年に発売されたのが5代目カローラ。セダンとリフトバックは従来までの後輪駆動(FR)を廃止し、当時主流となっていた前輪駆動(FF)を採用したのが最大のトピックといえるでしょう(ただしクーペ系のカローラレビンはFRを継続採用)。スタイリッシュなスラントノーズと異形ヘッドランプ、ボディと一体化したバンパーなど、当時流行のデザインを採用したのが外観の特徴。前後サスペンションはストラットの独立式とし、走りが大きく進化したのも見どころと言えます。


6代目(E90系):1987年 カローラ セダン
 「クラスを超えた世界のハイクオリティセダン」をテーマに、1987年に登場したのが6代目カローラ。不人気だったリフトバックボディを廃止し、ボディタイプはセダン、バン、ワゴンに整理されました。1989年10月にはカローラ初の4WD仕様を設定し、降雪地域に住むユーザーも安心して選べるようになったことも話題に。1990年には、車名別年間新車販売台数で30万8台を記録し、これは2010年にプリウスに抜かれるまで歴代最多の数字となっています。


よりモダンに、そして高級感を追求した90年代カローラ

7代目(E100系):カローラ セダン
 好景気に沸いた日本も、90年代に入って陰りが出てきました。その大きな出来事といえば、バブル経済の崩壊。株価や地価が急落し、倒産する企業が相次いだのです。企業収益が悪化し、これにともない消費も大きく低迷。日本はデフレへの道を辿っていきます。このほか1991年は、湾岸戦争の勃発やソビエト連邦の崩壊など、世界情勢が大きく変わった年でもありました。そんな激動の時代に登場したのが7代目カローラ。車体が設計されたのはバブル崩壊前ということもあり、小さなセルシオのような上品な外観と高級感を全面に押し出した豪華な内外装が特徴といえます。ボディサイズは、全長4270mm、全幅1685mm、全高1375mmとひとまわり大型化。スポーツツインカムと呼ばれる160馬力の4気筒DOHCエンジンも設定され、パワフルな走りも話題となりました。


8代目(E110系):1995年 カローラ セダン
 1995年にはフルモデルチェンジを受け、8代目カローラが発売されました。バブル崩壊後に開発されたこともあり、基本的に従来型から大きく変わることのない、キープコンセプトのモデルチェンジとなりました。高まる環境性能や安全性能への要求をクリアしつつ、トータルコストを削減した8代目は、シンプルで万人に好まれるスタイルに。一方、欧州とオセアニア仕様車は丸型ヘッドライトを採用するなど、この世代以降は仕様地で異なるデザインとなるのも特徴です。特に欧州仕様(3ドアハッチバック)は、WRCに参加したこともモータースポーツファンの記憶に刻まれていますね。


新技術を盛り込んだ21世紀のカローラ

9代目(E120系):2000年 カローラ セダン
 ミレニアムという言葉が流行した2000年。21世紀の到来を目前に控え、時代がまたひとつ変わろうとしていました。2000年の出来事といえば、日本では森連立内閣が発足したこと。海外では米大統領選にブッシュ氏が勝利、ロシア大統領にプーチン氏が当選した年でもあります。また「IT革命」という言葉が流行語となり、情報化社会がさらに飛躍していこうとした時代。そんな時代のなかで生まれたのが9代目カローラ。「New Century Value(ニューセンチュリーバリュー)」をコンセプトに掲げ、プラットフォームやエンジンを全て一新して開発されました。手堅いけれど、悪く言えば地味。そんな旧カローラのイメージを塗り替えたモダンなデザイン、サイズが大きくなったことで快適性を高めた走り、どれを見ても21世紀にふさわしい次世代のカローラと言えるものになったのです。また、高性能ツインカムエンジンを搭載した「GT」系グレード、クーペボディのカローラレビンは廃止され、セダンとワゴン(フィールダー)のみに。ちなみに2001年には派生車として5ドアのカローラランクスも登場しています。


10代目(E140系):2006年 カローラ アクシオ
 2006年にはフルモデルチェンジを受けて10代目カローラが登場しました。この世代では、国内向けと海外向けの差が大きくなり、プラットフォームも別となったのがトピックです。日本仕様は「カローラ アクシオ」と呼ばれ、5ナンバーサイズをキープ。外観デザインも先代のイメージを踏襲し、手堅いモデルチェンジとなりました。駐車場でドライバーの視界をサポートするバックモニターを全車標準装備するなど、装備の充実化が図られたのも話題となっています。


ハイブリッドエンジンを導入した新世代カローラ

11代目(E160系):2012年 カローラ アクシオ
 「アクシオ」というサブネームを引き継ぎ、2012年に11代目へとフルモデルチェンジを受けたカローラ。今回も仕様地によってプラットフォームが異なり、日本仕様はコンパクトカーのヴィッツ系から流用され、全長を50mm短縮。日本の道路事情にぴったりの使いやすい小型セダンになったのが大きな特徴でした。この時代は2代目~3代目のプリウスが大ヒットし、ハイブリッドカー全盛期。「エコカー」という言葉が繰り返し叫ばれた時代でもあります。トヨタもハイブリッド路線を拡大し、満を持してカローラにもハイブリッドエンジンが導入されました。改良を重ね、最終的にはWLTCモードで27.8km/Lという優秀な燃費を実現。この世代のカローラは次世代型が登場した後も併売され、コンパクトセダンを必要とするユーザーに向け、現在(2024年5月)でも新車販売されています。


12代目(E210系):2019年 カローラ セダン
 そして2018年、カローラは全く新しく生まれ変わりました。それまでは仕様地ごとにデザインや仕様が異なりましたが、この12代目では再び統一されてグローバルに展開されることになったのです。まず最初に登場したのは、2018年発売のカローラスポーツ(5ドアハッチバック)で、2019年にカローラ(4ドアセダン)とカローラツーリング(ステーションワゴン)が続きました。また2021年にはクロスオーバーモデルのカローラクロスも登場し、バリエーションを拡大。いずれもTNGAと呼ばれる新世代プラットフォームを導入し、走りや快適性を飛躍的に高めて現在に至ります。


今も昔も世界中の人に愛され続けるカローラ

8代目(E110系):1995年 カローラ セダン
 半世紀以上にも渡り、多くのユーザーに愛されてきたトヨタ カローラ。人気ジャンルがミニバンやSUVになった今でも、新車販売台数の上位にランクインしています。2021年7月時点で、カローラは累計販売台数は5000万台を記録。これを発売からの時間で割ると、なんと34秒に1台売れている計算になります。もともと日本の大衆車として開発されましたが、今では世界150以上の国や地域で販売され、世界的な知名度も高いクルマなのです。私たちの生活に根付いた名車カローラは、これからも時代に合わせて毎日の生活に寄り添ってくれるに違いありません。

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みんなのコメント

2件
  • cam********
    昔はカローラとサニーがライバルだった。
    走りではサニーが良くカローラは今のトヨタの流れ同様に、ちょい足し装備と値引きでユーザーを獲得した結果が現在に至ってる。
  • 上級国民
    カローラは日本車らしくモデルチェンジのたびに肥大化と値上げばかりするけどデザイン、走行性能、安全性、耐久性は20年前のゴルフにも遠く及ばないんだよね(笑)
    いつの時代も日本の庶民のためにフル装備で150万円の5ナンバーセダン、クーペ、ライトバンであるべきなんだよ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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