この記事をまとめると
■モータージャーナリストのまるも亜希子さんが経験した衝撃体験を告白
ハブボルトが次々折れてあわや大惨事!! 自動車ライターが経験したクルマとんでも事件簿【小鮒康一編】
■サハラ砂漠を走るガゼルラリー参戦時に悲劇が起きた
■日本では考えられない砂丘での大回転によって大事故一歩手前の経験を味わったという
サハラ砂漠でのラリーで大惨事に!
そろそろ30年に手が届こうかというドライバー人生のなかで、幸い“普通の道”での大きな事故は経験することなく過ごしてきましたが、地球の裏側に近い“普通ではない道”で、その大事件は起こってしまったのです。
あの日は朝から気合い十分のはずでした。忘れもしない、2004年4月23日。私はサハラ砂漠2500kmを走破する女性だけのラリー、通称ガゼルラリーに初めて参戦していました。
本格的な四輪駆動システムを持つ車両に、ドライバーとナビゲーターのふたり1組が乗り込み、8日間分の着替えや食料、野宿用のテントや寝袋など、一切合切を積み込んで走るラリーです。1991年からの開催歴を持つガゼルラリーの存在を知ったのは、2003年のこと。その頃、自動車雑誌の編集者をしていた私のもとに、パリからリポート記事の売り込みが舞い込みました。そして1枚の写真を見た瞬間、全身に鳥肌が立つほどの衝撃がはしったのです。
ピンク色に光る砂が一面に広がる、美しいメルズーガ砂丘。その真ん中でスタックした車両の傍らに這いつくばり、懸命に砂をかくひとりの女性。汗にまみれ砂に埋もれながらも、その女性からは見たこともないほどの強烈な生命力や精神力が放たれ、嫉妬するほどに輝いていました。
すっかり心奪われた私は、いつか参加してみたいと夢見るようになり、幸運にもその翌年、本当にサハラ砂漠に立つことができたというわけです。マシンはディーゼルターボの日産パトロール(日本名サファリ)でした。
とはいえ当時の私は、いわゆるオフロードと呼ばれる場所は日本でしか走ったことがなく、実際の砂漠を見るのさえはじめて。海外で運転したことがあったのは、ドイツやアメリカなど先進国の道路だけ。そんな乏しい経験ゆえに、競技の過酷さは想像を超えていました。なんたって、パリのスタートセレモニーを終えてからモロッコのサハラ砂漠まで、自走! 途中のフェリーで2泊3日かかり、合計4日もかけてたどり着いたときにはすでに相当な体力を消耗していましたね。
そんななかで競技が始まりましたが、このラリー最大の特徴は、GPS使用不可ということ。現在地も向かう先も、紙の地図と方位磁石しか使っちゃいけないのです。
砂漠に目印なんてほとんどなく、どうやって走ればいいのだろうと愕然としたのを覚えています。
丘を飛び越えた先で大事故発生!?
案の定、初日のレグ1は、ミスコースでCP(チェックポイント)不通過に終わっていました。その悔しさを抱えて迎えたレグ2は難関の砂丘越え。スタートから早々にスタックしてしまい、スコップを担いでせっせと砂掘りをするのですが、容赦なく照りつける太陽で全身がクラクラし、精神的にもかなりキツイ作業です。
ようやくスタックから抜け出したときには、もう前方のマシンたちに追いつきたい一心でした。頭のなかで、ラリー経験者から教わった砂丘の走り方を復習しつつ、小さなコブをひとつ越えました。同時に次のラインを探すと、右に通過しやすそうなコブがあったのですが、こともあろうに中腹あたりで他のマシンがスタックして道をふさいでいます。
左はどうかと見ると、ちょっと高い、いや、かなり高い! 5m以上はあるかもしれない。リスキーか? でもここで止まったら、またスコップ担いで砂掘りになってしまう……。行くしかない! 私はアクセルを踏み込んだのです。
次の瞬間、私は宙を舞っていました。「あ!」と叫んだ直後、マシンは強い衝撃とともに地面に叩き付けられ、何度かバウンドしながらも転覆はまぬがれ、止まりました。フロントガラスが小さなクモの巣状にひび割れている現実に、悲鳴どころか声も出ないショック状態。
しばらくしてようやく横を向くと、ナビゲーターは顔が血まみれでギョッとしました。助手席の前に取り付けられていたラリーコンピューターに顎を打ち付けたらしいのです。恐る恐る外に出てみると、マシンはフロントマスクがぐにゃりと潰れていて、リヤはテールランプが砕け散り、バルブが垂れ下がり、バンパーはもげて転がっているではないですか。そしてハッと気づいて、まわれ右をして、いま超えてきた砂丘の裏側を見たのです。私は全身から血の気が引き、呆然と立ち尽くしました。
「なんじゃこりゃ!」
なんと、砂丘の裏側には「何もなかった」のです。こんもりした山に見せかけて、裏側は砂が見事にえぐれている、まるでスキーのジャンプ台のようだったのです。常識を超越した自然現象を目の前にして、ただただ鳥肌が立つばかりの私でした。
じつは砂丘ドライビングにおいて、これがもっとも怖い現象のひとつだと聞いたのは後になってからのこと。「先に教えといてよ~」とは思ったのですが、あのとき、私のマシンの轍をトレースして、他チームが続いて来なくて本当によかったと思っています。ナビゲーターの怪我も大事には至らず、絆創膏を貼ってことなきを得たのも不幸中の幸い。
こうして主催者のなかでは、大惨事と紙一重のところで、「日本人アキコの大ジャンプ」として笑い話になっていました。この悪運の強さには、感謝すべき……なのでしょうね。次に砂丘を走ることがあったら、いや、ないとは思いますが、「行っちゃえ~」という度胸は少し封印して走りたいと思います。
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