伝統のフェラーリ・イベント
東京では散ってしまった桜がまだ残る御殿場のヴィンテージカーズ・ガーデンで、恒例となったフェラーリ・ブランチ行われた。ベテラン・フェラーリ・オーナーにとっては春の一日を旧知の友と歓談する場であり、新たにフェラーリを手にしたオーナーには「ブランチ・デビュー」と称される憧れのイベントである。1986年にプレスタートして以来日本のフェラーリ・オーナーには欠かせぬイベントとして親しまれてきた。一時期休止していたが、2014年にフェラーリ・オーナーズ・クラブ・ジャパン(FOCJ)とのジョイントで復活を果たし今年で5回目を数える。
当日は青空が広がり富士山も姿を見せる絶好のブランチ日和で、歴代のモデルがグリーンに並ぶ光景はいつもながら素晴らしい。会場内ではフェラーリを囲んでいつもの仲間とクルマ談義で盛り上がり、次に狙っているモデルのオーナーに質問をしたりと、初参加でも気軽に声を掛けられる和気藹々とした雰囲気が特徴といえる。
来年からはFOCJの主催に
オープニング・セレモニーで主催する松田芳穂氏から参加オーナーへ感謝の意が伝えられると共に、高齢になったことから次回のブランチからFOCJの主催で行われることが発表された。松田氏は「ブランチはFOCJに任せますが、これからもフェラーリを存分に楽しんでゆきたいと思います」と語り、参加者から大きな拍手が沸き起こった。
フェラーリ・ジャパン・マーケティング・ディレクターの遠藤氏も開催を祝うべく来場し、松田氏にとってフェラーリと共に歩んできたコーンズの渡 伸一郎会長も駆けつけ往年のエピソードを披露した。続いて長年にわたるフェラーリ・ブランチ開催の功労を称えて、渡氏とFOCJ川崎会長から花束が贈呈された。
なお来年のフェラーリ・ブランチはFOCJ主催になるが、現在と同様にクラブ員でなくても参加できるオープン・イベントとして行われるとのこと。
個性的なF12 tdfがズラリ
グリーンに目を移せばクラシケから最新のモデルが会場を埋め尽くした。スペチアーレ・モデルでは3台のF40のほか、以前フェラーリ美術館が所有していたイエローのF50が姿を見せ、松田氏も久しぶりの再会を喜んでいた。
F12 tdfはオーナーの好みで創られるため、参加した5台はカラーリングからディテールまですべて違っていた。ラ フェラーリはアペルタのみが姿を見せたが、その存在感は圧倒的で、フェラーリ・オーナーが釘付けになるといえばその凄さが分かろう。
春のブランチはこれまでも現行モデルが中心のイベントだが、今回クラシケ・モデルは3台の365GTB/4デイトナとディーノ246GTS、2台の512BBが参加した。次世代となる308GTBは1台、328GTB/GTSは6台、テスタロッサは4台だけと少々さびしかった。
■ブランチの伝統でアトラクションはなし
メインホールに設けられたロッソ・スクーデリアのブースでは458チャレンジが展示されると共に、参加者に季節を感じさせるプレゼントが用意された。ニコル・コンペティツィオーネはオフィシャル・グッズやジェヌイン・パーツの展示、販売を行い参加者の人気を集めていた。また老舗のコーンズ・モータースはブースこそ設けなかったが、場内の車両誘導を担当しブランチを支えてくれた。
ブランチの伝統通りオープニング・セレモニー以外のアトラクションはなく、ブッフェ形式のブランチを仲間と共に楽しんだ後は流れ解散というのもいつも通りだ。最近日曜日の東名上りが大渋滞するため、今回はスケージュールを繰り上げ12時30分には解散とされ、渋滞知らずで帰ることができたのは特筆すべき点といえる。
こうして基本コンセプトこそは変わらないものの、時代にあわせて進化してゆくフェラーリ・ブランチ。そのフェラーリを愛する者による、フェラーリ・オーナーのためイベントというスタンスは、FOCJの主催になっても変わらないに違いない。
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