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バイクのヤマハが医療分野にも参入、ロボット技術活かし「細胞研究のベストパートナーに」

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バイクのヤマハが医療分野にも参入、ロボット技術活かし「細胞研究のベストパートナーに」

ヤマハ発動機はバイクメーカーとして広く知られているが、バイクなどの生産工場で使う産業用ロボットを自社で開発し、さらにそれを他企業に販売する産業用ロボットメーカーでもある。さらにヤマハはこのロボット技術を活用し医療分野へ参入、新たな活路を見出そうとしている。

ヤマハは14日、医療業界に向けた新製品「CELL HANDLER2(セルハンドラーツー)」を発表した。細胞を扱う研究のさまざまな工程における作業環境の効率化を目指して開発したもので、新薬の開発現場などで活用される。実はヤマハは2017年より医療・健康分野に参入している。産業用ロボット技術を応用し、成長する医療・健康分野を戦略的事業領域と位置付け、将来の収益創出をめざす。

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「セルハンドラーツー」は、細胞の取り扱いやデータ取得を高速・高精度に行う細胞ピッキング&イメージングシステムとしては、その名の通り2代目にあたる。「細胞研究のベストパートナー」をコンセプトに、最先端技術を取り入れ、研究者からのフィードバックを活かし、ユーザーエクスペリエンスを向上した次世代セルハンドリングシステムとなっている。新型ではAIによる自動化とイメージング機能の強化、操作感の向上を実現し、新たな発見を目指す研究者の挑戦を力強くサポートするとしている。

世界の医療用医薬品の市場は、年平均5~8%もの成長が見込まれており、2028年には2.3兆ドル(約350兆円)規模にのぼるとみられている。日本においてもIPS細胞が注目されるなど、細胞研究をベースとした新薬開発が活発化しておりここにヤマハが着目。細胞を選別し、抽出するというような人間の能力を超えた精緻な作業が求められる創薬や細胞研究の現場に向けて、1981年より開発を進めてきた産業用ロボットの技術を応用し、2017年に初めて「セルハンドラー」を市場投入した。

バイク工場などで採用する表面実装機(プリント基盤に小さな電子部品を自動装着する装置)で積み重ねた高速処理能力、画像解析力の高さを強みとするセルハンドラーは、国内外の研究機関や製薬企業に導入され、創薬開発などの工程の負荷軽減に役立てられているという。新型では現場の声を取り入れ、画像解析力のさらなる向上、AI機能の搭載、ユーザビリティの向上が図られた。また、「さまざまな現場での研究者の挑戦を強くサポートしたい」という思いから、装置の小型・軽量化もおこなった。

初搭載となるAI機能は、研究現場から提供されたデータ等に基づき、必要とされる条件の細胞をAIが学習し、自動で選別。従来機では識別が難しかった条件でも、対象細胞を検出・収集することが可能となった。またこれにより幅広い研究分野への活用も可能となるという。

カメラは細胞までの高さ方向の認識を強化するオートフォーカスを初採用、動画撮影が可能になり細胞の拍動等の記録も可能となった。タイリング画像の自動生成や20倍の対物レンズの追加などがアップデート。トレーサビリティが向上することで、研究データの信頼性向上にも寄与する。また10μmから500μmまでの細胞をダメージ少なく吸引・吐出する特殊チップを備えた、高精度に制御された8連ヘッドは約20%の高速化を実現するなどにより、研究効率の向上が見込まれる。

ヤマハは2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities 人はもっと幸せになれる」を掲げ、ロボティクス技術の活用により人々の可能性を広げ、より良い生活と社会の実現をめざすとしている。2022~24年の中期経営計画においては、モビリティサービスや低速自動走行、農業と並び、医療・健康を「将来のコア事業を生み出すための新規事業」のひとつと捉えており、事業化による売上高の創出をめざしている。

セルハンドラーツーは売り切り型ではなく、AIのアップデートやメンテナンス、アフターサービスを含めたビジネスモデルとしており、将来的には蓄積したAIのノウハウなどを元にデータビジネスも視野に入れる。2025年3月より販売を開始、現在の顧客は国内が中心だが、海外でのさらなる展開もおこない年数十億円規模の売上創出をめざすという。

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