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ザ・グランドツアラー ベントレー・コンチネンタルGT フェラーリ612 スカリエッティ アストン マーティンDB9 3台比較 後編

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ザ・グランドツアラー ベントレー・コンチネンタルGT フェラーリ612 スカリエッティ アストン マーティンDB9 3台比較 後編

同時代の他のフェラーリより扱いやすい

アストン マーティンDB9のホイールベースは、今回の3台で最も短い。確実に路面へ追従する安定感と相まって、操縦性のシャープさに目を見張る。見通しのきくカーブへ積極的に侵入すれば、爽快に回頭し、ラインをトレースしていく心地良さを堪能できる。

【画像】ザ・グランドツアラー コンチネンタルGT 612 スカリエッティ DB9 現行モデルも 全146枚

突っ込みすぎると、穏やかなアンダーステアへ転じる。だが、リアアクスルの駆動力で姿勢を整えやすいことにも唸らされる。

ステアリングの感触は、フェラーリ612 スカリエッティを超えてはいない。オートマティックの変速も、若干時間を要する。それでも、穏やかな気持を保っている限り、郊外の一般道を高速で快適に処理できる。

ダークブルーの612 スカリエッティのオーナーは、ニール・ルース氏。6速シーケンシャル・セミオートマティックが、迅速な変速を披露する。グランドツアラーとして、同時代の他のフェラーリより扱いやすいことは明らかだろう。

どこを切り取っても、視覚的なドラマには事欠かない。V12エンジンの頂部を飾るレッドのカムカバーや、彫刻的なダッシュボードのデザイン、センターコンソールの小さなリバース・レバーに至るまで、眺めていて飽きることはない。

新車時は、この3台で最も高価だった。そのかわり、最も情感的でもある。

シートへ腰を下ろすと、ドライバーへ焦点が向けられていることを実感する。サイドボルスターは高く、座面は低く、操作系との距離感が好ましい。

動力性能を引き出したくなる壮観な音響

612 スカリエッティのリアシートは比較的広く、平均的な身長の大人なら、大きな不満なく長距離移動できるはず。荷室はDB9より70L大きいから、手荷物の置き場に困る可能性も少ない。

エレガントと表現したいスタイリングであっても、612 スカリエッティのV12エンジンは壮観なサウンドを奏でる。高回転域での素晴らしい表現力は、動力性能をすべて引き出して欲しいと、ドライバーへ強く訴えているように聞こえる。

もしフルパワーを引き出すなら、6速セミオートマティックが生む衝撃を和らげるため、変速時はアクセルペダルを僅かに戻す作業が求められる。スポーツ・モードを選び、容赦ないシフトアップと圧倒的な加速力を味わうのも悪くないが。

グリップ力は見事といえ、気張りすぎると控えめなアンダーステアで限界を教えてくれる。長いホイールベースのおかげで、安定性は高い。

ステアリングホイールの感触は随一。ボディサイズが大きいから、姿勢制御はフェラーリの理想には届いていないようだ。路面が荒れてくると、落ち着きにも陰りが出てくる。

一方、ベントレー・コンチネンタルGTは、これらの2台とは明確に方向性が違う。内装にはレザーとウッドパネルが惜しみなく用いられ、会員制バーのラウンジのよう。四輪駆動システムは秀抜な安定性を披露し、外界の変化に翻弄されることはない。

求められる要件を最も高次元に満たしている

W12気筒エンジンは静かにうなり、回転数を高めても個性を表出することはない。トルクが極めて太く、シフトセレクターをDに入れ、おおらかに走るのが最も好印象を生む。

コーナーを抜けるたびに、2.3tを超える車重を実感する。ステアリングは正確に反応するものの、手のひらへ伝わる情報量は最小限。レシオもかなり低い。

撮影終盤、突然の大雨に見舞われてしまったが、コンチネンタルGTはまったく意に介することなく走り続けた。フロントタイヤのグリップ力は、2台を凌駕。外界との隔離性の高さと相乗し、悪天候時の安心感は非常に高い。

6.0L W12エンジンは、低回転域ではトルクフルで安楽。軽くない車重も、安定した走りへ大きく影響している。高回転域まで引っ張っても、612 スカリエッティやDB9のようなエキサイティングさは薄いが。

今回の3台で、最も理想的な2000年代初頭のグランドツアラーはどれだろう。初代コンチネンタルGTは、英国なら最近は2万ポンド(約360万円)程度で入手可能だから、魅力的なチョイスといえる。だが、ドライバーを報いる能力では2台に及ばない。

アストン マーティンDB9のグラマラスなスタイリングにも、強く惹かれる。それでも、上級グランドツアラーとしての能力を冷静に比べるなら、フェラーリ612 スカリエッティが筆者の最有力。求められる要件を、最も高次元に満たしていると思う。

協力:ナイジェル・サンデル社、スコット・フィッシャー氏、サイモン・ドラブル・カーズ社

2000年代初頭のグランドツアラー 3台のスペック

ベントレー・コンチネンタルGT(2003~2011年/英国仕様)

英国価格:11万ポンド(新車時)/4万ポンド(約720万円)以下(現在)
販売台数:3万3206台
全長:4804mm
全幅:1920mm
全高:1390mm
最高速度:315km/h
0-97km/h加速:4.9秒
燃費:4.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2385kg
パワートレイン:W型12気筒5998ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:560ps/6100rpm
最大トルク:66.1g-m/1600rpm
ギアボックス:6速オートマティック(四輪駆動)

アストン マーティンDB9(2004~2012年/英国仕様)

英国価格:10万3000ポンド(新車時)/5万ポンド(約900万円)以下(現在)
販売台数:約1万6500台
全長:4697mm
全幅:1880mm
全高:1318mm
最高速度:299km/h
0-97km/h加速:5.4秒
燃費:4.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1760kg
パワートレイン:V型12気筒5935cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:456ps/6000rpm
最大トルク:57.9g-m/5000rpm
ギアボックス:6速オートマティック(後輪駆動)

フェラーリ612 スカリエッティ(2004~2011年/英国仕様)

英国価格:17万500ポンド(新車時)/10万ポンド(約1800万円)以下(現在)
販売台数:3025台
全長:4902mm
全幅:1957mm
全高:1344mm
最高速度:321km/h
0-97km/h加速:4.4秒
燃費:4.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:V型12気筒5748cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:547ps/7200rpm
最大トルク:59.8g-m/5250rpm
ギアボックス:6速セミオートマティック(後輪駆動)

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