2008年、ベントレー コンチネンタルGTに「スピード」というサブネームが与えられたモデルが登場。1923年の名車「ベントレー 3リッタースピード」の精神を受け継いでデビューしたこのモデルは、ベントレーとして初めて最高時速200マイル(320km/h)の壁を突破したことでも大きな注目を集めた。ここでは箱根で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)
瞬く間に世界中でヒットしたコンチネンタルGT
ベントレーは、自らの年間生産台数を1万台に限ると公言している。1万台限定を謳うようになったのは、昔からではない。2003年に登場したコンチネンタルGTのヒット以来のことだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)
新たな親会社であるフォルクスワーゲンが同社初の高級サルーン「フェートン」用に開発したプラットフォームとエンジンを活用し、流麗で現代的なクーペボディをまとって登場したのが、コンチネンタルGTだ。
筆者は、発表直後のコンチネンタルGTとその年のル・マン24時間レースを制したベントレーEXP8に、南フランスで乗ったことがある。コンチネンタルGTは鈴木亜久里氏と交代で、モンテカルロからポールリカールサーキットまでハンドルを握り、EXP8には助手席に乗ることができた。
モンテカルロに到着すると、オテル・ド・パリの前には、あらかじめ何台ものコンチネンタルGTが並べられていた。前日まで、スペインのマラガで、別のプレスイベントが行われていて、そこから地中海沿いに、陸路、走ってきたという。贅沢なことに、その陸送運転手役は、ベントレーや(実動部隊である)アウディの契約レーシングドライバーたちだった。
「マラガから、ずっとスムーズに走って来れたから、非常に早く着いたよ。4輪駆動だから、とても安定していて、ハイスピードで巡航できた」
人なつこい笑顔で、コンチネンタルGTの印象を語ってくれたのは、ル・マン24時間レースに優勝したトム・クリステンセンだった。クリステンセンのインプレッションを聞いていなかったとしても、コンチネンタルGTの好印象は変わらなかっただろう。地中海沿いの、見通しが悪く、曲がりくねった高速道路を走っても、高速巡航性能を安定して発揮し続けていたからだ。
もうひとつのベントレーであるアルナージも、年々改良とパワーアップが施されてきたとはいえ、コンチネンタルGTのハイパフォーマンスは、同じベントレーとは思えないほどだった。
やはり、フェートンや兄弟車であるアウディA8のそれを思い起こさせる、現代的な速さだ。とくに、ターボ過給されたW型12気筒エンジンのパワーとトルクは圧倒的で、560psと66.3kgmは2.4トンを越える重量級ボディを軽々と加速させる。加速はエンジンだけによるものではなく、4WDシステムによる絶妙なトルク配分のなせるわざだった。なるほど、クリステンセンの言う通りだと感心した。
コンチネンタルGTの魅力は動力性能だけではなく、インテリアのしつらえにも備わっていた。ベントレー伝統のデザイン文法を守りながら、素材や色づかいで、とてもモダンな印象を与えることに成功していた。
各パーツの仕上げが丁寧なことにも驚かされた。アルミニウム製のスイッチやノブには必ず滑り止めのギザギザが刻まれ、絶妙な「重さ」で動くように調律されていた。コンチネンタルGTは、新しい時代のベントレーにふさわしい動力性能と魅力を持っていた。
そんなコンチネンタルGTが売れないはずはなく、瞬く間に世界中でヒット。日本でも同様で、スポーツ選手や有名人をはじめ富裕層の間で一種のブームを巻き起こしたほどだ。ごく一部の裕福なクルマ好きだけのものであったベントレーを、コンチネンタルGTは世間一般に解放したのだ。
さらに一体感が強くなったコンチネンタルGTスピード
ヒットを受け、2ドアクーペのコンチネンタルGTに引き続き、4ドアサルーンのコンチネンタル・フライングスパー、2ドア4座コンバーチブルのコンチネンタルGTCと次々に発表され、シリーズは形成されていった。そのバリエーションとして登場したのが、コンチネンタルGTのハイパワー版「コンチネンタルGTスピード」だ。
特徴的な12気筒エンジンの最高出力は15%増の610psに、最大トルクは9%増の76.5kgmに増強された。
パワーアップは、新型エンジンマネージメントシステムの導入、新しいクランクケース、コンロッド、エキゾーストシステム、エアインテーク等々の採用によって実現している。他にも、様々な部分に軽量化やローフリクション化が施され、最高速度326km/h、0→100km/h加速4.5秒という超高性能を達成した。
ベントレーぐらいの高級車ともなると、自分から高級であることは体現しない。コンチネンタルGTスピードも、スタンダードのコンチネンタルGTと見分けるのが難しい。2台並べてみれば、フロントグリルの傾斜角度やグリルネットの色合いなどが若干異なることに気付く。しかし単独では難しいだろう。エンブレムなどもともと付いていないし、ボディ形状が違うわけでもない。ドアを開けたサイドフレーム上のトレッドプレートに「Speed」の文字を認めるくらいだ。
走り出してみると、大きな津波のような加速が一段と力強くなったのがわかる。反面、排気音は低く抑えられている。インテリアに変わりはないように見受けられるが、詳細は停まって検討しないとわからない。ステアリングホイールの直径が375mmへと小径化されたことも印象を少し変えている。
ここにすべてを書き出せないくらい、サスペンションとシャシに細かな改変が行われているが、フロントサブフレームのマウント構造強化やダンパーのセッティング変更、ステアリングギアボックスの改良などがハンドリングと乗り心地に大きく作用している。
パワーアップとともに、コンチネンタルGTよりも強い一体感が得られた。快適性は向上し、パワーは増えた上に、ドライバーの運転によりビビッドに応えるようになった。コンチネンタルGTスピードの登場によって、コンチネンタルシリーズは魅力を深め、さらに前進したと言えるだろう。(文:金子浩久/Motor Magazine 2008年8月号より)
ベントレー コンチネンタルGTスピード 主要諸元
●全長×全幅×全高:4815×1920×1390mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2390kg
●エンジン:W12DOHCツインターボ
●排気量:5998cc
●最高出力:610ps/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1750rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6速AT
●最高速:326km/h
●0→100km/h加速:4.5秒
●車両価格:2570万円
[ アルバム : ベントレー コンチネンタルGTスピード はオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
結局さぁ……日産[GT-R] とヒョンデ[IONIQ5 N]って結局どっちが良いの??
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?