近年、人気の高まるコンパクトトールワゴンのなかでもとくに支持率が高いトヨタ「ルーミー」とスズキ「ソリオ」。軽自動車とミニバンの中間的ポジションとして登場した両車にはどのような違いがあるのでしょうか。
コンパクトトールワゴンジャンルで人気のトヨタ「ルーミー」 コンパクトトールワゴンと呼ばれるジャンルはまだ新しく、2011年にソリオが登場したことがキッカケとなり誕生しました。
トヨタ「ルーミー/タンク」なぜ人気? ダイハツ「トール」とほぼ同じでも販売台数に差が出る理由
ソリオは軽自動車と比べ、高い車高による優れた居住性や必要十分な運動性能、燃費性能から、大ヒットと呼べずとも着々と販売台数を伸ばしていきます。
その後、2016年にダイハツ「トール」やトールのOEM車のトヨタ「ルーミー/タンク」とスバル「ジャスティ」が登場し、一気にコンパクトトールワゴンの人気に火が点きました。
日本自動車販売協会連合会の新車販売台数統計(軽自動車および海外ブランドを除く)では、ルーミーは、登場して約1年後の2017年には販売台数ランキング11位となる7万8675台を販売。2018年には、ランキング10位となる8万6265台を販売するなど、登場後すぐに爆発的な人気を博します。
一方のソリオは、過去4年の統計を見る限り、2015年は3万8488台(23位)、2016年は4万8814台(18位)、2017年は4万9742台(20位)、2018年は4万4884台(24位)と、後発のルーミーと比べて勢いはありませんが、安定した人気を獲得しています。
では、両車の違いにはどのような特徴があるのでしょうか。
ルーミーのパワートレインは、1リッター直列3気筒ガソリンエンジン(最高出力69馬力)または1リッター直列3気筒ガソリンターボエンジン(最高出力98馬力)の2種類が設定されています。
一方のソリオは、1.2リッター直列4気筒ガソリンエンジン(最高出力91馬力)と2種類の電気モーター(最高出力13.6馬力/最高出力3.1馬力)とガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッドの全3種類が設定されています。
カタログ燃費上(JC08モード)での比較では、ルーミー22.0km/Lから24.6km/L。対するソリオは22.0km/Lから32.0km/Lです。
パワーを最重要視するユーザーにとっては、ルーミーのターボモデル1択となりますが、燃費を求めるのでればソリオのハイブリッドモデルがおすすめできます。
ボディサイズ(最大値)は、ルーミーが全長3725mm×全幅1670mm×全高1735mmとなっており、室内寸法は室内長2180mm×室内幅1480mm×室内高1355mmです。
対するソリオは、全長3710mm×全幅1625mm×全高1745mmとなり、室内寸法が室内長2515mm×室内幅1420mm×室内高1360mmとなっています。
両車のサイズ感は、同じコンパクトトールワゴンのため大きな差はありませんが、収納の使い勝手ではそれぞれに特徴が見られます。
ひとつは、後部座席のスライド幅において、ルーミーが240mm、ソリオは165mm、と大きな差があり、これは積み込み可能スペースやリクライニングの角度に影響します。
スライド幅が長い方が、大きい荷物や量の多い荷物を積み込むことができ、リクライニングもより深くまで傾けることが可能です。
また、トランクの高さがルーミーは527mmであるのに対しソリオは665mmとなっており、荷物の積み込みやすさという点でもルーミーの方が一枚上手です。
居住性を比較した結果、全体的なサイズではほぼ互角でしたが、収納性能の高さという点でルーミーに軍配が上がりました。
安全性能、グレード、価格にはどのような違いがある? 近年、さまざまな機能が登場している安全機能や運転支援機能では、どのような違いがあるのでしょうか。
ルーミーは、予防安全機能「スマートアシストIII」が下位の1グレードを除き標準装備されていますが、オプション装着はできません。
対するソリオは、予防安全技術「スズキセーフティサポート」が下位2グレードを除き標準装備化されており、この2グレードにオプション設定で装備することが可能です。
そのほか、オートハイビーム機能や前後誤発進防止機能、車線逸脱警報機能など、近年多くのメーカーでも装備されているものは基本的に備わっています。
以前までは、ソリオの方が安全装備において充実しているといわれていましたが、ルーミーも2018年末にマイナーチェンジをおこない安全装備が充実したため、安全機能や運転支援機能では大きな差はありません。
スズキ「ソリオ」のデュアルカメラ また、グレードや価格(消費税込)では、ルーミーは全6グレード(特別仕様車除く)で146万3400円から196万5600円です。対するソリオは、全5グレードの145万9080円から223万1280円となります。
下位グレードは同価格帯ですが、上位グレードには約20万円の差があります。これは、前述のハイブリッド車の有無によるものです。
今回の比較では、性能の優劣という観点では決定的な差は見られなかったものの、燃費性能を求めるならソリオ、パワーや収納性能を求めるならルーミー、というそれぞれの持ち味が明確になりました。
しかし、販売台数においてルーミーが圧倒的に上回っているという事実は、コンパクトトールワゴンを選ぶユーザーにとっては収納性能が重要な要素の1つであることを物語っています。
元祖コンパクトトールワゴンとして長年愛されているソリオと、後発ながら爆発的人気を誇るルーミーは、似たようなコンセプトを持ちながら、個性が違うクルマといえます。
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