SUV販売No.1のRAV4に追加でPHVにヒットの機運大! 先駆者アウトランダーPHEVはトヨタに劣勢!? それとも優る!?
2019年11月22日、米国・ロサンゼルスオートショーで、プラグインハイブリッド車(PHV)のトヨタ RAV4 Primeが世界初公開された。国産SUVのPHVとしては三菱 アウトランダーPHEVに次ぐ2例目となる。
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RAV4は目下、SUV販売No.1を独走しているだけに、これを機にPHVでもRAV4がトップブランドに躍り出ることは大いにあり得る。
一方、アウトランダーPHEVは2013年6月のリコールが水を差した感もあり、画期的な中身とは裏腹に、成功を収めたとは言い難いのが正直なところ。RAV4に勝る魅力はあるのか。
文:御堀直嗣
写真:編集部、TOYOTA、MITSUBISHI
【画像ギャラリー】SUVではトヨタ初のPHV! RAV4 Primeの詳細は?
RAV4 PHVは既存HVのモーター&バッテリー強化版で2020年夏発売!
PHVのRAV4 Prime。システム出力はハイブリッド比+83hpの302hpを発揮! EV走行距離は約62kmで、同65kmのアウトランダーPHEVと同等
トヨタは、LAオートショーで、RAV4のPHV仕様「RAV4 Prime(プライム)」を世界初披露した。
既存のRAV4ハイブリッド車をもとに、モーター性能を向上させ、リチウムイオンバッテリーを増量して床下に搭載することにより、加速性能はハイブリッド車より高く、また、あらかじめ充電することによるモーター走行は約62kmを実現している。
後輪には、モーター駆動を追加したE-Fourも採用しており、これもRAV4のハイブリッド車と同様だ。
走行性能とは別に、災害対応として最大1500Wの外部への給電機能を備え、家庭電化製品に使うことができる。日米では2020年の夏、欧州へは同年後半に市場導入の予定だ。
“先駆者”アウトランダーPHEVの売れ行きは?
2013年登場時のアウトランダーPHEV。SUVの本格PHEVとしてパイオニアといえる存在だ
SUVのプラグインハイブリッド車といえば、三菱のアウトランダーPHEVが先駆である。2013年1月に発売され、世界で累計約23万台が販売されている。
とはいえ、発売から6年を経て、たとえば2019年10月の国内販売台数は228台にまで落ちている。
乗用車ブランド通称名別順位でも、エンジン車を含めたアウトランダーが50位までに顔を見せることがなくなっており、唯一9月にはアウトランダーとして1309台の44位に入り、そのうちアウトランダーPHEVは1099台を販売している。
9月初旬に台風15号が上陸し、千葉県で大規模な停電が起こったことで電動車両の給電機能が注目されるきっかけとなり、それが後押しとなっているかもしれない。
とはいえ、2018年10月から今年10月までの国内における月販台数の平均値は約521台と1000台を割る状態だ。
一方、海外では、3000台以上が平均的に売れており、4000台、5000台という水準の月もある。2018年10月から2019年10月の平均販売台数は約3769台である。
2013年からの長いモデル期間を考慮すれば、良いとは言えないまでも着実な販売が続いているといえるのではないだろうか。
そして改良は続いており、燃費を向上させたり、モーター走行距離を延ばしたり、それにともない回生による充電性能を高めたりしている。
トヨタとの違いは? アウトランダーPHEV独自の魅力
2018年改良型のアウトランダーPHEV。この改良で駆動用バッテリー容量を12.0kWhから13.8kWhに増大し、最高出力を10%向上。さらにリアモーター出力を約12%アップ
2015年には、「ダイナミックシールド」と呼ぶ新たな三菱の顔をグリルに施し、存在感を高めて同年には自販連の順位でアウトランダー全体として30位台の販売実績を残した。2019年9月には、オーディオの充実や、スマートフォン連携ナビゲーションの設定が行われた。
災害対応では、2011年の東日本大震災を受けて開発された、軽EVのi-MiEVで使えるようにした「MiEVパワーボックス」を、アウトランダーPHEVでも利用できるようにしたほか、直近では、第64回東京モーターショーで紹介された、『電動ドライブハウス』の取り組みが開始されている。
これは、太陽光発電や、VtoH=電動車両から家庭への給電、専用電気料金プランなどで構成する仕組みを一体化し、電動車両を購入した消費者が、ディーラーで機器の設置から運用管理に至る契約をワンストップで済ませられるサービスだ。
三菱と、福岡県のサニックス社の提携により実施している。VtoHシステムはリース契約とし、太陽光パネルなどを含む装置一式は設置費をゼロ円とする電気料金システムを適用することで、経済的に容易にはじめることができるようにした。
これを利用すれば、太陽光パネルによる排ガスゼロの電気を電動車両や家庭で使え、万一の停電の際には、電動車両に充電された電気と、太陽光パネルによる電力とを家庭で使うことができる。
HVがベースのRAV4 PHVに対して、EVをベースとし、家庭への給電も視野に入れるアウトランダーPHEV。そこに両社の違いが表れている
こうした家庭への給電の考えは、日産がリーフ・トゥ・ホームで実施しているが、三菱の場合は、それをワンストップで行える点で消費者により親近感を覚えさせるだろう。
国では、2012年に低炭素社会へ向けた道筋が策定され、これに対応した家屋をゼロ・エミッション・ハウス(ZEH)、あるいはゼロ・エミッション・ビルディング(ZEB)と呼び、2020年までに標準的な新築住宅でZEHを達成し、2030年には平均的な新築住宅でZEH化を進めるとしている。
つまり、電動車両が社会基盤の一つに位置づけられる考え方が、住宅などを含めながらすでにはじめられており、EVやPHEVの販売と普及は、もはや交通社会の課題だけではなくなっている現状がある。
その状況はトヨタも認識はしはじめているが、RAV4 Primeにおける電力供給は1500Wを最大とする家庭電化製品水準にとどまっている。
家庭電化製品を使えるようにするだけの給電のトヨタと、家庭や商業ビルなど施設への給電を視野に電動車両の位置づけを考える日産や三菱の取り組みの差は、どこから生まれてくるのか。
それは、日産や三菱が大量のリチウムイオンバッテリーを使うEVの開発をしたのに対し、トヨタは、電動車両はハイブリッド車の技術をもってすれば作れるとした、車両性能のみを見ているからだろう。
つまり、電動車両の価値に対する視野がトヨタはまだ狭い。EVの開発においても、まず中国で現地のEVメーカーと提携する手法を取り、米国で発表したRAV4 Primeも、ハイブリッド車をもとにしたプラグインハイブリッド車だ。
一方のアウトランダーPHEVは、i-MiEVというEVの技術を基にしているため、走行はモーターのみにより、また多くのリチウムイオンバッテリーを使うことによる施設への給電を考えることができた。
それは日産が考えるEVを含めたスマートグリッドへ発展し、また今後大量に出てくる中古バッテリーの再利用という事業へも目を向けることを可能とする。
トヨタの電動車戦略は、いまだ自動車メーカーとして旧来(エンジン車)の発想から抜け出せていないといえる。
三菱の課題は新型RVRの遅れ!? PHEV導入で新たな起爆剤に
現行型RVR。適度なサイズ感だけに、新型と同時に他社にないPHEVを追加できれば三菱の新たな稼ぎ頭になる可能性も
最後に、何か懸念材料があるとしたら、三菱として登録車の新車が出せていないことではないだろうか。ことに、SUVと電動化を2本の柱とする三菱にとって、新型RVR導入の遅れは課題といえるだろう。
RVRは、2010年に現行車が誕生し9年を経ている。RVRが新型となれば、トヨタのRAV4とC-HR、ホンダのCR-Vとヴェゼルのように、大小のSUV構成が整い、消費者の選択肢が増える。
電動化されたSUVとして次期型RVRが登場すれば、店に客足が増え、そして現物を前にRVRにするか、大きめのアウトランダーPHEVのほうが自分に合っているか検討でき、そこでアウトランダーPHEV成約の機会が訪れるかもしれない。
ミニバンとして独創の存在であるデリカD:5も、発売から12年を経ている。軽自動車のeKワゴンは新しくなったが、登録車の新車が登場することによって、アウトランダーPHEVを含め三菱各車種の販売に活気づくことになるだろう。
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みんなのコメント
ぶっちゃけ、商品力ではトヨタに勝るものは無い。
しかしそれでも三菱のクルマも所有するのは
トヨタに無い個性を持ってるから。
昔をたどれば、バランサーシャフト
(サイレントシャフト)や日本国内のガソリン直噴などは
三菱が規模を大きくしたものであり、
それらは当時トヨタがまだやってなかったこと。
だから日産みたいにトヨタに追従するのではなく
三菱からアイディアを出せるかが
生き残るカギでしょうね。
日産傘下になったことで、これが良くなるといいんだが…