電動化なしのV12エンジンを搭載した「ユートピア ロードスター」誕生
パガーニは2024年7月30日、「ユートピア クーペ」に続き「ユートピア ロードスター」を発表しました。ハイブリッドサポートを一切持たないV12ツインターボを搭載し、機械的な純粋さを追い求めたストイックなモデルです。世界中の厳しい安全規制と排出規制をクリアし、デリバリーの準備が整ったこのモデルの詳細をお届けします。
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エンスージアストのジレンマに応えるロードスター
パガーニ・アウトモビリは、2022年にハイパースポーツ「ユートピア クーペ」を発表した。性能を重視する人びとはこれまでクーペを選ぶ傾向が見られたが、「ユートピア ロードスター」は車重、性能などがクーペと同等になった。エンスージアストのジレンマに応えるロードスターが誕生したのだ。
スタイリングは、ユートピア クーペと同じデザイナーとエンジニアが担当する。フルオープン、ハードトップ、ソフトトップと3つのボディスタイルを持ち、ドアはエレガントなバタフライ キネマティクスを採用する。
インテリアはパーソナライゼーションを追求
インテリアは、ほぼ無限のカラーや素材から、オーナーの希望に合わせたオーダーが可能だ。ユートピア ロードスターには、パガーニの象徴である楕円があしらわれたスーツケースが2つ用意される。職人によってハンドメイドで仕上げられた真の逸品は、シート後方に収納できる。
専用のフロアマットは高級ヨットを思わせる質感を持ち、キーはオープン仕様のスタイリングを想起したデザインに変更されている。
ユートピア ロードスターのアナログメーターは、手作業による高級時計を思い起こさせるデザインで、大型のスピードメーターとタコメーターは、内部構造の一部が見える仕様となっている。ドライバーの正面にはシンプルなディスプレイを装備する。
乾燥重量はクーペと同じ1280kgを実現
オラチオ・パガーニは、高度な複合材料のパイオニアでもあり、約40年にわたり、最も革新的なソリューションがないか試行錯誤を続けてきた。現在も継続的な研究を行っており、ユートピア ロードスターでもノウハウを投入している。それはカーボンファイバーにくわえて、40種類以上の複合材料が使われており、カーボン・チタン(HP62-G2)やカーボトリアックス(HP62)などが含まれている。
これらの技術により、ユートピア ロードスターの乾燥重量はクーペと同じ1280kgを達成した。これはV型12気筒エンジンを搭載した大型ハイパーカーとしては、驚異的な軽さである。この結果を達成できたのは、剛性と抵抗を最適化するために全面的に再設計されたモノコックシャシーがあってこそで、通常、オープンカーに必要とされる重い補強材は一切必要なかったという。
エアロダイナミクスは、低いドラッグと高いダウンフォースを達成。パガーニのエンジニアは空気の流れを入念に研究し、車両周辺のエアフローはティアドロップ型ルーフを通り、側面に沿って導かれる。インナーエアの流れも細部に至るまで完璧に仕上げられ、パフォーマンスと安定性に不可欠な貢献をしている。
1100Nmという驚異的なトルクを生み出す
エンジンはメルセデスAMGとパガーニが共同開発した、最高出力875ps、最大トルク1100Nmを発揮する6L V型12気筒ツインターボを搭載する。ドライバーがエンジンのフルパワーを体験したいときには爆発的な加速を実現。それぞれのエンジンは、1人の職人によって1基ずつ完全に組み立てられる。
このモデルは純粋な内燃機関モデルとして開発され、重いバッテリーやハイブリッドシステムを搭載せず、V型12気筒ツインターボの素晴らしい咆哮だけが響く。
パガーニの運転する楽しさの哲学とは
ユートピア ロードスターの車内の感覚は、非常にユニークなものだ。車内に乗り込むと、数々の昔ながらの装備に脅かされるかもしれないが、実際にはここからが醍醐味なのだ。これらのパーツは一見すると贅沢なものに見えるかもしれないが、効率性と透明性に焦点を当てて設計されている。
パガーニは、何よりも卓越したドライビング・エクスペリエンスを提供する。この剛性は、ドライバーと路面との間につながりを生み出し、ステアリングを握る手が直接アスファルトに触れ、その質感やグリップの変化を感じ取るような印象を与える。この軽さは、エンジンに過度な負担をかけることなく即座に反応し、イグニッション時に瞬時に生き生きとした走りを可能にする。
また、コーナリング時の俊敏さにも通じている。クルマはフラットに曲がり、完璧な精度で再びストレートに突入する。ブレーキングでも、すべてのフットコマンドに即座に反応するため、減速の体験は加速に匹敵する喜びとなる。ドライバーが命令すれば、クルマは即座に従うのだ。
ユートピア ロードスターは2024年8月に北米カリフォルニア州モントレー半島にて開催される「モントレーカーウィーク」にて、オプションの「スポーツパック」モデルが一般公開される予定だ。
このモデルは130台が生産され、世界中の顧客向けに販売される。ユートピア ロードスターを実際に楽しむ顧客は、限定されたコミュニティをはるかに超え、いつかパガーニのハイパーカーを所有することを夢見る人々にまで届く、芸術家のパトロンとみなすことができる。
AMWノミカタ
言葉の端々にこのプロダクトに対する自信がみなぎっていることを感じた。「減速体験が加速に匹敵する喜びとなる」などという表現は、これまでの自動車メーカーは語ることはなかったと思う。
最新の素材と製造技術にパフォーマンスと芸術性が加わり、アナログに回帰することが、ここのところのハイパーカーのトレンドのように思える。ブガッティの「トゥールビヨン」も然り。このユートピア ロードスターも高級時計にインスパイアされ、機械部分をあえて見せ、触れさせることにブランドの価値をおいている。
オーナーは「芸術家のパトロンである」と表現していることからも、この130台のクルマの芸術性は高く、遠い未来においてもその性能だけでなく存在そのものが高く評価され続けるのであろう。
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