フォルクスワーゲン・ティグアンに追加されたディーゼル+4WDの「TDI 4モーション」。2019年初めの一部改良で、装備のアップグレードなどが図られたので、取材の足を兼ねて試乗してみた。
スペック以上の性能を感じさせるクリーンディーゼル
フォルクスワーゲンのコンパクトSUV、ティグアンの現行型は2017年の1月に日本デビューを果たす。だが当時はFFのガソリン車のみだった。
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翌18年夏に、待望のクリーンディーゼル+4WDの「TDI 4モーション」が追加設定され、この19年初めに装備のアップグレードなどが行われた。今回試乗したのは、TDI 4モーションのラグジュアリーグレードである「ハイライン」だ。
冒頭にコンパクトSUVとは書いたが、全長は4500mmにおさえられたものの全幅は1840mm、全高は1675mmと、日本製のライバルに比べると少し大きい。だが、レクサスのUXはほぼ同サイズだし、国産のミドルクラスSUVもほとんどが全幅は1800mmを超えている。
実際に乗り込むと、適度に目線が高くて視界も良く、比較的スクエアなボディは見切りも良いので、大きさはあまり気にならない。
尿素SCRシステムなどを採用したVWの新世代ディーゼルエンジンは以前にパサートで体験している。だがティグアンのそれは排気量など基本的には同じものの水冷インタークーラーを省略しソフトウエア制御の違いなどで、パサートの190ps/400Nmに対し150ps/340Nmとパワースペックは少し抑えられている。
車重もパサートより少し重い1700kg以上あるから、パワー的には少しツラいかな…と思ったが、その不安はすぐに拭い去ってくれた。加速性能はまったく不満のないレベルにある。
むしろディーゼルエンジンというと低速トルクが大きく、発進時に蹴飛ばし感が強すぎてギクシャクするモデルもあるのだが、ティグアンは必要以上に加速せず、スムーズに車速が上がっていくのが良い。
加速時の1000~2000rpmあたりのエンジン音は、いかにもディーゼルらしい独特の音が高まるのは好みの分かれるところだが、このクルマを選ぶ人なら気にならないレベルにあるだろう。
試乗車はオプションのDCCパッケージ装着車で、これはダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性を瞬時にコントロールする先進のサスペンション。ドライブモードは「エコ」「ノーマル」「コンフォート」「スポーツ」そして「カスタム」と切り替えられる。
通常は「ノーマル」で十分。箱根の山道などでは「スポーツ」に入れると足回りが締まって走りが楽しい。市街地の路面の悪そうなところは「コンフォート」で。「エコ」でも走りっぷりに不満はないが、エアコンも控えめになるので少し気温が高いときには向かない。
7速でのエンジン回転数は、80km/hで約1300rpm、100km/hで約1600rpm。高速クルージングは高級車並みとは言わないが十分に静かで快適だ。
今回は取材の足などで約360km走行(高速7:市街地3くらいの割合)して、平均燃費計は16.6km/Lを示した。もちろんエアコンは入れっぱなし、ドライブモードは「ノーマル」がほとんど。エコランもしていない。
JC08モード燃費が17.2km/Lだから、高速走行が多かったとはいえ実燃費はかなり良いようだ。軽油はガソリンより安いから、距離を走るほど燃料代の差は大きくなる。
新世代のデジタルメータークラスターは見やすく、しかも操作しやすい。ヘッドアップディスプレイも備わるから、運転中は視線の移動が少なくて済むのが良い。
安全運転支援システムは車線維持まで行うレベル2の自動運転に対応しており、高速クルージングは疲れ知らずで快適だ。
リアシートもラゲッジスペースも広さは十分。サイズ的にも使い勝手は高く、クリーンディーゼル搭載で経済性もアップ。
イニシャルコストは国産の同クラスSUVよりは高めだが、ドイツ車ならではのボディ剛性の高さや安全&快適装備の充実度、そして長く乗っても飽きのこないトラディショナルなスタイルなどを考えれば、ティグアンは誰にでもオススメできるコンパクトSUVの1台だ。(文:篠原政明/写真:森山良雄ほか)
ティグアン TDI 4モーション ハイライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4500×1840×1675mm
●ホイールベース:2675mm
●重量:1730kg
●エンジン:直4DOHCディーゼル+ターボ
●排気量:1968cc
●最高出力:150ps/3500-4000rpm
●最大トルク:340Nm/1750-3000rpm
●JC08モード燃費:17.2km/L
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置き4WD
●価格(税込み):498万9000円
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