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作らずにはいられない! 英国随一の模型メーカー、AIRFIX本社に潜入 カーモデル開発現場訪問

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作らずにはいられない! 英国随一の模型メーカー、AIRFIX本社に潜入 カーモデル開発現場訪問

幅広いラインナップを揃えるAIRFIX

すべての人に平和とAIRFIXのキットを。クリスマスのような大切な日に模型を作れば、女王の演説を聞かなくて済む。何しろ、接着剤で汚さないようフロントガラスを取り付けるのに忙しいのだから。

【画像】英国が誇る模型メーカーAIRFIX【すべての写真を見る】 全6枚

男は少年、女は少女だった頃から、模型を作っている。通常は数十年のブランクを空けることになるが、ほとんどの場合、魅力的な箱絵や、その中に収められた繊細なデカール、パーツが付いたひょろ長いランナーに惹かれて、また戻ってくるのだ。

すべての人間がクリスマスの夜に七面鳥を捌いているわけではない。接着剤とペンチを手に、ランナーからせっせと車輪を切り取っている人もいるはずだ。もし、その人がAUTOCARの読者なら、その車輪は飛行機ではなく自動車のものである可能性が高い。

運が良ければ、その自動車はAIRFIXの「ヴィンテージ・クラシック」シリーズの主役で、110ポンド(約1万7000円)のベストセラーモデルである「1930 ベントレー4.5リッター・スーパーチャージド」かもしれない。1/12スケールのこのモデルはとても美しく、大きなもので、スキルレベルが「4」であるため、大晦日を過ぎるまで製作に取り組むことになるだろう。

AIRFIXのヴィンテージ・コレクションには、オリジナルキットがコレクターズアイテムとなり、最近再登場した「1966 ジャガー420」や「ビーチバギー」などもある。いずれもオリジナルの箱絵が施され、当時の雰囲気を再現している。経験豊富な帰国子女、つまり接着剤でベトベトになることなく組み立てる技術を持つ、“リターンモデラー”を対象としている。

そこまでの技術がない人向けには、塗料、接着剤、ブラシがセットになった「スターターキット」が用意されている。車種は、アストン マーティンDBR9、ジャガーEタイプ、ミニ・カントリーマンWRC、1967年型フォード3.0リッターGTなど。

最後に、本当に不器用な人や若い人のために、接着剤不要の「クイックビルド」シリーズがある。ABS樹脂でできたパーツをはめるだけで組み立てられ、フォード・マスタング、アウディR8、ジャガーIペイスeトロフィー、マクラーレンP1など、多彩なラインナップが揃っている。

本社ショールームを見学 古い金型も並ぶ

ところで、AIRFIX(エアフィックス)という名前は聞いたことがあっても、その本社がどこにあるか知っている人はいるだろうか?

実は、英国南東部のケント州マーゲイトにあるのだ。現在、SCALEXTRIC(スケーレックストリック)やPOCHER(ポケール)といったブランドとともに、HORNBY HOBBIES(ホーンビィ)社の傘下に入っている。

マーゲイトの本社には、老若男女を問わずAIRFIXとPOCHERの完成品を鑑賞できるビジターセンターがある。筆者は昨年末、幸運にもAIRFIXのショールームを見学させてもらい、数々の完成品やカタログを見て回ることができた。

もちろん、航空機が圧倒的に多いのだが(スーパーマリン・スピットファイアは、同社で非常に人気のあるモデル)、アブロ・バルカン、ソッピース・キャメル、メッサーシュミットBf 109などと一緒に、自動車も展示されている。まずはクイックビルド、その先の棚にはスターターキット、そしてベントレー・ブロワーと、美しく組み立てられたカーモデルが整然と並ぶ。

今年はさらに多くのカーモデルの発売が予定されているが、ガイドをしてくれたAIRFIXブランド責任者のデイル・ラックハーストに、「現段階でその内容を明かしてしまうと、あなた(筆者)を解体してパーツをランナーに取り付けなければならないでしょうね」と言われてしまった。

ショールームの見学が終わり、古い工場フロアに移動する(キットはインドで、デカールはイタリアで製造されている)と、その光景に思わず目を奪われた。そこには1960年代に作られた古いモデルの金型がずらっと並び、その重さで棚を唸らせていたのだ。

このスチール製の金型にポリスチレンが注入されることで、1つ1つのパーツが形成されていく。金型を覗き込むと、表面は高度に研磨され、ランナーに表示されている部品番号が見えた。モデルにもよるが、新しい金型一式(ボディシェル用、シャーシ用、ウィンドウ用)は約5万ポンド(約780万円)で、700kgのスチールを必要とするという。

カーモデルはどのように作られるのか

しかし、ベントレー・ブロワーのような美しい自動車は、どのようにして鋼鉄の塊からプラスチックモデルになるのだろうか?デザイン責任者のマット・ホワイティングは、そんなモデルマジックを生み出すオフィスに案内してくれた。部屋のスクリーンにはフォードF150ラプターのデジタルレンダリングが映し出されており、彼のワークスペースはまるでディアボーン(フォードの本拠地)のデザインオフィスのようだ。

「メーカーからモデル製作の許可が下りると、CAD(コンピュータ支援設計)図面が送られてくるので、それを元に金型用のデザインを作成します」とホワイティングは自身の仕事について教えてくれた。

「図面は実物ほど細かくありません。例えば、フォードはラプターの構造を1mm単位でデータ化するつもりはないでしょうから、わたし達でその空白を埋めなければなりません」

「しかし、注意しなければならないことがあります。マスタングのモデルで、フォードから牽引フックとリアパーキングセンサーの位置について指摘がありました。古い車種であれば、実物を探し出してレーザースキャンし、約30枚のスキャンを組み合わせて360度のCADファイルを作成してから、金型用に分割する必要があります」

それから、製造とパッケージングの制約に関する知識や、モデラーの挑戦意欲への理解が必要だ。今は3Dプリントでモデルを試作することができるので、どのように組み合わされるかを確認できるという。それでも、現代的な自動車のディテールを再現するのは大変だ。「特に大変だったのはシロンです」と、ホワイティングは明かす。

「ブガッティはディテールにこだわるため、ボディラインや通気口、凹凸、エアロなどを正確に再現することに気を配りました。しかし、リアは妥協せざるを得ませんでしたね。実車ではエンジンの上に細長いリブが立っているのですが、モデルではそのリブとカバーの間の空間を埋めなければなりませんでした」

当然のことながら、組み立て説明書の作成は、開発工程の中でも大きな部分を占めている。AIRFIXは幸運にも、ヘインズやフォード出身のテクニカルライター、イラストレーターを起用している。

デカールは数人の専門デザイナーの作品であり、最近の箱絵の多くは、有名なデジタルアーティストであるアダム・トゥービー(Adam Tooby)によるものだ。

AIRFIXのモデルカタログの10%を占めるに過ぎない自動車は、明らかに主役というわけではないが、すべてが美しく、慎重に選ばれたものばかりだ。

「自動車模型を作るのは素晴らしいことです」とラックハーストは言う。「リラックスして夢中になれるし、世代を超えて家族の絆を深めることもできるんです」

さあ、これでテレビの前から離れる口実ができた。堂々と模型作りに励もう。

AIRFIXのライバルたち

英国人の間で最も有名な模型メーカーはAIRFIXだが、市場にはたくさんの同業者が存在する。ここでは、次の模型製作を検討する際に考慮すべきメーカーを紹介しよう。

――REVEL(レベル)

ドイツの模型メーカーで、1964年以前のクラシックカーから、レーシングカー、マッスルカー、ストリートロッドなど、1974年以降の現代的な車種を数多く展開。航空機やミリタリーモデルも数多い。

――POCHER(ポケール)

2020年からAIRFIXの親会社HORNBY HOBBIESが所有するイタリアの会社。大型で高品質の自動車とバイクを専門としており、価格は約700ポンド(約11万円)からと高級。

――ALUMINUM MODEL TOYS(AMT)

伝説的な米国の模型メーカー。クラシックなアメ車やレーシングカーを専門に扱っている。現在はRound 2の傘下にある。

――MPC

同じくRound 2傘下の米国の有名ブランド。ドラッグスターやホットロッドなどのエクストリームカーを得意とする。

――タミヤ

日本の老舗模型メーカー。グランプリカーやスポーツカーなど、さまざまな縮尺で、美しいディテールを持つモデルを揃えている。自動車に限らず幅広いラインナップを展開し、ラジコンカーでもトップクラス。

――フジミ

艦船や航空機などで有名な日本の模型メーカー。自動車では日本車を中心とした精巧なモデルを製造している。

――アオシマ

青島文化教材という社名からもわかるように、学校教材でも実績のある模型メーカー。自動車では豪華なボディキットを得意とする。

模型作りのマエストロからのアドバイス

イアン・ウェルシュさん(68歳)は、これまで1000台近いカーモデルを作ってきた。スコットランドの首都エディンバラに住む彼は、1980年代初頭に模型雑誌を読んでいて、そこに載っていた米国の自動車模型の種類の多さに驚いたのが、収集を始めるきっかけになったそうだ。

「スコットランドの静かな漁村に住んでいたわたしは、それらを素晴らしいと思ったのです。それが励みになって、自動車などの模型を作り始めました」とウェルシュさん。

ある年、彼はAIRFIXのカタログに載っているすべてのモデルを作った。今は、1950年代と1960年代のアメ車を専門にしている。

「わたしのお気に入りは1964年型のキャデラック・クーペ・ドゥビルです。今までで一番長くかかったのは1958年型のプリムス・ベルヴェデアで、毎夜2時間ずつ、3週間かけて作りました」

「プロフェッショナルな仕上がりにするために欠かせないのがエアブラシです。ディテールアップのために、シリンダーヘッドに穴を開け、プラグのリード線を挿入し、編組ホースとワイヤー入りのディストリビューターを取り付けています。シートベルトはマスキングテープで作ります」

ウェルシュさんは、自宅のあちこちにケースに入れた自動車を展示している。ベッドの上に4台も置いているのだから、奥さんのリタさんはよほど理解があるのだろう。

「ジオラマにするのも好きなんですよ」と彼は言う。「パースで開催された全国模型選手権では、スクラップヤードのジオラマで準優勝しました」

もとは刑務官として、刑務所で勤務していたウェルシュさん。受刑者に趣味を持つように勧め、模型店から寄贈されたキットを提案したそうだ。年に4回、知事が審査するコンテストも開催された。「みんなに好評で、多くの人の悩みを解決してくれたと思っています」とのこと。

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みんなのコメント

3件
  • エアフィックス

    運河彫りの悪夢
  • 海外も面白い模型出してますが…

    タミヤのプラモは世界一ぃ!

    やはり精度や造りは日本が桁違いによくできています
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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