2023年5月2日、F1にタイヤを供給するピレリは、第4戦アゼルバイジャンGPを振り返るとともに、現地時間5月5日から始まる第5戦マイアミGPに向けての興味深い分析を発表した。
バクーはセーフティカーが勝敗を分けるひとつのポイントに
まず、バクーで行われた第4戦アゼルバイジャンGPの決勝レースについて、ピレリは次のように振り返る。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
「気温28度で、路面温度44度で始まった決勝は、最初から最後まで激しいレースでした。金曜日の予選ではフェラーリのシャルル・ルクレール3年連続でポールポジションを獲得しましたが、決勝レースではレッドブルが2台ルクレールを攻略し、ルクレールは3位に終わりました」
「大部分のドライバーがスタートでミディアムタイヤを選択し。9周目から11 周目の間にミディアム タイヤからハード タイヤに交換しました。アルピーヌのエステバン・オコンとハース ドライバーのニコ ・ヒュルケンベルグ、またはアルファタウリのニック・デフリースはハードタイヤでスタートし、レース中盤以降のセーフティカーを狙いましたが、この戦略は不発に終わりました。11周目にセーフティカーが導入されましたが、 ほとんどのドライバーはこのセーフティカーを利用してタイヤ交換を行っています。このセーフティカーの導入の数秒前にタイヤを交換したフェルスタッペンを含め、一部のドライバーは早めにストップすることでアンダーカットを試みましたが、不運な結果となり、これがこのレースの勝敗を分けるひとつのポイントになりました」
「レースのもうひとつのポイントはハードタイヤでした。今回はスプリントレースフォーマットで行われたためロングランのデータはほとんどありませんでしたが、 ハードタイヤは良好な信頼性を発揮しました。ハードタイヤでのベストタイム(マックス・フェルスタッペンの1分44秒232)が、昨年の最速レースラップより1.8秒速いものであることがそれを証明しています。 レース全体のファステストラップは、最終ラップでメルセデスのジョージ・ラッセルがソフトタイヤに履き替えてマークしています」
2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP決勝 結果
1位 11 S.ペレス(レッドブル) 51周
2位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)+2.137s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+21.217s
4位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+22.024s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ) +45.491s
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +46.154
7位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+51.617s
8位 63 G.ラッセル(メルセデス) +74.240s
9位 81 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+80.3761s
10位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)+83.862s
・・・・・・・・・・・・・
リタイア 21 N.デフリース(アルファタウリ・レッドブル)
ファステストラップ G.ラッセル(メルセデス)
2023年F1ドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)93
2位 S.ペレス(レッドブル)87
3位 F.アロンソ(アストンマーティン)60
4位 L.ハミルトン(メルセデス)48
5位 C.サインツ(フェラーリ)34
6位 C.ルクレール(フェラーリ)28
6位 G.ラッセル(メルセデス)28
2023年F1コンストラクターズランキング(第4戦終了時)
1位 レッドブル 180
2位 アストンマーティン 87
3位 メルセデス 76
4位 フェラーリ 62
5位 マクラーレン 14
マイアミは豪雨の可能性を考慮する必要あり
では、第5戦マイアミGPはどうなるのか、グランプリ開幕を前にピレリは次のように分析している。
「前戦アゼルバイジャンGPと今回のマイアミGPは、今季初めての連戦となります。 バクーとマイアミとの間には8時間の時差があるため、チームにとってはさらに過酷なものとなります」
「マイアミGPは昨年初開催となりましたが、ハードロックスタジアム周辺のコースは特殊な特性を持つアスファルトで、タイヤは期待どおりに機能しました。 今年は再びトラックが完全に舗装し直されており、グランプリ開始前にその特性に大きな変化があるかどうかを確認する必要があります。コースは多種多様なコーナーと長いストレートが特徴で、タイヤに適度な負荷がかかります 。ただ非常に高い気温が予想されるため(昨年は路面の最高温度がほぼ60度に達した)、中間の硬さのコンパウンド (C2、C3、および C4) を供給することにしました」
「昨年のマイアミGPで最も使用されたコンパウンドはミディアムとハードでした。 レースはセーフティカーとバーチャルセーフティカーによって2回リセットされ、2回ピットストップを行うチャンスがありましたが、ほとんどのドライバーは1回のピットストップでグランプリを戦いました」
「アゼルバイジャンGPでは新しいスプリント形式が導入されたため、アップデートをテストするための時間がほとんどありませんでしたが、マイアミGPでは通常のスケジュールに戻り、予選とレースの前に3回のフリー走行が行われます。チームはここでマシンをセッティングするとともに、レース戦略を錬ることになります」
「レースに向けての予想は簡単ではありませんが、マイアミの天気は非常に変わりやすいのもポイントになるでしょう。 昨年は雨に見舞われましたが、雨が降ったのはスターティンググリッドだけで、気温が高く、レースが始まる前に路面は乾いていました。 ただ、豪雨の可能性を真剣に考慮する必要があります」
【参考】2022年F1第5戦マイアミGP決勝 結果
1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)57周
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+3.786s
3位 55 C.サインツ(フェラーリ)+8.229s
4位 11 S.ペレス(レッドブル)+10.638s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス)+18.582s
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+21.368s
7位 77 V.ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)+25.073s
8位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+28.386s
9位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス)+32.365s
10位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+37.026s
・・・・・・・・・・・・・
12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)+40.146s
リタイア 10 P.ガスリー(アルファタウリ・レッドブル)
ファステストラップ: 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第5戦マイアミGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:5月5日14時30分~15時30分(日本時間5月6日03時30分~04時30分)
フリー走行2回目:5月5日18時~19時(日本時間5月6日07時~08時)
フリー走行3回目:5月6日12時30分~13時30分(日本時間5月7日01時30分~02時30分)
予選:5月6日16時~17時(日本時間5月7日05時~06時)
決勝(57周):5月7日15時30分~(日本時間5月8日04時30分~)
[ アルバム : F1第4戦アゼルバイジャンGPレビュー&マイアミGPプレビュー はオリジナルサイトでご覧ください ]
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