■人気モデル「CE28N」が22年越しにフルモデルチェンジ!
自動車用ホイールメーカー「RAYS」のブランド「VOLK RACING」の人気モデル「CE28N」がフルモデルチェンジしました。「CE28N-plus」として登場した新たなホイールをサーキットで試乗しました。
「RAYS(レイズ)」といえば、日本を代表する高性能ホイールのメーカー。そんなイメージを持つクルマ好きは多いことでしょう。
同社のホイールはアフターマーケットで高い人気を誇るほか、R35型の日産「GT-R」やマツダ「ロードスター990S」などに純正ホイールとして標準装着されていることを知るクルマ好きも多く存在するに違いありません。
純正ホイールは強度や耐久性といった面においてアフターマーケット品(一般的な市販品)よりも厳しい要求が課せられます。レイズの製品が純正品として採用例が多いことは、自動車メーカーの高い要求に応えられる技術力を持つホイールメーカーの証しと言っていいでしょう。
そんなレイズのブランドのひとつが「VOLK RACING(ボルクレーシング)」。その人気モデルのひとつ「CE28N」がフルモデルチェンジしたので、その進化をチェックしてみましょう。
まずは従来品であるCE28Nについて振り返っておきたいと思います。初代デビューは1999年。同ブランドの主力ホイール「TE37」が“強さ”すなわち高強度と高剛性をコンセプトするのに対し、“軽さ”に挑戦したのがCE28Nの何よりの特徴でした。
TE37がGT-Rなどターボエンジン搭載のハイパワーモデルに乗るユーザーから好まれるのに対し、CE28はシビックやインテグラのタイプR、S2000など自然吸気エンジンのコーナリングマシンに多く装着され、俊敏なハンドリングを完成させるホイールとして人気を博しました。軽量という特徴が運動性能を高めるホイールだったのです。
ちなみにCE28という名前は、6.5JJ×15インチサイズの同ホイールが重量わずか2.8kgしかなかったことに由来。TE37の場合は同じサイズで3.7kgと聞けば、いかに軽いホイールか理解できるでしょう。
その後派生モデルを生んだり幾度かのマイナーチェンジを受けて進化を繰り返したりしてきたCE28Nですが、今回、「CE28N-plus」として、22年越しのフルモデルチェンジを受けて大幅アップデートされたというわけです。
なぜ進化が必要だったか。開発者によると「20年間のクルマの進化が大きく影響している」といいます。
この20年間で、スポーツモデルはエンジンパワーがますます増えました。いっぽう装備の追加などもあり、車両重量も増しています。それに対応するためホイールには軽さに加えて「持久耐久強度」や「耐衝撃性能」がこれまで以上に求められるようになりました。そこで、フルモデルチェンジで進化するという結論になったのです。
とはいえ、軽量ホイールということに変わりはありません。その特徴はキープしつつ、剛性や強度を高めているのです。従来品に比べると重量は増したものの、同社の「TE37 SAGA S-plus」に比べると1本あたり500g軽く作られています。
もうひとつ変わっていないことがあります。それはデザイン。強度と剛性を高めるためにスポーク断面の厚みを増したり、スポークトリムの結合部を大きく広げたり、リム形状を変更するなど細部は変更していますが、全体としては従来モデルのデザインを継承しており、ひと目でCE28Nとわかる意匠になっているのです。
スタイリングの話をすると、実物を見て筆者(工藤貴宏)が気に入ったのはカラーです。CE28N-plusには「ダイヤモンドダークガンメタ」と「シャイニングブロンズメタル」の2色が用意されていますが、注目は後者です。新たに開発された輝度の高いメタリックカラーで、深みのあるブロンズは愛車の足元をオシャレに演出してくれることでしょう。
サイズは現時点ではすべて18インチで、リム幅は7.5Jから11Jまで設定。GR86やスバルBRZをはじめ、シビック タイプR、フェアレディZ、WRX、さらにはGRスープラやミニなどにも装着可能です。
[Text:工藤貴宏 Photo:土屋勇人]
■プロドライバー2人に加え 試乗した筆者の感想は?
ところで、気になるのは「このホイールを履くと、実際に軽量化のメリットを体感できるのか?」ということではないでしょうか。今回は2人のプロドライバーに、同じ車両、同じサイズ、そして同じ銘柄の新品タイヤで、ホイールのみ「TE37 SAGA S-plus」から「CE28N-plus」に履き替えて試乗して、印象を教えてもらいました。
スーパーGT選手権のGT300クラスでシリーズチャンピオンに輝いたこともある井入宏之選手は「同じ車両で同じタイヤでもCE28N-plusに履き替えると挙動がシャキッとしますね。ハンドリングもブレーキもカッチリします」と違いが感じられたことを明言。
同じくGT300クラスで幾度ものシリーズチャンピオンを獲得しているほか、全日本ジムカーナ選手権で120回以上優勝している山野哲也選手は「クルマによって変化が異なり、フェアレディZでは4つのタイヤのグリップが上がった感じ。アンダーステアやオーバーステアが減ってクルマの挙動が乱れにくくなり、コントロールが楽になりました。クルマの安定性が上がったことを実感します。
いっぽうWRXではステアバランスは変わらないけれどホイールを変えたことで、これまで以上にかじが効くようになりました。さらによく曲がるクルマになりましたね」とこちらも好印象のようです。
筆者も実際にフェアレディZで富士スピードウェイのショートコースを走ってみましたが、確かにバネ下がバタつくことなく素直なハンドリング特性であることを実感。路面の状況やタイヤのグリップをリニアにドライバーへ伝える特性に優れていることがよくわかりました。
ちなみに開発者にCE28N-plusとほかのホイールとの違いを尋ねたところ「TE37 SAGA S-plusに比べるとハンドルを切った際のレスポンスがワンテンポ早い」、「従来モデルのCE28Nに対しては旋回中の限界に近い領域でホイールのヨレが減り、しっかりと踏ん張りが効く。これが高剛性/高強度化した進化です」と教えてくれました。
今回、CE28N-plusを開発するにあたっての開発キーワードは「変化と不変」だといいます。性能を高めつつも、デザインや特徴の軽さは変えない。クルマを愛するスポーツカーのオーナーなら、人気のデザインは継承しつつ、最新技術で性能を高めたこのホイールをチェックしておくといいでしょう。
[Text:工藤貴宏 Photo:土屋勇人]
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みんなのコメント
タイヤはサイドウォールの厚みがあった方がかっこいいと思う派です。