現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 456GTから612スカリエッティへ。華麗なる2+2モデル(1992-2004)【フェラーリ名鑑】

ここから本文です

456GTから612スカリエッティへ。華麗なる2+2モデル(1992-2004)【フェラーリ名鑑】

掲載 更新
456GTから612スカリエッティへ。華麗なる2+2モデル(1992-2004)【フェラーリ名鑑】

1992年、400シリーズに代わる「456GT」デビュー

約17年間にわたってカスタマーに親しまれた直線基調のクーペデザインに別れを告げ、フェラーリがフルサイズ2+2のフルモデルチェンジを行ったのは1992年のことだった。ここでデビューしたのが「456GT」だ。ボディスタイルは前作の412から一転して丸みを帯びた現代的なスタイルを採用。ボディサイズも日常の扱いやすさを考慮して、全長などは同様の比較で80mmほど短い設定となった。車名の456は1気筒あたりのエンジン排気量で、すなわち456に搭載されるV型12気筒エンジンの排気量は5474ccとされている。

カリフォルニアからポルトフィーノまで。2+2シーターのV8シリーズ(2008-2017)【フェラーリ名鑑】

トランスミッションは6速MTのみでスタートするが、1996年には4速ATの「456GTA」が登場。6速MTの登場から3年以上も遅れてのATの追加設定はやや遅く感じるかもしれないが、当時はこの456が発揮するトルクに対応できるだけの性能を持つオートマティックトランスミッションの開発には、これだけの時間が必要になったということだ。

456 GT(1992)

365GTB/4(デイトナ)にモチーフを得たというボディデザインは、当時はきわめて斬新に見えた。デザインを担当したのはもちろんピニンファリーナで、開発初期には412にも似た直線のパートを効果的に残したデザインも試みられたという。インテリアも一気に現代的なものとなった。特にインストゥルメントパネル周りのデザインには、斬新さとともに機能性の高さを感じる。

456 M GT(1998)

シンプルな美しさで魅了した「456 M GT」

442psを発揮するV型12気筒エンジンは、最高出力が442psと、それだけでも十分にパワフルなものだったが、フェラーリは1998年になると456シリーズにマイナーチェンジを実施。車名は「456 M」、「456 M GTA」へと改められた。メカニズム的には、すでに456シリーズは完成の域にあったともいえたから、トラクションコントロールの採用など、メカニカルな部分での変更点は少ない。マイナーチェンジによる変更点の多くは、エクステリアとインテリアのデザインで、それはもちろんピニンファリーナによって手直しされている。実際に見る456Mは、フロントグリルがさらに横長のデザインになったほか、ヘッドライトの後部にあったエアダクトを廃止し、さらにライン構成もシンプルなものになるなど、よりボディ全体のシルエットでカスタマーを魅了する造形となった。

さらに驚かされるのは、より立体的に、そして高級感を強めたインテリアだ。コノリー製のレザー素材を用いたほか、エアコンの吹き出し口を丸型に。派手さこそ感じないものの、いかにも大人のクルマといった印象を受ける、シックな内装が実現されている。後席の居住性は、さすがに前席と同等とは言えないが、短時間の移動ならば、なんとか身を委ねることも可能なレベル。456M GTと同GTAは、最終的には2004年まで生産が継続され、後継車の「612スカリエッティ」にその市場を譲ることになった。

612 Scaglietti(2004)

幻のバーグマン・クーペをモチーフにした「612スカリエッティ」誕生

2004年に発表された「612スカリエッティ」を見た者は、まず誰もが“スカリエッティ”というサブネームに驚き、そして次にボディデザインに惹かれたに違いない。スカリエッティとは、現在はフェラーリの子会社となった、当時はフェラーリのために多くのボディを製作していたスカリエッティ社を率いた、セルジオ・スカリエッティに由来するもの。またそのデザインは、バーグマン・クーペとして知られる375MMピニンファリーナ・スペチアーレの、まさに現代版ともいえる美しさを持つモデルだったからだ。

その長いフロントノーズの中に収められるエンジンは、最高出力が540psを発揮する5748ccのV型12気筒。最高トルクも588Nmに達し、これに6速AT(F1マチック)を組み合わせ、後輪を駆動する。基本構造体となっているのは、アルミニウム製のスペースフレーム。ボディの大きさに対して1840kgと重量が比較的軽いのは、このフレームに大きな理由があった。インパネもエンツォに通じるデザインを見せるなど、“2+2”フェラーリの美と速さへのこだわりを感じさせたモデルだった。

【SPECIFICATION】

フェラーリ 456GT

年式:1992年

エンジン:65度V型12気筒DOHC

排気量:5473cc

最高出力:325kW(442hp)/6250rpm

乾燥重量:1690kg

最高速度:300km/h

フェラーリ 456GTA

年式:1996年

エンジン:65度V型12気筒DOHC

排気量:5473cc

最高出力:325kW(442hp)/6250rpm

乾燥重量:1770kg

最高速度:298km/h

フェラーリ 456M GT / 456M GTA

年式:1998年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:5473cc

最高出力:325kW(442hp)/6250rpm

乾燥重量:1690kg

最高速度:300km/h(MT)/298km/h(AT)

フェラーリ 612 スカリエッティ

年式:2004年

エンジン:65度V型12気筒DOHC

排気量:5748cc

最高出力:397kW(540hp)/7250rpm

乾燥重量:1840kg

最高速度:315km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

こんな記事も読まれています

ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
レスポンス
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
カー・アンド・ドライバー
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
くるまのニュース
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
くるまのニュース
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
くるまのニュース
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
Merkmal
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
ベストカーWeb
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
AUTOSPORT web
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
AUTOSPORT web
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3660.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

848.01398.0万円

中古車を検索
612スカリエッティの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3660.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

848.01398.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村