トヨタはカローラクロスを追加し、SUV全9モデルをラインナップ。ラグジュアリーブランドのランボルギーニやロールスロイスでは、ウルス、カリナンを設定するなどSUVが世界的なブームとなっている。
SUVのルーツには諸説あるが、アメリカでピックアップトラックをベースにし、シェルとよばれる屋根を荷台に載せたモデルのことを指す。そして1980年代に登場したジープグランドチェロキーがこのカテゴリーを確立したといえる。
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最近のSUVブームは欧州のラグジュアリーブランドが中心となりつつあったが、パイオニアであるアメリカンブランドからキング・オブ・SUVに相応しいモデルが導入された。それがキャデラック エスカレードである。
2020年11月に発表された5代目となる現行型キャデラック エスカレードに試乗することができたので、インプレッションを紹介しよう。
文・写真/萩原文博
[gallink]
1000万円越えのSUV「キャデラック エスカレード」とは?
2020年11月13日に発売された5代目エスカレード(全長5400×全幅2065×全高1930mm/ホイールベース3060mm)
キャデラック エスカレードは1999年に初代モデルが登場。2007年登場の3代目モデルから日本市場に正規輸入が開始された。2015年に導入された4代目エスカレードは、ADASと呼ばれる運転支援システムやコネクティング機能が強化され、一気にモダン化した。そして、2020年11月に5代目となる現行モデルが登場した。
現行型エスカレードのグレード構成は車両本体価格1490万円のプラチナムと、1520万円のスポーツの2種類。ラグジュアリー系のプラチナムは、ホリゾンタルバーを配したガルバノグリルを採用。いっぽうのスポーツはブラックメッシュグリルやブラックトリムを採用し、スポーティな外観が特徴で左ハンドルのみとなる。
現行型エスカレードのボディサイズは全長5400mm×全幅2065mm×全高1930mm。この数字は現在、日本に正規輸入されているSUVのなかで、最も大きなロールスロイスカリナンより全長60mm、全幅65mm、全高95mm大きく、まさにキング・オブ・SUVにふさわしい圧倒的な存在感を誇るビッグサイズとなっている。
エスカレードの外観デザインは、スリムでスマートな新型ホリゾンタルヘッドライトを採用。薄型のヘッドライトによって、よりフロントグリルの大きさが強調されている。さらに、フロントバンパーの両端には垂直方向のデイライト&ウインカーを内蔵。これによりワイドにそしてフロントマスクの迫力を増す効果を生んでいる。リアに採用した垂直方向を強調したテールランプにより、キャデラックのDNAを継承。こういったライトにはLEDが採用されている。
3つのモニターで構成される大型ディスプレイと幅広なセンターコンソールが目を引くインテリア
インテリアは、自動車業界で初めて「湾曲型OLEDディスプレイ」を採用。対角線の長さが38インチ超の大型ディスプレイを備えて、現在生産されている車載用ディスプレイの中で最大の色域となっている。ディスプレイを覆うフードがないのは、鮮やかな色と画質を特徴とするOLEDは明るく乱反射のない環境をつくれるからだ。
室内空間は先代モデルと比べて、全長は+187mm、ホイールベースは+121mm、そしてキャビン&ラゲッジスペースが拡大された。特に3列目のレッグスペースは40%も大きくなり、快適な着座姿勢を実現。
さらに、居住空間が広がっただけでなく2列目及び3列シートへのアクセスも先代モデルよりスムーズにおこなえるようになっている。ラゲッジ容量は7人が乗車した状態で722L。3列目シートを畳むと2065Lまで拡大。
V型8気筒OHVエンジン搭載&先進安全装備を充実
低負荷時には8気筒のうち4気筒または6気筒を休止させるシステムを採用した、6.2L V型8気筒OHVエンジンを搭載
搭載されているエンジンは、最高出力416ps、最大トルク624Nmを発生する6.2L V型8気筒OHV。使用燃料はハイオクが推奨されているがレギュラーガソリンも使用可能。満タンで90Lとなると、昨今のガソリン価格高騰により財布がかなり辛くなるので、レギュラーガソリンでも対応しているのは嬉しいかぎり。
組み合わされるトランスミッションは10速AT、駆動方式はセレクタブル4WDを採用している。安全装備は、車両の各部にレーダーをはじめ、カメラ、超音波センサーを数多く設置。
前方に歩行者を検知すると、ドライバーに警告、必要に応じて、ブレーキをかけて衝突回避および被害の軽減を図るフロント歩行者対応ブレーキ+リアペデストリアンディテクションアラートをはじめ、エマージェンシーブレーキシステム、アダプティブクルーズコントロール、新世代サラウンドビジョンなど9種類の運転支援機能を搭載している。
またフラッグシップモデルにふさわしく、36個のスポーカーを備えたAKG製の3Dサラウンドサウンドシステムを採用。室内空間はまさに極上のコンサートホールのよう。さらに、フロントシート背後には12.6インチのタッチディスプレイを2台備えたリアシート用エンターテイメントシステムも装備し、乗員すべてが快適に移動することができる。
アルファードに外観の迫力とラグジュアリー感で勝る存在感
ブラックメッシュグリルやブラックトリムが特徴のグレード「スポーツ」のボディカラーは、ブラックのみの設定
試乗したのは、車両本体価格1520万円のスポーツ。全長5.4m、全幅約2mの大きなボディはブラックの大きなメッシュグリルによって圧倒的な存在感を醸し出していて、最初に見た印象はとにかく「デカイ! 」。それは、宇宙戦艦ヤマトに出てきた超巨大戦艦に匹敵する。
さすがにこのエスカレードの前では、押し出しが強いアルファードでもひれふすしかない。また乗り込む際には電動でステップが出てくるホスピタリティは素晴らしい。新アーキテクチャーを採用し、独立懸架となったリアサスペンションには、各ホイールが個別に路面状況に対応し、乗り心地、ステアリングの応答性、ドライバーのコントロール性を飛躍的に向上させている。
さらに、きめ細かな車高の調整を行う「アダプティブエアライドサスペンション」、あらゆる状況下で、可能な限りのトルクをホイールに供給しトラクションを向上させる「電子制御式リミテッドスリップディファレンシャル(eLSD)」と組み合わせられている。
先代モデルよりフラットな乗り心地となっているが、欧州SUVのようなスポーティなものではなく、やはり大陸的な大らかさを前面に押し出した乗り味。乗っていて大らかになるような懐の深い乗り味が特長だ。
車両重量2740kgという超ヘビー級のエスカレードと6.2LV8エンジンの相性は抜群で、静かにスムーズに加速していく。そしてステアリングを握ってもアドレナリンが出るようなシーンはほとんどない。グレード名はスポーツだが、特性はラグジュアリーモデルそのものだ。
国産車のなかでは押し出し感の強いモデルとして人気のトヨタアルファードだが、外観の迫力。最大トルク624Nmを発生するV8エンジンのトルクを生かした、ゆったりとしたラグジュアリーな乗り味。そして、ガラス部分だけが開くリアハッチやサードシートを使用しても722Lというラゲージ容量を確保した利便性。
どの部分を比較してもエスカレードの圧勝だ。欧州のラグジュアリーSUVとは全く異なる方向性を主張するキャデラック エスカレード。1500万円でこの圧倒的な存在感とラグジュアリーさが手に入ることが最大の魅力といえる。
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