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初代MINIクロスオーバー オール4はファン待望の4ドア・4WD車だった 【10年ひと昔の新車】

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初代MINIクロスオーバー オール4はファン待望の4ドア・4WD車だった 【10年ひと昔の新車】

2011年1月、MINIクロスオーバー(最新型ではカントリーマンにモデル名変更)がMINIファミリー4番目のモデルとして誕生した。MINIシリーズ最大のボディサイズで話題となったが、MINIで初めて4WDが選択できることも大きな注目ポイントだった。今回はデビュー間もなく、冬の北海道のスノーロードを舞台に行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年5月号より)

4ドアで4WD、しかも300万円台の車両価格という魅力
B~Cセグメントで、4ドア、300万円台の車両価格、そして4WDシステムの搭載という条件でクルマを探したとき、すべての要素を満たすクルマは意外に少ない。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

例えばBMW1シリーズにはxDrive搭載車はないし、メルセデス・ベンツのA/Bクラスにも4マティックは搭載していない。ボルボだってC30 にはFFしかない。では、アウディやフォルクスワーゲンはどうか。A3の2.0TFSIクワトロやS3、ゴルフRはたしかに4WDだが、かなり予算オーバーとなってしまう。しかし、そこにすべての条件をクリアするぴったりなモデルとしてMINIが加わった。そう、MINIクーパーS クロスオーバー オール4だ。

従来からあった「MINI」よりもボディサイズの大きな「MINIクロスオーバー」の全長は4120mm、全幅1790mm。ハッチバックMINIよりは大きいが、だからといってMINIらしさがなくなったわけではない。

独特のヘッドライトデザインから台形グリル、大型のホイールアーチ、縦型テールランプといったエクステリアやシートポジションこそやや高いものの、そこから見える特徴的な大型スピードメーターなどのインテリアはどこから見てもMINIそのものだし、走りもゴーカートフィーリングは健在だ。そうした意味ではMINIは欲しいが、〝3ドアではちょっと不便〟と最初から候補から外していたファミリーユースの人にとってはかなり食指が動く存在になるはずである。MINIにはクラブマンもあるが、4枚のドアがあるクロスオーバーの使い勝手の良さには及ばないだろう。

さらにオール4と呼ばれる4WDシステムを搭載したこのモデルを待ち望んでいた人もかなりいるのではないだろうか。その魅力はたびたび伝えてきたが、今回はスノードライブで4WD性能の実力を試すことができた。

1.6L直噴ターボエンジンと相性のいいボディサイズ
MINIクロスオーバーでオール4は、1.6L直噴ターボエンジン搭載車のクーパーSにのみ組み合わされる。最高出力184ps/最大トルク240Nm(オーバーブースト時は260Nm)を発揮するこの直4ターボエンジンは、ほかのMINI、つまりハッチバックやカブリオレ、クラブマンのクーパーSにも搭載されているが、持てるパフォーマンスを存分に使い切れるということでは、ボディが大きく、車重は増えているが、MINIファミリーのなかでもクーパーS クロスオーバーとの相性が一番いいと思っている。ワインディングでの姿勢変化の少ない走りや高速走行時の直進安定性は、ホイールベースがハッチバックMINIに比べて長くなっていることによりさらに増しているからだ。

試乗のステージに選ばれたのは3月初旬の北海道である。札幌市内の路面状況の変化が多い市街地、高速道路、林間コース、そしてラリージャパンにも使われたクローズドのオフロードコースなどが用意されていた。装着されたスタッドレスタイヤはダンロップDSX-2、タイヤサイズは標準装着サイズの205/55R17である。

MINIクロスオーバーのキーを渡され、荷物と撮影機材を積み込み試乗に出発するが、外は生憎の、いや絶好の大雪。路面はミラーバーンではなく、新雪の走りやすい状態であった。

最初は、慎重に様子を見ながらの試乗だったが、街中のストップ&ゴーや曲がりの角、コーナーをひとつふたつとクリアして慣れてくると、札幌市内では、気がつけば地元ナンバーと同じペースで走っていた。これはDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)の効果も大きいのだろう。挙動がほとんど乱れずに思ったラインどおりに走ることができるため自然とまわりの流れに乗って走っていたようだ。

さすがにゴーカートフィーリングを味わうことはできないが、雪道の走行に常識的なペースでの走る、止まる、曲がるに不安はまったく感じられず、オール4の実力を存分に味わうことができた。

クローズドのオフロードコースでは、急発進、急ブレーキ、急ハンドルなど公道では絶対にタブーとされることを繰り返したが、四輪が力強く雪を掴みハンドルを切った方向に進もうとしているのがよくわかる。挙動は乱れる。しかし、そこからすぐにクルマを安定させる方向に向かい、コントロールできる状態への復帰が早いので安心して走ることができるのだ。

MINIクーパーS クロスオーバー オール4は、どんな雪道でも終始安定したドライブができるということは、雪深い林間コースでも確認できた。かなり深い轍のあるコースではあったが、危ないと感じる場面を経験することもなく〝楽に〟走ることができ、〝楽しさ〟さえ感じる余裕もあったほどだ。

試乗中、道産子からMINIクロスオーバーはかなり視線を浴びていた。彼(彼女)らは、雪道における4WD性能を我々以上に厳しくチェックしていたようである。そしてその優秀さに驚いていたように私には感じられた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:永元秀和)

MINI クーパー S クロスオーバー オール4 主要諸元
●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2595mm 
●車両重量:1460kg 
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:135kW(184ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1600-5000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD 
●車両価格:379万円(2011年当時)
※6速MT仕様は車両重量1440kg、車両価格366万円。
※オーバーブースト機能作動最大トルクは260Nm。

[ アルバム : MINI クーパー S クロスオーバー オール4 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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