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DS 7クロスバックから驚愕のプロトタイプまで。遂に日本で本格始動した新世代フレンチ!

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DS 7クロスバックから驚愕のプロトタイプまで。遂に日本で本格始動した新世代フレンチ!

この夏はフランス車の元気がことさらいい。アルピーヌに続いて先週、日本市場にDSが独立ブランドとなって手がけた初のフラッグシップ・モデル「DS 7 クロスバック」の発表会が、東京・大手町のパレスホテルで行われた。

昨年の東京モーターショーで、すでに限定40台でオーダーを受け付けていた「DS 7 クロスバック ラ・プルミエール・エディション」は、8月末までに納車される予定だ。プジョー・シトロエン・ジャポンのDS担当者によれば、購入者たちをフランス大使館に招いてスペシャル・ディナーが催されたとか。初回限定版のみの特典エクスペリエンスという訳だ。実際、DS 7クロスバックには、「Only You」という軽度の車両保険や傷病保険、DSネットワーク内でのレンタカー・サービスやメンテナンス時の有料ピックアップ&デリバリー、またオーナーだけに向けられた特別な体験プログラムやコンシェルジュ・サービスが付帯する。そう、DSの目指すところは、クルマだけを売ることではないのだ。

シトロエン2CVを普段使いする!

というのも、「ケリング」や「LVMH」、「エルメス・インターナショナル」といった企業は、日本でいう「日経225」的存在であるフランスの「CAC40」で重きをなす企業で、ラグジュアリーの世界では支配的な地位を保っている。一方で自動車の世界では、ラグジュアリーなハイエンドカーがドイツのグループに独占されているのが実情。そこでフランス流のラグジュアリーを自動車の領域で創出せんとする、それが新生DSブランドの出発点である。よってDSはフレンチ・ラグジュアリーを背負っているという自負がある分、あふれんばかりの想像力を形にしたり、大規模なサプライズを仕掛けることも厭わないブランドであるのだ。

そんな中、つい数日前には、4月末にCG画像のみ公開していたコンセプトカー「DS X E-Tense」の完成お披露目がおこなわれた。7月14日(フランスの革命記念日)のセレモニーでシャンゼリゼ上空を飛び、サッカーW杯で優勝したフランス代表チームのために再びパリ上空を舞ったフランス空軍の精鋭「パトルイユ・ドゥ・フランス」が所属する基地の滑走路で、その走る姿を公開したのである。

「DS X E-Tenseは左右非対称デザインのクルマです。実際に左右非対称を採用したクルマは、私の知る限り日産キューブぐらいのものでしょう。あちらはモノスペースでしたが、私たちの着想の素になったのはサイドカーの原理です」と、DSチーフデザイナーのティエリー・メトロズ氏は言う。

また「近年のモーターショーを見ていると、電動化と自動運転が2大テーマとなっていることは確かですが、じつはどの自動車メーカーも提案が似てしまっている、そう社内で議論になりました。そこでデザインだけでなく、エンジニアリングに販売、マーケティング、広告、レース部門などあらゆる部署の責任者が集まってブレインストーミングをして、電気で全自動で動くだけの、誰もがそんな洗濯機じみたクルマで走るのは嫌だという話になりました。そこで”2035年の私たちの夢 ”として、DS X E-Tenseというコンセプトに至ったのです」とも述べた。

車体の左半分はフォーミュラカーのようなオープン1シーターで、ブルーとグリーンを基調に、ドライビング・プレジャーをピュアに追及したコクピット。そのパワートレインはフォーミュラE が起源というピュアEVで、272psの電気モーターで駆動されるという。ちなみにアルマジロの外皮のような形状のシートは、重なり合いながら動くようにするため前後スライドなどの調整が可能だそうだ。

いっぽう、車体の右半分は、キャノピーに覆われ縦2シーターのスペースで、自動運転時に乗り込むためのスペースとなる。隣と併用で最大3人が乗ることが可能で、こちらはドライビングをクルマ任せにして、寛ぐことを主眼に置いたラウンジ的スペースというイメージ。シートの襟元のブルーとレッドの羽飾りは、パリ・コレクションのオート・クチュールなどで見られる羽飾り作りの名門(1880年創業の老舗、ルマリエ)の手仕事である。

そして車内は、パリならではの伝統のアルティザン仕事が味わえるだけではなく、コンソールにはネスプレッソも装備する。「車中で走りながらコーヒーが淹れられます。気軽にコーヒーの一杯を飲むのはフランスの伝統ですからね」と、先のティエリー・メトロズ氏は笑って話した。

ところでDSブランドは、PSAグループ内でもベンチャー・プロジェクト的なところがあり、これまでマーケティングやデザインといった要職の各担当者のオフィスも散っていたが、ここ数カ月でようやく統合されつつある。今回はエリック・アポッド副社長とティエリー・メトロズ氏の案内で、ADN(アー・デー・エヌ、PSAグループのデザインセンター)を訪れた時、ごく一部ではあるが、3月より稼働し始めたDSデザインのスタジオを撮影することが許された。ADNは2004年に落成した施設で、当然ながら当初はプジョーとシトロエンの2ブランドのみのためのデザインセンターだったが、ようやくDSとして独自のスタジオが与えられ、そこで生まれた第1号がDS X E-Tenseというわけだ。

天井はブラインドシャッターによって光量を調節でき、クレイモデルや制作中のプロトタイプがつねに参照できるよう、スタジオ内には最新のコンセプトカーが置かれている。「コンセプトカーのディティールは、市販車につねにフィードバックされるべきものとして提案していますから」と、ティエリー・メトロズ氏は説明する。

このスタジオから次はどんなクルマが創り出されるのか? まだまだ溢れ出るほどの多彩なアイデアが、DSにはたっぷり詰まっているようだ。

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