欠席メーカーが多かったとはいえ、今回も「パリサロンの華」はあった。テクノロジーとしても自動車メーカーの姿勢としても、トピックは「EV」(電気自動車)だったと思う。
9月のうちにそれぞれ北欧、カリフォルニアでお披露目を済ませていたとはいえ、メルセデス・ベンツは「EQ C」、アウディは「e-tron」を、ここパリサロンで広く一般に公開した。両メーカーにとって初の100%の電気自動車であるだけに、注目度は否応なく高かった。
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一方、BMWはすでにi3というピュアEVを市販車ポートフォリオにもつ余裕からか、初夏に北京で発表したコンセプト「i3X」を欧州初公開としたのみだ。そして、すでに日本でも受注が始まっているジャガーの「I-ペース」は独自の存在感を放っていた。欧州メーカーもいよいよEVの市販モデルに本腰を入れてきたのだ。
さて、メルセデスとアウディのEVはいずれもDセグメントSUVに分類されるが、サイズ感がけっこう異なる。EQ CはメルセデスのSUVであるGLCの兄弟モデルのようにいわれつつも、4761mmの全長はGLCとGLEの中間で、むしろジャガーI-ペースの4682mmに近い。対するアウディe-tronは全長4901mmと、Q5とQ7のあいだのサイズだ。
しかし気になるのは、車両重量だ。先行するピュアEVのSUVであり、全長5m超という特大サイズのテスラ モデルXが2330kgであるのに対し、EQ Cは2425kg、e-tronは2490kgと、いずれも2.4t台なのだ。
これはロールス・ロイスのレイスよりも重い。なにせEQ CはNEDCサイクルで450kmの航続距離を実現するため80kWh、e-tronはWLTPモードで400kmの航続距離を実現するため95kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しているためだ。
ちなみにEQ Cの最高出力と最大トルクは408psと765Nm。e-tronは365psと561Nm(ブーストモードでは408psと664Nm)をうたう。また、アウディは急速充電高規格化にも積極的で、最大150kWまで対応可能で、条件が整えば充電時間は約30分で済む。
もうすぐNEDCサイクルによる航続距離表示が失効し、WLTPに代わられるとはいえ、WLTP以上に実燃費に近く、実証的なスペックであるといわれるアメリカのEPA基準で、テスラ モデルX 75Dの航続距離は383kmだ。いずれのドイツ製EVはやはり造りが重たい。しかもテスラにはよりアシの長い、つまりバッテリー容量を大きくとった航続距離優先の100Dがある。
静的状態で触れる限り、EQ Cもe-tronも内燃機関のクルマに遜色ないクオリティの高さと豪華さを感じさせる。EQ Cの内装は、ふたつのパノラマ・スクリーンを繋ぎ合わせたフルデジタルのメーターと、マルチメディア・インターフェイスという最近のメルセデスではお馴染みの仕立てで、隣に置かれた新型GLEにも通ずる。
e-tronのインテリアは「アウディ・クオリティ」とも言うべき緻密さが特徴。フルデジタルメーターとインフォテインメント・スクリーンパネルにくわえ、センターコンソール下部にあるはずのエアコンスイッチ類もタッチスクリーン化し、計3つのスクリーンを備える。オプションのCCDカメラ式ドアミラーを備えれば有機ELディスプレイがもう2つ追加されるので、計5個になる。
メルセデス・ベンツはまだEQ Cの価格を発表していないが、欧州価格で1000万円弱といわれる。また、アウディe-tronは米国で7万4800ドル(約840万円)とアナウンスされている。
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