調整式アームは一切使わずに実現した極低スタイル!
ノーマル然とした外観でワイド感とローフォルムを際立てる
「中古車相場を動かした伝説のER34スカイライン」戦うために生まれた滑走戦闘機【OPTION back number】
「純正ルックスの中に潜む個性を引き出す」というテーマで、トヨタ86のシャコタンメイクに挑戦したのが“轟自動車”だ。前後とも約85mmものローダウンが図られるが、調整式アームの類を一切使用せず、最小限のパーツと加工で構成。いわゆる誰にでも真似できる“ファーストステップ的なシャコタン”という位置付けだ。
トヨタ86の場合、スタンス製の車高調を最も短い状態にセットすれば、70mmぐらいまでは落とすことができる。しかし「そこからプラス5mm~10mmを望むと、様々な加工や工夫が必要になる」とは、代表である宮崎さんの弁。早速、轟自動車ならではのシャコタンメイクをチェックしていこう。
まずフロントから。ダンパーのロワブラケットでキャンバー角を稼ぐと、スタビリンクとダンパーの干渉が顕著になる。そのため、ローダウンによってネガティブ方向が強まるナチュラルキャンバーと、スタンス車高調に標準装備される調整式ピロアッパーマウントでキャンバー角はネガ4度に設定している。
車高調はスタンス製で、全下げ状態でセット。ローダウン量は先述の通り70mmだが、この86はスプリングのロックシートを1枚抜いてロワブラケット下に移動する裏技を使い、さらに15mmほどのダウン量を稼ぎ出している。
フロントタイヤは、一般的な86用サイズよりも外径が小さくなる215/40-18を選択。ボディとの干渉リスクを少しでも減らすための策だ。
ホイールはワークマイスターS1Rで、サイズは9.0J+25(スペーサー25mm)。純正フェンダーではかなり厳しいため、片側30mmワイドとなるオリジナルのKMOフロントワイドフェンダー(8万1900円~)を装備している。
ちなみに、KMOワイドフェンダーはサイドステップ先端の突き出たサブフレーム部をカットしなければ装着できない。というのも、トヨタ86でインチアップしてローフォルムを追求していくと、必ずと言っていいほどこの部分と干渉する。轟自動車は、それを見越してサブフレームカット前提のフェンダーを製作したのだ。
そしてリヤ。シャコタンユースを想定して企画されたスタンスの車高調は、元々リヤに150mmという自由長の短いスプリングが使われている。しかし、さらなるローダウンを実現するべく、自由長120mmのショートスプリングに変更している。
リヤのキャンバーは特に調整を行っていないが、さすがにここまで車高を下げれば、ナチュラルでネガティブキャンバー(3.5度)が付く。タイヤサイズは225/40-18で、リムの深さが印象的な10.0J+29のマイスターS1Rで引っ張り出す。
ちなみに、タイヤはトレッドパターンのデザインを優先してグッドイヤーのイーグルREVスペックRS-02を選択。何よりも、引っ張りタイヤにした時のリムガードのエッジが気に入っているそうだ。
製作を担当した宮崎さんは「この辺りが純正アームの限界。ここに調整式アームや延長ロワアームを入れれば、さらに落とせるけど普段乗りが大変になるかも(笑)」と語る。
発展途上とはいえ、とても純正アーム仕様とは思えない極低フォルムを実現した轟自動車の86。エアサスやリフターシステムが幅を利かせる中、あえて車高調でのシャコタン道を突き進んでみるのも面白いかもしれない。
●取材協力:轟自動車 大阪府柏原市国分市場2-9-17 TEL:072-944-0886
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