運営元:外車王SOKEN
著者 :林 哲也
「メルセデス・ベンツ 230-6」でのスモールベンツライフ!輸入車オタクの回顧録
私(ライター・林)は2002年生まれの21歳。現在は都内の大学に通っています。はじめてスマートフォンを手に入れたのは、小学6年生のときのこと。思春期をSNSとともに乗り越え、今も常にスマホ片手に生活しています。時間と場所を選ばない、便利な情報交流の恩恵にあずかり続けて早10年。もはやスマホなしで生活することなど、できっこありません。
そんなデジタルネイティブな私にとって、クルマ趣味の世界とは、SNS上で「つながり」を増やすことで、楽しみが何倍にも膨れ上がるモノ。そこで今回は、ネット社会の酸いも甘いも嚙み分ける(?)、Z世代の私ならではの趣味の楽しみ方をご紹介してみようと思います。
■境界線がない趣味の世界の魅力
私がはじめてクルマを購入したのは、今から2年前の2021年の春。納車されてまず一番にしたことは、コンビニに入って愛車の写真を撮り、ツイッターに投稿することでした。私の“納車ツイート”は、(ありがたいことに)多くのエンスージアストの目に留まったようです。多くの反応をもらい、新たなコミュニケーション網を得ることができました。
私がツイッターでクルマ趣味の発信を始めたのは、4年前のこと。当時はまだ運転免許すら所有していない、ただのクルマ好きな少年。SNS上で繋がった友人とレースゲームのオンライン対戦を楽しんだり、自転車(ピストバイク)でどこかに赴いた日常を発信したりするなかで、現在のカーライフの礎を築いていたように思います。
私が思う「つながりを楽しむカーライフ」のもっとも良いところは、自身のクルマはおろか、運転免許すら持っていなくても、魅力的な人的交流に恵まれる点です。好きなクルマの趣味嗜好さえ合えば、年齢も職業をまったく気にすることなく、低コストで交流を試みることが可能です。互いの発信を通じて知識を深めるなかで、時にクルマ論議が白熱することも。
クルマへの熱意さえあれば、免許すらない“子供”でも気軽にクルマ趣味のコミュニティに参加できる環境、とても貴重で素敵だと思うのです。SNSがない時代だったら、オフラインのカーミーティングに(電車と徒歩で)勇気を持って参戦しなければ、マニアックなクルマ論議の輪に入ることは困難だったでしょう。しかしSNS上には、誰にでも発言権がある、開かれた趣味の世界が、大きく広がっています。多様なエンスージアストと容易に交流できる環境に(免許を持つ前から)恵まれた経験こそが、私のカーライフの入口でした。
■クルマを所有することは、新たなヒトと出会うこと
さて、クルマ購入後にお話を戻しましょう。ヒトとの出会いによって趣味の世界が開けていった私のカーライフ。クルマを購入したことで、よりさまざまなバックグラウンドを有する友人との出会いに恵まれたように感じます。交流する人々の年齢や職業の幅が広がりました。
その理由は、きっと「クルマが名刺代わりになる」から。クルマ趣味にのめり込む人々にとって、愛車とは、自分自身の興味関心を体現するものです。そのため、お互いの愛車を通じて、さまざまなヒトとのコミュニケーションの端緒が生まれます。お互いの愛車の共通点見つけ、シンパシーを感じることができたら、そこから新たな興味関心の扉が開くのです。
すなわち、「クルマを選ぶこと=自己表出」なのです。面白いクルマに乗っているヒトは、きっと面白いヒト。自分が今まで持ち得なかった価値観を有していて、交流を通じてたくさんの刺激を得られるに違いないでしょう。お互いの価値観を尊重して、お互いの選択に関心を寄せるクルマ談義を通じて、自身の趣味の世界が深みを増していくのです。
さまざまな属性を有する“多様性社会”の内側で趣味談議に勤しむなかで、自身の“価値観の引き出し”をたくさん増やすことができた気がします。私はまだ大学生。大学のコミュニティの内側で歳が近い友人としか交流していなかったら、きっと今よりもずっと、単一のモノの見方に固執するつまらない人間に成り下がっていたことでしょう。
「つながり」を楽しむカーライフにおいて、趣味の世界は“社交の場”。最近は、電車で都内に赴いて、クルマで出会った友人と(クルマなしで)お酒の席を楽しむことも増えてきました。それほど、生まれ育ったバックグラウンドを共有していないヒトとの交流は楽しいのです。自分が知り得なかった知識・経験との出会いは、驚きの連続です。「クルマ好き」という共通項があるだけで、利害関係のない関係性の心地よさといったら!
■ライフスタイルのなかのひとつの道具としてのクルマ
インターネットを通じた「つながり」を楽しむカーライフにおいて、趣味と生活は密接に関わりあうもの。それぞれのSNSのプロフィール欄からは、各々のクルマ観だけではなく、日々の暮らしぶりを窺い知ることができます。ライフスタイルの中のひとつの道具として、こだわりと愛を持ってクルマと接している、という感覚がもっとも近いでしょうか。
オフラインのクルマのミーティングでは、人々の興味の対象は並べてあるクルマであって、オーナー個人のライフスタイルではありません。対してSNS上の関わりでは、個人のライフスタイルの一部として、クルマ趣味を受容している気がするのです。SNS上では各々のクルマのある生活を“概観”することができます。SNS上で素敵なクルマを見つけ、タイムラインを閲覧することは、そのオーナーのライフスタイルを知ることでもあるのです。
だからこそ、「つながりを楽しむカーライフ」では、ライフスタイルが合う人と話すことが非常に容易。クルマ談義に端を発して、音楽の話に発展することもあるし、ファッションの話に興じることもあるし、はたまたインテリアの話が盛り上がることも多々あります。
私がここでお伝えしたいことは、カーライフのなかで出会った友人は「趣味の友人」に収斂しないということ。「つながり」を楽しむカーライフは、本質的には「クルマそのものと向き合い、楽しむこと」ではないのです。友人とのコミュニケーションを通じて、自分の価値観を豊かにすることや、日々の暮らしを少しブラッシュアップすることに楽しみを見出しているように感じます。
もちろん、クルマそのものと向き合う楽しみも、クルマ趣味には欠かせない喜びです。それらを存分に楽しむ趣味の世界の先に、インターネットを通じた「つながり」は、新たな楽しみを与えてくれるのです。クルマの嗜み方は、人それぞれ。各々を尊重できるコミュニティとの出会いは、きっと私達のカーライフを、より豊かなモノへと進化させてくれるに違いありません。
[撮影&ライター/林哲也]
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