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何もないのに道路の「予防的通行止め!」なぜ? 事故や工事、災害に警備もないのに… 近年見かける「とりあえず封鎖します」措置 実施“せざるを得ない”理由とは

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何もないのに道路の「予防的通行止め!」なぜ? 事故や工事、災害に警備もないのに… 近年見かける「とりあえず封鎖します」措置 実施“せざるを得ない”理由とは

■「予防で通行止めします!」なぜ?

 事故や災害などが起きておらず、工事や要人の通行もないのに、高速道路が「通行止め」になることがあります。
 
 一体どんな理由で通行止めにするのでしょうか。

【画像】「えっ…」 これが「案の定、ノーマルタイヤでスタックするクルマたち」です

 高速道路が通行止めになる理由は、主に2つに分けられます。

 ひとつは、本線上で大事故が起き、車線を支障してしまったり、地震や台風などの災害が起きて道路施設に損害が予測され(もしくはすでに発生した)、いちどパトロールして安全確認が必要な場合など、「通行するクルマに危険がおよぶ可能性がある」という場合です。

 もうひとつが、海外の首脳や皇室が通行するなど要人を警護したり、大規模な工事を実施するなど「一時的にクルマが走らない状況を作らないといけない」場合です。

 しかし、これらのように「現在進行形で通行止めにしなきゃいけない状況」が発生しているわけではないのに、「前もって、はやめに通行止めしておく」ケースがあるのです。

 この措置は「予防的通行止め」と言われます。高速道路だけでなく、国道などでも実施されます。

 きっかけは、近年観測された記録的な大雪です。直近では2014年や2016年、2021年などのケースで、東京でも大雪警報が発令され、道路をはじめ、鉄道などの交通網すべてが麻痺状態になりました。

 いっぽう、首都圏の都市部などでは、例年そんなに雪が降らないため、タイヤチェーンの携行やスタッドレスタイヤの装着といった、クルマの雪への備えが非常に甘く不十分な人も多くいます。

 大雪降る中、そんな人たちが普段のように高速を利用するとどうなるでしょうか。

 出入口のランプやトンネル付近は急な坂道になっていて、登れないクルマが出てきます。反対に、下り坂でタイヤのグリップを失い、滑り落ちてしまう場合もあります。もしかしたら、スリップして本線をふさいでしまうかもしれません。

 そうした立ち往生車が続出すると、後続車がどんなに良いスタッドレスタイヤを履いて、チェーンを巻いていたとしても、強制ストップを強いられます。

 先頭の立ち往生車が復帰を試みたり、事故処理をしているうちに、止められている後続車にもどんどん雪が降り積もっていきます。そうすると、そこでもスタックしたりして、やがてこれらも立ち往生。

「立ち往生車によって、別の複数台の立ち往生車を引き起こす負の連鎖」を永遠に繰り返すという、最悪のシナリオです。

 しかも、高速道路では、一般道のように歩道もないため、沿道から助けにいくことはできません。

 事の発端となった立ち往生車の周りにいる立ち往生車をひとまず片付けてから、ようやく先頭の立ち往生車の処理に入るしかないのです。

 このとき、立ち往生が原因でマフラーがふさがれてしまい、車内で一酸化炭素中毒などによって体調不良者が出ても、周りも立ち往生車でふさがれているため、救急車でただちに助けに行くことすらできません。

 実際に、そういった事例も何度も発生しています。

 2020年、関越道の月夜野IC(群馬県)から小出IC(現:魚沼IC・新潟県)にかけての約70kmの区間で、2000台以上が立ち往生。通行再開までに48時間以上を要しました。

 都心近くでも同様の事例がありました。

 2022年1月、大雪警報が発令されるなか、首都高横浜北線の新横浜出入口で大規模な立ち往生が発生しました。これも横浜青葉方面からの上り坂でスタック車が続出したのが原因でした。

 この当日、都内の首都高各地で同時多発的に立ち往生が発生。台場線のレインボーブリッジや中央環状線でも、やはり坂を登れないクルマによって数十台以上が立ち往生。中央環状線では解消まで14時間を要しました。

 こうした「最悪のシナリオ」を経験し、国土交通省などは「人命を最優先に、幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避する」ことを基本的な考え方とした「予防的通行止め」を実施するようにしたのです。

 この「予防的通行止め」では、事故や立ち往生などによる「ピンポイントの通行止め」だけでなく、その通行止め区間の末端で出口渋滞などが発生し、そこで別の立ち往生などが起こることも見込んでいます。

 そのため、降雪が少なかったり、そもそも降雪すらない状態でも、とりあえず全部まとめて躊躇なく通行止めにしてしまおう、ということなのです。

 また、一度通行止めにすれば、除雪車を大量投入することもでき、積もった雪を一気に排除することも可能です。

 これが最終的には通行止めの早期解除につながっていき、道路ネットワークが麻痺せずに済むのです。

※ ※ ※

 前提として、「予防的通行止め」が発動するようなときは、東京でも大雪警報になるなど、もはや「予測をはるかに超える大雪」が降るような状況です。

 そもそもこうした状況では、「不要不急の外出は控える」ように呼びかけられる災害レベルなので、のっぴきならない急用でなければクルマを使った移動は控えるべきです。

 それでもどうしようもなく外出しなければならないときは、スタッドレスタイヤの装着は当然として、チェーンやスコップなどを携行し、どこでスタックしても不思議ではないという考えのもと、いつも以上に注意して運転する必要があります。

 なお、「予防的通行止め」が実施されるときは、NEXCOなどの公式サイトやSNSのほか、道路交通情報センターのサイトでも確認できるので、雪予報が出たときは、こまめにチェックしましょう。

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みんなのコメント

21件
  • lov********
    なぜもっと早くに対応しなかったんだ、と、誰かに責任を取らせようとする人が増えたからでしょう。
  • kat********
    雪が降るからスタッドレス。誰が言い始めたのでしょうか?

    正しくは路面凍結の恐れのある最低気温になってきたのでスタッドレスが正解ではないでしょうか?

    予防的通行止めの措置が必要になる=路面状況が理解できないドライバーが多い。結果、大事になる前に止めてしまえ。ってなるんでしょうね。

    ドライバーのモラルが道路管理者の枠外に飛び出しっぱなしの現状故、やむを得ない措置なのだと思う。

    免許所有者として運行する環境に対応できない方があまりにも多すぎる。日々の生活が維持できない位に追い込まないと大都市圏の方々が意識を改めるのは難しいと思います。

    選民意識を徹底的に潰すためにもどんどん予防は行う方が良いかと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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