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英国試乗 マツダ6(アテンザ) 2.5 GT 193psの2.5ℓ 質感を取るならMT+2.0ℓ

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英国試乗 マツダ6(アテンザ) 2.5 GT 193psの2.5ℓ 質感を取るならMT+2.0ℓ

もくじ

どんなクルマ?
ー 自然吸気2.5ℓエンジンが登場
どんな感じ?
ー デザインも質感も向上したインテリア
ー ライバルより際立つステアリングフィール
ー 余裕のパワーを取るか、燃費を取るか
「買い」か?
ー 2.5ℓよりも2.0ℓをマニュアルで
スペック
ー マツダ6(アテンザ) 2.5 GTスポーツ・ナビ+のスペック

マツダ・アテンザ改良型 2.5ℓガソリン・セダンを評価 ディーゼル車も試乗

どんなクルマ?

自然吸気2.5ℓエンジンが登場

中型サルーンの中でも魅力的なマツダ6(アテンザ)の3代目が登場してから6年目。これまでで最も大きなマイナーチェンジを受けたが、一方でマツダはあまり声高に触れてはいないように思える。少なくとも英国から見ると。

フロントグリルのメッシュは奥まった位置に移動し、グリルを囲むクロームメッキ・フレームの両端は、LEDヘッドライトの下にまで伸ばされた。またフロントバンパー周りも、デザインが変更されている。しかし、マツダ6の持つ全体的な流麗な雰囲気にまでは、手を加えてはいない。他に目のつく変更点としては、ボディ両端にレイアウトされるマフラーカッターの形状が若干変更された程度。

反面、ボンネットの中身は刷新されている。この6には、マツダのダイレクトインジェクション・エンジン、新しい2.5ℓのスカイアクティブGが搭載されたのだ。この変更は、消費者の志向がディーゼルからガソリンへと緩やかにシフトしていくことを予想したもの。選択肢を増やしたいという思いもあるだろう。

新しいエンジンは自然吸気で、ディーゼルの人気が高くないアメリカでは既に提供されており、大きなSUVのCX-9や、一回り小さな弟分のCX-5に搭載されている。最高出力193psというスペックは、英国仕様のマツダ6では最もパワフルなエンジンとなり、低負荷時には4気筒のうち2気筒を休止させる機能も搭載されている。その結果、WLTP(World Harmonized Light Duty Test Procedure:乗用車等の国際調和燃費・排ガス試験方法)での燃費は14.9km/ℓとなる。

このトップモデルとなる2.5ℓのほかに、既存の2.0ℓスカイアクティブGエンジンも改良を受けており、145psと165psを発生。すべてのエンジンにはマツダ製の6速ATが組み合され、細身のステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルを用いて操作する。

排気量が増え、パワーアップを果たした走りが楽しみだ。

どんな感じ?

デザインも質感も向上したインテリア

インテリアは想像以上に豪華な雰囲気が漂う。2.5ℓエンジンモデルは、GTスポーツ・ナビ+と呼ばれるグレードのみとなり、7インチTFTモニターがインスツルメントパネルに埋め込まれている。シートはナッパレザーで覆われ、日本の古い寺社仏閣をモチーフにしたという、ウッドトリム・パネルがインテリアを飾る。

また視覚的に車内の幅を広く見せるため、エアコンの送風口がドアパネルをえぐるようにレイアウトされ、小さく、横方向に長い形状にデザインされている。おかげで、車高の低いCX-5に乗ったような、従来までの感覚はなくなった。

ただ、電動シートの動作音は依然として大きく、インフォテインメント・システムのモニターの解像度も充分鮮明にはなったものの、メニュー画面のデザインも優れているとはいいにくい。

魅力的なスポーツカーを生み出す自動車メーカーとして、サルーンのシートポジションも秀逸ではないかと期待するだろう。しかし、身長の高いドライバーにとっては、ステアリングコラムのテレスコピック(前後)方向の調整幅は充分ではなく、軽くサイドが張り出したシートも、満足できるほど低い位置には設定できない。全般的に、ドライビングに関わる操系のレイアウトはシンプルで、車内も整然としているのだが。

エクステリアでは、このGTスポーツ・ナビ+には、ゴーストクローム仕上げと呼ばれる、19インチのアルミホイールが装着されている。同じ仕上げはフロントグリルにも施され、リアバンパーに取り付けられたグロスブラックのパネルが、後ろ姿を引き締めている。

また、今回のテスト車両がまとう「ソウルレッド・クリスタル」と呼ばれるボディカラーも目を引くはず。従来の近似色よりも明るく、深みのある色調になったとするマツダ。800ポンド(11万円)のオプションではあるものの、素晴らしいカラーだと思う。

ライバルより際立つステアリングフィール

マツダが165psの2.0ℓエンジンだけではなく、さらにパワフルなエンジンをラインナップした理由のひとつには、パワーを受け止められるだけの優れたシャシーを獲得していることもあるだろう。前輪駆動のマツダ6は、これまでも敏捷さが身上で、クルマが進行方向を変えていく自然な仕草は印象的なほど。ステアリングフィールはこのクラスのスタンダートと比較しても心地よく、きめ細かくダイレクトだ。

実際、前輪駆動のライバルとなるフォード・モンデオやフォルクスワーゲン・パサートだけでなく、構造的に異なる、後輪駆動のBMW 3シリーズと比較しても、遜色のないレベルを披露してくれる。

今回のマイナーチェンジでは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクとなるサスペンションも改良。ステアリングフィールを一層リニアなものにするため、フロントのステアリングナックルの取り付け位置を下げつつ、ロワアームのマウント位置を持ち上げている。さらに、ステアリングラックが直接トランスファーに固定され、操作する機会の多い、中速コーナーでの正確性が高められている。

アンチロールバーの取り付け方法も、サスペンションのスムーズな動きの妨げにならないよう、配慮されている。さらに、ダンパーは通常タイプのままながら直径は大きくなり、乗り心地の快適性を向上させるとともに、リアのアッパーマウントをウレタン製とすることで、減衰力特性を改善させている。

ほかにも、ここには書ききれないほどの改良が施されているが、結果としてマツダ6の優れたダイナミクス性能は間違いなく受け継がれている。ステアリングフィールはダイレクトで、ノーズは鋭くコーナーへと向きを変える。ボディロールも緩やかで、節度がある。シャシーはとてもナチュラルに、流れるように向きを変えていく。

走行ペースを限界付近へと速めていくと、ボディコントロールは上下方向で先に音を上げはじめ、路面が荒れている場面などでは、不規則な動きが目につくようになる。ただし、前輪駆動の上質なサルーンの走行ペースとしては、必要以上に高い速度域での話。全体的には優れた、特徴のしっかりしたステアリングフィールだと思う。

余裕のパワーを取るか、燃費を取るか

今回、マツダは防音性能も高めた。クルージング時のタイヤの走行音やエンジンノイズは、感銘を受けるほどに遮断されている。その分、風切り音が従来よりも大きく聞こえるのが、気になってしまうけれど。

新しい自然吸気の2.5ℓエンジンは、豊かなトルクを持つディーゼルターボとは異なり、ドライバーにアクセル操作を求めてくるが、これは当然だといえるだろう。最大トルクは4000rpmで発生し、最高出力の193psは6000rpmで発生するから、素早いダッシュを得るには、アクセルを軽く踏むだけでは難しい。

ディーゼルターボエンジンは高回転域で精彩を欠いてしまうし、2.0ℓエンジンには、1.5tの車重はやや荷が重いことも事実。パワーが上乗せされた2.5ℓモデルなら、スポーツモードでスロットルレスポンスをさらにシャープにすれば、期待以上の速さを実感できるはず。

試乗ではイングランド中部のコッツウォルズの国道を中心に、48km/hの速度制限がある市街地を含めて走ったが、2.5ℓモデルの燃費は13.1km/ℓだった。ちなみに、われわれが同時にテストした、165psを発生させる2.0ℓモデルの燃費は17.7km/ℓ。パワーと燃費と、どちらを取るかは、読者の判断にお任せしたい。

最後に、2.5ℓモデルに6速マニュアルが選択できない点は残念。ATの質感に大きな不満はないものの、マニュアルの軽快で正確な動作は好ましいものだった。それに、クラッチは毎日使用するクルマとしても充分軽く、ブレーキとアクセルペダルも、シフトダウン時に回転数を合わせるのに丁度よいレイアウトだったのだ。

「買い」か?

2.5ℓよりも2.0ℓをマニュアルで

英国では、クラスをリードするような人気は得られないだろうけれど、所有する満足感は高いモデルだといえる。走りにもこだわり、比較的手頃な価格で、ガソリンエンジン車という条件なら、マツダ6は有力候補になってくる。

それだけに2.5ℓエンジンが惜しい。2.0ℓエンジンのような滑らかな回転をより求めたくなるし、上乗せされるパワーも、燃費で比較すると「大歓迎」とはいえない。また、英国人にとって、やはり6速マニュアルが選択できない点も、ATの完成度が高いとはいえ、残念だ。

2.0ℓのガソリンエンジンで、180psくらいの最高出力を持つモデルがあったなら、それがスイートスポットになるだろう。

とはいえ、インテリアの質感は従来以上に高級感を増し、標準装備の内容も素晴らしい。知的で快適、広々としたサルーン、もしくはエステートとして、デザインやハンドリングの面でも、ライバルより秀逸な仕上がりを得ていることには違いない。

マツダ6(アテンザ) 2.5 GTスポーツ・ナビ+のスペック

■価格 3万795ポンド(449万円)
■全長×全幅×全高 4865×1840×1450mm
■最高速度 222km/h
■0-100km/h加速 8.1秒
■燃費 14.9km/ℓ
■CO2排出量 153g/km
■乾燥重量 1532kg
■パワートレイン 直列4気筒2488cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 193ps/6000rpm
■最大トルク 26.2kg-m/4000rpm
■ギアボックス 6速オートマティック

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