現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【平成クルマ遺産(11)】平成の“不思議ちゃん”と呼ばれた日産パイクカーシリーズ

ここから本文です

【平成クルマ遺産(11)】平成の“不思議ちゃん”と呼ばれた日産パイクカーシリーズ

掲載 更新 15
【平成クルマ遺産(11)】平成の“不思議ちゃん”と呼ばれた日産パイクカーシリーズ

自動車メーカーが性能競争に明け暮れた昭和末期から平成初期。そんな風潮とはまったく異なるベクトルを指向する強烈な個性が誕生した。それが日産自動車が提案したパイクカーシリーズ(Be-1、PAO、S-Cargo、Figaro)だ。馬力競争全盛の時代に生まれた”不思議ちゃん”たちは、「感覚」でクルマを選ぶ時代の到来を予見させた。

クルマはデザインも大切。時代の気分を捉えた快作たち
従来の商品企画とはまるで異なるアプローチで企画・開発されたのが日産のパイクカーシリーズ。その第一弾となった「Be-1」は昭和62年(1987年)1月に限定1万台で発売された。すでに昭和60年(1985年)の東京モーターショーにコンセプトモデルを出品し手応えを得ていたものの、発売されるやいなや爆発的な人気となり、2カ月で予約完売。中古車市場では、新車価格の倍に迫るプライスボードが下げられて話題になった。

【くるま問答】トヨタ2000GTのサイドにある四角い部分には、いったい何が入っているのか?

ベースになったのは初代マーチ。性能的には、完全にひと世代前のクルマだったが、レトロテイストを積極的に採り入れた愛くるしい内外装は、のちに内外自動車メーカーのリバイバル・デザインブームに影響を与えたと言われている。同時に、性能だけではクルマは売れないという、今に通じる「気分」を先取りしたクルマでもあった。

一方、フロントまわりやフェンダーには、世界で初めて樹脂製フレックスパネルが用いられるなど、先進的なテクノロジーがさり気なく採り入れられていた。

シリーズ最大の生産台数を誇る「PAO」
そんなBe-1が予定台数の生産を終えたのは昭和63年(1988年)5月のこと。そしてその後を追うように平成元年(1989年)1月に発売されたのが「PAOパオ)」と商用車の「S-Cargo(エスカルゴ)」、そして平成3年(1991年)に発売された「Figaro(フィガロ)」だ。すべて限定生産で、パオは受注期間3カ月、商用車のエスカルゴは同2年間。フィガロは抽選による限定2万台とされていた。

パオは、Be-1と同じく初代マーチがベース。フロントセクションを中心に樹脂製フレックスパネルを使用して独自のレトロ・テイストを生み出しているのが最大の特徴だ。

内外装のデザインはさらに凝ったものが採用され、その徹底ぶりは専用デザインのカーオーディオ(ヘッドユニット)にも及ぶ。クラシックMINIと並んでも引けをとらない独特の佇まいは、従来の価値観にとらわれない新しいクルマ選びの価値観を芽生えさせたのだ。またボディの耐腐食性にも力が入れられており、防錆塗装や外観のフッ素樹脂塗装など、現代に通じるさまざまな技術が採用されており、現代でも時折見かけるのは、そんな高い耐久性のおかげなのかも知れない。

ちなみにパイクカーシリーズでは、このパオが一番生産台数が多い。これは生産台数を決めず、受注期間中に受け付けたクルマはすべて生産する方式を採用したため。最終的には5万1657台が生産されている(エスカルゴは1万台強、フィガロは2万台)。

<パオ主要諸元>
・全長×全幅×全高:3740×1570×147mm
・ホイールベース:2300mm
・搭載エンジン:MS10S型直4SOHC 987cc
・エンジン出力:52ps/6000rpm 7.6kgm/3600rpm
・変速機:5速MT(3AT)
・新車当時価格:122.1万円

[ アルバム : PAOの不思議な世界 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
AUTOCAR JAPAN
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
AUTOSPORT web

みんなのコメント

15件
  • 日産は魅力的な車が多かったのに、今はどうしてしまったんだろう。
  • そんな車達を今後又作る気は無いのか?
    PAOは今新設定としてE-POWERを搭載して復活したらいいと思うけどなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.5154.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

65.0284.0万円

中古車を検索
パオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.5154.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

65.0284.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村