側が高級車なのに中身はお手頃カーというのが結構あった。ローレルスピリットにラングレーなど、今じゃ考えれないクルマたちが結構あった。コレ結構すごくない!?
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
見た目はスカイラインだけどなんか違う!!!! ラングレーとローレルスピリットの正体が衝撃的すぎる
■80年代がスゲー!! 小さいクルマを高級車風に仕立てちゃった
小さな高級車といえばプレグレ。爆裂ヒット!! とはいかなかったが、今なお語り継がれるクルマ
今年の6月に公開となったレクサスLBXは、トヨタの現行プラットフォームの中では最も小さいGA-Bプラットフォームを採用。高級車=大きなボディサイズではないことを示唆するモデルとも言われている。
過去にもトヨタ プログレやマツダ ベリーサなど、コンパクトなボディながら上質な内外装を備えたモデルも存在していた。
だが、さらに時代を遡った80年代にはコンパクトな車両をベースに上級車風の意匠を纏ったなんちゃって高級車も存在していた。
これは当時は今よりもクルマの車格に対するヒエラルキーがハッキリしていたことも理由のひとつと。同じ車格でもより立派に見えるモデルが求められていた時代背景も影響していたと言えそうだ。
今回はそんな80年代前半に登場した、日産がリリースした高級車風コンパクトモデル2車種をご紹介しよう。
■見た目はスカイライン!! でも中身はパルサー!? ラングレーが力作すぎる
スカイラインといえば丸テール!! もちろんラングレーだって採用。遠くから見ればわからないレベルのデキ
まずご紹介するのは“ミニ・スカイライン”としても知られたラングレーだ。
1980年6月に新規車種として登場したラングレーは、1978年にデビューしていたパルサー(初代)の後期型をベースに仕立て上げられた3ドアハッチバックボディのコンパクトカーだ。
当時の日産プリンス系列の販売会社向けのエントリーモデルとしてリリースされた。
ベースとなったパルサーには3ドアハッチバックのほか、5ドアハッチバックと3ドアクーペもラインナップしていたが、ラングレーは3ドアのみ。
パワートレインも1.2Lと1.4Lの2種類があったパルサーに対し、ラングレーは1.4Lのみ(のちに1.5Lへ変更)と上級モデルらしく小排気量のエンジンは設定されていなかった。
そして最大の特徴は、日産プリンス系列の主力車種であるスカイラインのイメージを与えられたエクステリアデザインで、ヘッドライトには同時期に販売されていた5代目スカイラインのものをそのまま流用していたのだ。
そのためヘッドライトのレンズ中央にはスカイラインのSマークが刻印。
異形ヘッドライトを装着したことでできてしまったスペースには、黒のガーニッシュが装着され、真正面からみると一瞬スカイラインと混同してしまうようなフロントマスクが与えられていた。
1982年6月には2代目へフルモデルチェンジを果たしたラングレーだが、この世代では新たに兄弟車として追加されたリベルタビラと共に3兄弟体制に。
スカイラインらしさも大幅に失われることに。だが、1986年10月に登場した3代目では、「スカイラインズ・ミニ」と堂々と語るモデルとなった。
この3代目ではそれまで設定されてこなかった4ドアセダンがラングレーとしては初めてラインナップ。このモデルを販売の旗艦グレードとし、テールランプにはスカイラインを思わせる丸型4灯のものが兄弟車としては唯一装着されていたのだ(ハッチバックは通常のテールランプ)。
■ローレルより高かった!? サニーベースのローレススピリットの逆転現象がスゴい
本家本元のローレルより下手すると高くなってしまうという逆転現象も今となっては懐かしい限り……
続いて紹介するのは、1982年1月に登場したローレルスピリットである。
このモデルも前述のラングレーと同じように、販売会社のラインナップを拡充するために追加されたモデルとなっており、その販売会社とは当時ローレルを取り扱っていた日産モーター店系列だった。
ラングレーと同じく同販売会社のエントリーモデルとして、旗艦車種のローレルの雰囲気を纏った小型セダンとして投入された。
ローレルスピリットのベースは5代目サニーで、当時販売されていた4代目ローレルと同じ格子型のフロントグリルやツートンカラーを設定するなどすることで、うまくサニーにローレルの雰囲気を纏わせていた。
ローレルスピリットもラングレーと同じベース車よりも上級車種という位置づけになっていた。
サニーのエントリーモデルに搭載されていた1.3Lエンジンはラインナップされず、1.5Lエンジンのみの設定だったのだ(のちに1.7Lのディーゼルエンジンも追加)。
1986年8月には2代目へと進化し、グリルやエンブレムのみでローレル感を出していた初代とは異なり、フェンダーやバンパーなども専用のものとなり、ボンネットにマスコットが追加されるなど、より高級感をプラス。
ベースとなったのは引き続きサニーだったが、6代目への進化しており、最上級グレードには新開発のCA16DE型の1.6Lツインカムエンジンが搭載されるなどメカニズムも大きく進化していた。
その結果、ローレルスピリットの最上級グレードの価格が178.3万円なのに対し、ローレルの2Lモデルのエントリーグレードが158.2万円と本家よりも高くなると言う逆転現象も起こってしまっていたのだ。
ただラングレーもローレルスピリットも90年に入りベースモデルがフルモデルチェンジを行うタイミングで消滅。
時は折しもバブル景気真っ只中のタイミングということで、見せかけの高級感よりも本当の高級車を選ぶ人が増えた時期だったことも影響したのかもしれない。
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