1日の平均走行距離が約40kmという結果のもと算出
プラグインハイブリッド車(PHEV)のEV走行(モーターのみでの走行)が、各車とも50km前後が多いのは、世界的に一日のクルマの移動距離が約40kmという調査結果があるためだ。
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PHEVは、搭載するリチウムイオンバッテリーにEVと同様にあらかじめ充電しておけば、モーターだけで走行できるると同時に、充電した電気を使い果たしたあとは、エンジンとモーターを使ってハイブリッド車として走り続けられるクルマだ。
したがってEV走行能力が50kmあれば、日常的なクルマの利用はEV走行だけで済ませられる可能性が高くなる。とくに、都会など人口密度の高い地域では、多くの人がEV走行することにより、排ガスゼロによって大気も改善される。EV走行は、気候変動に影響をおよぼす二酸化炭素(CO2)の排出を無くすだけでなく、排ガスに含まれる有害物質の排出もなくせるので、一石二鳥の効果がある。
一方、クルマは日々の利用だけでなく遠出もすることに期待する消費者も多いため、EV走行を終えたあとはハイブリッド走行ができれば、あとは充電の心配なく走れ、燃料が切れたら給油すればさらに距離を延ばすことができ、使う上で不安が少ない。またハイブリッド走行であれば、エンジン車に比べ燃費も改善され、CO2排出量を抑えられるとともに、燃料代も安上がりになる。これも一石二鳥の効果だ。
販売価格についても、原価がまだ高いとされるリチウムイオンバッテリーの搭載量を少なくできれば、車両価格の上げ幅も小さくできる。
電気自動車時代を先取りできる魅力的なモデルだ
日本では、トヨタ・プリウスPHVとRAV4 PHV、そして三菱アウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVの4車種のみだが、欧州で、ことにドイツ車にPHEVが増える傾向にあるのも、都市部で問題となっている大気汚染を抑制しながら、CO2排出量を削減でき、2021年から強化されるEUでのCO2排出量規制に対処できるためだ。アウトバーンのあるドイツでは、長距離移動の機会も多い。
そのうえで、PHEVで日常的にEV走行を経験することにより、EVを疑似体験でき、モーター走行の特徴を日々実感するだけでなく、50kmしか走らないのだから充電を毎日行うことで、給油とは違う充電の利点も体験でき、将来のEV時代へ向けたいい予行演習にもなる。
ただし、充電への懸念がない人には、ハイブリッド走行でエンジンが掛かることへの鬱陶しさをやがて覚えるようになるかもしれない。EV走行は、静粛性だけでなく動力性能も高く、わずかなアクセル操作に対する応答もいいので、思いどおりの速度調節ができ、運転が苦手な人にも楽に走らせられる感触をもたらす。EVであることが環境だけでなく、運転の容易さを実感させるのだ。
都会でのEV走行と、長距離移動の両方を頻繁に利用する人にはPHEVが最適かもしれないが、EVであることを当たり前に思える日がやがて来るかもしれない。そのとき、PHEVはEV時代への過渡的な車種だったと思うのではないか。
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