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34歳、ゲレンデを買う──Vol.2 間違いだらけのGクラス選び

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34歳、ゲレンデを買う──Vol.2 間違いだらけのGクラス選び

29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからメルセデスの“ゲレンデ(Gクラス)”を購入することに。はたして、“跳ね馬”の次はいかに?

現行は新車で買えない!?

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ゲレンデ(ゲレンデヴァーゲン)の購入こそ決めたものの、年式やボディカラー、グレードまでは決めていなかった。

まずは新車から調べてみる。ちょうど購入を決めたタイミングで改良モデルが発表された。内外装の一部デザインが変わったほか、キーレスゴーといった快適装備をアップデート。パワートレインもパフォーマンスが向上し、魅力が増した。

中古車価格が新車価格を上回っている状況が続いているので、新車を考えたものの、納期はなんと数年! 中古車市場で高値安定が続いている状況を思い知る。考えが甘かった……。

今すぐ乗れるクルマを探していたので新車は諦めざるを得ない。では、2018年登場のビッグマイナーチェンジ版、W463A型の中古車はいかに? あらためて調べると、当然この車両も中古車価格が新車価格を上回っている。たとえば2019年式、68,000km走ったG350dが¥12,945,000。新車価格は¥11,700,000というのに。現行Gクラス人気、おそるべし。

ただ、5年落ちの60,000kmオーバーのG350dに¥13,000,000近い価格を支払うことが自分としてはどうも腑に落ちない。

早々に、W463A型は候補から外れた。

初代はシンドい!次に考えたのは初代のW460型。飾り気のないシンプルなデザインが、ホンモノのオフローダーとしての風格を漂わせる。“シンプル・イズ・ベスト”とはまさにこのクルマにふさわしい言葉だ。余計な快適装備がない分、故障も少なく維持しやすいかもしれない……と、思ったが、実車を知る知人たちから「やめたほうがいい」と、アドバイスを受けた。

新車当時、試乗経験を有するあるモータージャーナリストは「アクセル(ペダル)がかなり重いから、運転するのが大変だよ。とにかく疲れる」とのこと。

訊けば、当時のメルセデスは、オフロード走行において慎重なアクセルワークを実現するべく、あえて重めの設定にしたそうだ。

また、ある中古車業者の人からは「とにかく遅いから、ストレスが溜まりますよ」との情報も。調べると当時の「230GE」では2.0t近い車重にもかかわらず搭載するエンジンは、最高出力120psの2.3リッター直列4気筒ガソリンエンジン。「300GD」にいたってはたったの88psで、パワーウェイトレシオは22.73kg/ps。ひと昔前の軽自動車以下だから、想像するに高速道路の上り坂でみるみるうちに速度が低下しそうな……。

日常の足として考えているので、W460型はちょっと難しい。快適装備も現代の水準からするとほとんど無いに等しいのも引っかかる。やはり、初代は趣味のクルマとして割り切って使うべきだろう。従って、W460型も候補から外れた。

ガソリンとディーゼルで悩むというわけで、消去法で残った90年登場のW463型で決まった。ただし、W463型は90年から2018年まで約18年間も製造されたロングライフモデルだ。早速、中古車情報のWebサイトをチェック。調べると90年代のモデルは、在庫が15台ほどしかなかった。しかも、多くがカスタマイズされてしまいオリジナリティに欠ける。どうせなら自分らしい1台に仕上げたいので、気持ちが動かない。

00年代前半のモデルだと5.0リッターV8エンジン搭載のG500が大部分を占める。後期モデルと比べ、シンプルなフロントまわりが好印象。スッキリとして個人的には好ましい。フルノーマルの中古車もチラホラあったが、燃費の悪さがネック。都心部だとリッターあたり5.0km前後になるそうだし、使用油種がハイオクだから燃料代が嵩むことは間違い無い。日常の足に、これだとキツい。

それならばディーゼルモデルがベストだ。13年に導入されたG350ブルーテックは、3.0リッターV型6気筒BlueTECエンジンを搭載する。公式の燃費は発表されていないものの、リッターあたり8.5~10kmは走るそうだ。しかも使用油種は、安価な軽油である。

加えて、ブレーキのホールド機能とアダプティブクルーズコントロールが搭載されているのは重要なポイント。衝突被害軽減ブレーキこそ搭載されていないが、個人的にはあまり必要とは思わない。なぜなら年間3~4万km走行する中で、衝突被害軽減ブレーキに助けられた経験が1度もないからだ。逆にブレーキのホールド機能とアダプティブクルーズコントロールには、大いに助けられており、運転時の疲労が大幅に軽減されている。欲を言えば操舵支援機能もあるとパーフェクトだが、10年以上前のクルマにそれを望んでも仕方ない。

ちなみに、Gクラスのパーキングブレーキは電動ではなく手引き式の手動だ。ブレーキのホールド機能は、電動パーキングブレーキを併用しないと難しいのでは? と、思い、調べると、メルセデスの場合、フットブレーキを物理的に“ツマむ”ことで停止状態を保持するそうだ。それゆえ、ブレーキペダルをかなり奥深くまで踏み込まないと作動しない。これはGクラスに限らず全モデル同様で、確かに現行モデルも奥深くまでブレーキを踏み込む必要がある。

話は逸れたが、個人的に欲しい装備を搭載するG350ブルーテックは理想の1台。欲を言えば、パワーが向上し、かつ名称が「G350d」に変更された16年以降がイイ。とりわけ、Apple CarPlayにも対応した17年モデルがベスト。パーキングアシストリアビューカメラの作動時、ガイドラインが表示されるのも便利だ。

購入モデルが決まったタイミングで、偶然、エスアンドカンパニーの代表を務める鹿田能規さんと再会した。以前、記事化した「2桁ナンバー物語 Vol.9 品川33のメルセデス・ベンツ500SL」の取材時に出会った鹿田さんは、車両販売から整備、板金・塗装、カスタム、ラッピングなどを手掛けている。鹿田さんは俳優の勝地涼さんとも親しく、勝地さんに出演いただいた「愛車の履歴書」の取材をきっかけに再会したのだ。

鹿田さんは今、W463A型のGクラスを所有しており、ポロっと「自分もGクラスの購入を考えているんですよね……」と、話したところ、「それはエエと思う! 間違いない選択だから、買いましょう。僕のショップで面倒見ますわ」と、あれよあれよという間に購入が決まった。

というわけで、次週はGクラス選びの理想と現実について綴る。

【34歳、ゲレンデを買う バックナンバー】

Vol.1 フェラーリからの次期愛車選びはこうなりました

文と編集・稲垣邦康(GQ)

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