■茨城ダッシュや松本走り、伊予の早曲がり。地域オリジナルのご当地ルールとは?
クルマを運転する際は、道路交通法などの交通ルールを必ず守る必要がある一方で、地域独自のルールも存在します。
そもそもこのようなご当地ルールは合法なのでしょうか。
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こうしたご当地ルールは、たとえば愛知県の「名古屋走り」、茨城県の「茨城ダッシュ」や長野県の「松本走り」、愛媛県の「伊予の早曲がり」などは有名かもしれません。
しかし、このような運転スタイルは交通事故につながる危険性もあるため、ニュースなどでもたびたび取り上げられています。
では、実際にどのようなご当地ルールがみられるのでしょうか。
ルールに明確な定義はありませんが、「茨城ダッシュ」「松本走り」「伊予の早曲がり」では、じわじわと交差点に進入し、信号が青になった瞬間に右折するといった右折運転が行われています。
こうした運転は、対向車の死角にバイクが入るため、右折車とバイクが衝突するケースも少なくないようです。
茨城ダッシュについて、茨城県警の担当者は以下のように話します。
「茨城ダッシュは、信号が青になった瞬間、猛スピードで右折をする運転方法です。
こうした運転は、右折先の横断歩行者や自転車に気づかず、事故が発生しやすいです」
一方で、山梨県の「山梨ルール」は、右折待ちのクルマを優先的に右折させる運転方法となっています。
また、信号機のない横断歩道では、歩行者より優先して右折したり直進したりするようです。
さらに、信号無視や、車線変更禁止場所での車線変更、わずかな車間距離で割り込むなど、さまざまな行為で有名なのは「名古屋走り」です。
テレビや新聞の報道で、愛知県の交通事故の多さに紐付けられることも珍しくありません。
地域によっては、名前のついていないご当地ルールも存在します。
例えば、高速道路の追い越し車線を走る際に、右ウィンカーを出しっ放しにして追い越し車線を走りたい意思表示をするという、北海道地域もあるようです。
■危ないご当地ルールは合法?
こうしたご当地ルールには、強引な右折や信号無視など、いくつか共通点があります。
このような運転は危ないだけでなく、交通ルールに違反するケースが多くあります。
まず、対向車が直進したり左折したりするのを遮って先に右折する運転は、「交差点優先車妨害違反」になります。
道路交通法第37条では次のように定められています。
「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」
また、右折する際に交差点で徐行しない運転も違反行為となっており、道路交通法第34 条第2項で以下のように定められています。
「自動車等は、交差点で右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側を徐行しなければならない」
このことから、上記に挙げた「茨城ダッシュ」や「松本走り」などは道路交通法の違反に該当することがわかります。
さらに、歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときに一時停止せずに進む運転は、道路交通法第38条により「横断歩行者等妨害」となります。
上記の山梨ルールなどはこれに該当するといえるでしょう。
このように、道路交通法違反に該当するご当地ルールですが、各県警ではさまざまな対策を行なっています。
前出の担当者は、対策方法について以下のように話します。
「茨城ダッシュは非常に危険な運転方法のため、SNSやYouTubeなどさまざまな場所で『茨城ダッシュは交通違反です』といった注意を促しています。
また、茨城県警では『手をあげよう大作戦』を実施しています。
横断歩道を横断時に手を挙げて合図をすることによって、茨城ダッシュによる歩行者との交通事故を減らす取り組みを推奨しています」
さらに、愛媛県警は、2022年1月に交差点での取り締まりを重点的に行うプロジェクトチームを立ち上げました。
伊予の早曲がりの危険性について啓発するポスターを制作し、ゆとりある運転をドライバーに呼びかけています。
※ ※ ※
また、岡山県には、車線変更や右左折する際にウィンカーを出さない「岡山ルール」なるものもあります。
そのため、岡山県独自で、交差点の手前約30メートルの地点にウインカーを出す目安となる「★合図」という道路表示を行っています。
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