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ブリヂストン、フォーミュラE用タイヤは小平とローマの2拠点での製造を予定「輸送でのCO2排出を考えても、”地産地消”が重要」

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ブリヂストン、フォーミュラE用タイヤは小平とローマの2拠点での製造を予定「輸送でのCO2排出を考えても、”地産地消”が重要」

 2026-2027シーズンからフォーミュラEにタイヤを供給することになったブリヂストン。このタイヤは、日本の小平とイタリアのローマの2拠点で製造する予定で調整が進められていることが分かった。

 2025年からF1へのタイヤ供給を目指して入札に参加したブリヂストン。これは叶わなかったが、その後2026-2027年シーズンから4年間にわたってフォーミュラEにタイヤを供給することが決まった。ブリヂストンはこれで、FIAの世界選手権レースに”復帰”することとなる。

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 このフォーミュラE用タイヤは、これまでブリヂストンが四輪のモータースポーツにタイヤを供給する際に使ってきたブランド”ポテンザ(POTENZA)”ではなく、「究極のカスタマイズ」を実現する商品設計基盤技術”エンライトン(ENLITEN)”をブランド名として掲げる予定であるという。

 ブリヂストンの常務役員/製品開発管掌である草野亜希夫氏は、同社がタイヤ供給を開始する予定の2026-2027年シーズンから導入されるGen4マシンは、現行マシンと比べるとかなりのハイパワーとなり、タイヤに求められるモノも大きく変わってくると想定されているという。なお草案では、Gen4マシンは現行車の約2倍となる600kW(815PS)が最大出力になるとされている。

「タイヤの骨格となる部分、核となる絶対に変えてはいけない部分、なければいけない部分については、既に開発を進めています。EV特有の高出力・高トルク、モータースポーツには欠かせない摩耗とグリップ、そしてモータースポーツではあまり重視されなかった転がり抵抗……この3点をどう引き上げるかということについて、今やっているところです」

 草野常務役員はフォーミュラE用タイヤ開発の現状についてそう語った。

「今もらっているデータを見ると、Gen4マシンはかなり変わりそうです。パワーも上がりますし、たとえば四輪駆動だとか、F1などではできないようなこともできます。そういう部分について、我々もアジャストしなければいけません」

「Gen4マシンがどんなパフォーマンスになるのか、まだ見えていない部分があります。かなり進化すると聞いておりますので、かなり厳しいことになるのを想定して開発を進めています」

 ブリヂストンはモータースポーツ活動を強化することを発表したばかり。その重要なキーワードのひとつが”サステナブル”である。かつてF1にタイヤを供給していた際には、東京・小平にある工場で全てを作り、世界中のサーキットに輸送していたが、フォーミュラE用タイヤは2拠点で製造することで、輸送で排出するCO2を減らそうと考えているという。

「サステナビリティということを考えると、地産地消というのが、(輸送にかかる)CO2排出量の観点でも間違いなく良いと思います」

 そう草野常務役員は説明する。

「ブリヂストンの強みは、世界各所に拠点があるということです。技術センターは東京の小平だけでなく、欧州ではローマに、アメリカにはアクロンに、アジアではタイにあります。そういうモノを活用しながら、やっていきます」

「フォーミュラEは欧州でのレースがメインになります。日本で技術開発したモノをローマにも展開して、両方で生産するというのが今の考え方です」

「サステナビリティの観点では、絶対に重要なことだと思います。タイヤを船で送る、飛行機で送る……その時の燃料のことを考えれば、非常に重要です」

 また、何らかの危機的な状況に見舞われた時のことを考えても、2拠点で製造するのは大切なことだと、草野常務役員は言う。

「もうひとつはBCP(事業継続計画/Business Continuity Plan)の視点です。地震や火事があった時に足元を支えるという点でも、欧州と日本でしっかり作って供給できるということを考えておく必要があります」

「グローバルな視点で見た時には、日本はどうしても地震が多い。そういう時にも供給責任をしっかり果たすというのは、大原則だと思っています。そのためにも2拠点でちゃんと作れるようにするのが、我々の強みでもあります」

 ただ2工場で作るということは、性能を均一にするという点では大きな課題になる可能性があるのではないかとも危惧してしまう。特にコンマ数秒を争うモータースポーツの世界では、ほんの僅かな差が勝敗を分ける要因となる場合があり、そのためにも均一なタイヤを供給することが不可欠……工場を分けることで、その点にデメリットが生じるのではないかとの見方もある。

 ただこれについては、2拠点で同じ性能のタイヤを供給できると、草野常務役員は自信を見せる。

「細かいところはご説明できませんが、我々にはノウハウが色々とあります」

「たとえば市販車用タイヤでも、欧州で作ったタイヤとアジアで作ったタイヤを、同じ仕様のクルマに履いていただくということがあります。その時、ここだけ押さえておけば、同じ性能は出せるというノウハウがあります」

「そういう意味では、今回(のフォーミュラEでも)同じ性能は出せると考えています。ただ、ロットとしては(レースごとに)分けてやっていきます」

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