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『シン仮面ライダー』はご覧になりましたか?仮面ライダーと言えばバイクが登場しますが、主人公が被っていたヘルメットは、ROOFというフランスメーカーのボクサーV8Sです。
数量限定の新仮面ライダーレプリカヘルメットも販売され、発売開始時にはあまりの人気にサーバーがダウンするほどでした。
シン仮面ライダーが劇場公開された2023年3月18日以降、ボクサーV8Sは品薄状況が続いていましたが、ようやくお借りすることができたので使ってみました。
ボクサーV8Sの付属品とカラーバリエーション
ボクサーV8Sは専用の収納袋に収められており、日本のヘルメットメーカー同様に袋の内側は塗装やスクリーンが傷つきにくいように裏起毛を採用しています。
入り口の紐は細身ながらしっかりとした質感で、絞ると斜め掛けはできませんが、肩にかけて持ち歩けるぐらいの長さになり、アジャスターを絞ることで緩みを防ぎます。
取り扱い説明書は裏表になっていて、フランス語だけでなく、英語の表記もあります。写真入りで書かれているので、なんとなく書いてある内容は読み解くことができますが、日本語版が欲しかったところ。
面白い付属品として、リフレクションステッカーが付属されていました。二種類4枚、正面/横/後ろに貼ることで視認性を上げる狙いがあるようです。
カラーバリエーションはマットブラックのみで、価格は7万7000円。「ボクサーV8Sタトゥー」というグラフィックモデルもラインナップされており、シールドを固定するベース部分にスパイラルパターンが加えられたマットブラック。価格は7万9200円です。
ボクサーV8Sのデザイン
今までたくさんのヘルメットをレビューしてきましたが、見たことのないような独特なデザイン、例えるなら映画などで見かける戦闘機パイロットのヘルメットのようです。
チンガードを開けることができるシステムヘルメットで、横から見るとチンガード部分が大きく張り出していますが、厚みがあるため口元のスペースは決して広くはありません。
開閉可能なチンガードを除いたベースのヘルメットに関しては、ベンチレーションを除けばシンプルなストリートジェットのような形状ですが、チンガードに関しては各所にエッジを効かせており、口元左右に設けられたスリット形状が個性的です。
帽体の後ろ側には、エアアウトレットとスタビライザーが一体化したようなパーツが配されており、シンプルなストリートジェットにはない独特の雰囲気があります。
前後に貼られたROOFのロゴステッカーは同色なので目立ちませんが、塗装の下に貼られているため剥がすことはできません。
ステッカーは他にも複数貼られていますが、個人的にはこの雰囲気なら可能な限り剥がしてしまいたいところ。
ボクサーV8Sの機能性
チンガードは一般的なシステムヘルメットと異なり、全閉時に左右をボタンで固定する形になっています。
閉める際にはボタンにフラップを固定するだけですが、開ける際には不意に開いてしまわないようにロックされており、フラップ下についた赤いボタンを押すことでロックが解除される仕組みです。
開閉後のチンガードはぐるりと後頭部まで持っていくことが可能で、前からの見た目は完全にシールド付きのストリートジェットヘルメットのようになります。
シールドはセンター上部に突起があり、掴みながら開閉する形です。開閉時には多少抵抗がありますが、締める際は少し力を入れて密閉させます。
チンガードには左右それぞれ常時開放のベンチレーションを備えますが、さらに開閉可能なベンチレーションがあり、開閉時には直接口元に風を取り込むことができます。
頭頂部のベンチレーションはインナーバイザーを備えるわけではありませんが、かなり後ろの方にあり、開閉はシーソー式で容易に行うことができます。
アウトレット側もシーソー式で開閉可能ですが、下向きなので雨天時も簡単に水が入ることはなさそう。常に開けておいても良いかもしれません。
シールドは傷/UVカット/曇り止めの加工がされています。呼吸は常時開放されているベンチレーションで抜けますし、シールドは曇りにくそうです。
標準装備シールドはクリアですが、オプションでスモーク/ライトスモーク/イリジウムシルバーがラインナップされており、価格はそれぞれ1万5400円。雰囲気的にはイリジウムシルバーがマッチしそうです。
あご紐に関しては樹脂製のラチェットバックル式を採用。日本向けの海外ヘルメットに追加されがちなDリングはついていません。
インカムに関しては、スピーカーホールがないので難易度高め。あご紐の周りにスペースがあるので、工夫すれば装着できるかもしれません。
ボクサーV8S 内装
内装はトップ/左右チークパッドの3点が取り外し可能。あご紐カバーは縫い付けられており、外すことができません。
肌面に吸湿速乾性に優れた素材を採用しつつ、制菌加工も施されており、バクテリア繁殖を抑制して匂いを抑えます。
トップ内装のクッション性は良好で、メッシュ生地を左右に採用することで通気性も良好。
脱着の際には、後ろ側はボタン2点、前は差し込んで上から抑える形で、若干難易度が高めです。
チークパッドは、後ろ側に長い独特な形状でクッションも薄めですが、被り口の部分は合皮を採用することで見た目に配慮しています。
眼鏡に関してはこめかみに当たる部分がトップ内装とチークパッドの間にあり、一段凹んでいるので、スムーズに差し込むことが可能です。
ボクサーV8Sの重さ
ボクサーV8SのMサイズを計測してみたところ、重さは1600gでした。
チンオープン機能を備えるシステムヘルメットは1600g後半から1800g程度なので、比較的軽量といえるでしょう。
ただシステムヘルメットは、インナーバイザーがセットになっていることも多く、ボクサーV8Sに関してはインナーバイザーがないため軽量になっているのでしょう。
※ヘルメットは製造時に重さに個体差が生じます。単色とグラフィックモデルを比較すると、使用する塗料やデカールの量により後者の方が重くなる傾向があります。
ボクサーV8Sのフィット感
製品を借りる際に担当者から、海外ヘルメットなので1サイズか2サイズ上の方が良いと提案されました。日本のヘルメットに比べて、縦長で横が狭い設計になっているとのこと。
筆者はARAI/Kabuto/SHOEIいずれもMサイズですが、普段使っているSHOEIのヘルメットはフィッティングで縦横にクッションを追加しています。
そのため普段通りのMサイズを借りてみましたが、問題なく装着可能で、1時間30分ほど走りましたが、頭が痛くなることもありませんでした。
ただ被り口に関しては狭いので、チンオープン状態で被りました。着用した後はチークパッドの圧迫感はなく快適です。
ボクサーV8Sを被って走ってみた
試乗当日の天気は曇り、最高気温30度、風は弱め。試乗に使ったバイクはスズキのGSX-8Sです。
被って初めに感じたのは、実測値以上の帽体の軽さ。1600gはフルフェイスフルメットとしては軽くはありませんが、帽体の重量バランスが良いためか体感的には軽いのです。
ただチンオープンしてガードを後ろまで回すと、重量バランスが後ろに傾くので、頭が後ろに引っ張られるような感じになります。
巻き上げの風を防ぐチンカーテンはついていませんが、チンガードが下に長いので、風が入ってこず、常時開放のベンチレーションで口元が涼しく感じます。
下道走行でのスピードでは、耳元まで届くような風の勢いはなく、風切り音は小さめ。
しばらく走ってベンチレーションを開放してみましたが、グローブをしたままでも簡単に操作できました。
口元は常時開放のベンチレーションがあるわけですが、追加でベンチレーションを開けると涼しさが倍増。下道の走行でも口元から鼻ぐらいまで涼しく感じます。
頭頂部のベンチレーションはコンパクトに見えましたが、意外と流入量は多め。ただ位置が後ろの方にあるため、頭頂部から後ろの方に風が流れる印象です。
高速道路では若干の抵抗も
高速道路も走行してみましたが、80km/h~100km/hぐらいの走行では風の抵抗を感じることもありました。帽体本体よりもチンガードが影響しそうな印象ですが、車線変更の際などに大きめに頭を振ってみても、抵抗が強くなるような事はありませんでした。
下道では感じなかった風切り音も、高速道路では大きめ。相変わらず巻き上げの風が入ってくる印象はありませんが、常時開放ベンチレーションからの風が耳の方まで届くようになっている影響が大きそうです。
見た目だけじゃない、使い勝手も良好なヘルメット
筆者のようなミリタリー好きにとっては、戦闘機パイロットヘルメットのような見た目は最高なので、正直に言えば機能性は二の次という感じではあるのですが、実際に使ってみるとベンチレーションや静粛性に関しても優れていました。
帽体が大きめなので、個人的には上半身にボリュームを持たせた方が似合うように感じます。肩回りのプロテクターがゴツめのライディングジャケットにはマッチするのではないでしょうか。
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