画期的な実用性に加え、ラリーやレースへの挑戦で輝かしい勝利を挙げ、絶大なる認知と名声を獲得したMINI。そのチャレンジスピリットは、現行モデルにも脈々と受け継がれているが、今回はトップモデルのMINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバーでその真価を試した。(Motor Magazine 2018年12月号より)
モータースポーツで成功を収めた伝統を現代に受け継ぐ
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いまからおよそ半世紀前、ライバルよりもはるかに小さなボディを利して、モンテカルロラリーを3度制したイギリス車があった。
その名は“ミニ クーパーS”。F1で大成功を収めたクーパーカーカンパニーのジョン・クーパーは、友人でオリジナルミニを設計したアレック・イシゴニスとともにハイパフォーマンス仕様のミニ クーパーを開発。これでレースに挑んだところ、たちどころにして勝利を収めたため、さらに高性能なミニ クーパーSを生み出して1962年のモンテカルロラリーにチャレンジ。初年度から圧倒的な速さを示したクーパーSは1964~67年に3勝、モータースポーツ界に不滅の金字塔を打ち立てた。
この伝統を現代に受け継ぐモデルのひとつが、ここで紹介する“MINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバー”である。ジョン・クーパー・ワークスとは、クーパー直系のモデルであることを意味する。そしてMIINIよりずっと大きなスポーツモデルさえ凌駕するパフォーマンスを手に入れたその手法も、往時そのままといって差し支えない。
道を選ばないオールラウンダー
全長約4.3mのコンパクトなボディにターボで武装した2L 直4エンジンを搭載。その最高出力は231ps、最大トルクは350Nmにも及ぶ。標準モデルよりも大幅に引き締められたサスペンションにより機敏なハンドリングを実現した点も、オリジナルのミニ クーパーSと共通。フロントブレーキは、ブレンボ社製4ピストン式キャリパー装着へと格上げされている。
かつては、ハイパフォーマンスカーに相応しい4WDシステムが存在せず、滑りやすい路面でも確実に駆動力を伝える前輪駆動が次善の策だった。もっとも未舗装路だろうが雪路だろうが、安定したトラクションを生み出す4WDの威力を知れば、1960年代に活躍したラリードライバーたちもこちらを欲しがったことは間違いない。
今回はモンテカルロラリーにおける活躍に敬意を表してオフロードコースでの試乗にもチャレンジしたが、4輪から砂塵を巻き上げながら走るその姿からも、MINI ジョン・クーパー・ワークスクロスオーバーが道を選ばないオールラウンダーであることは明らかだった。しかも、この滑りやすい路面でも正確なハンドリングと優れた安定性を維持したのだから大したものである。
ダイナミックな運動性能は、オフロードだけでなくオンロードでも満喫できる。レスポンスのいいハンドリングを操ってワインディングロードを走り抜けるのは実に痛快。さらに走り込んでいけば、ごく軽いアンダーステアを示してドライバーに注意を促すが、仮にそこまでペースを上げても不安定な挙動を示すことはないはずだ。
それどころか、腕利きのドライバーであればコーナリング初期の適切なタイミングで軽いブレーキングを行うことにより、4輪をきれいにコントロールしながらコーナーを駆け抜けるドライビングも楽しめるだろう。
知的なスペースユーティリティ、可変ダンパーの装着も効果的
そんなスポーツカー顔負けのハンドリングだけがMINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバーの魅力ではない。MINIドライビング・モードをSPORTからMDに切り替えると、アダプティブ・サスペンション(オプション)はコンフォート優先の設定となり、それまでのダイナミックなシャシ性能が信じられないほど、快適で大人びた乗り心地をもたらしてくれる。
最高出力231ps仕様のターボエンジンは、スポーツモードではアクセルペダルを踏むたびに弾けるようなパワーを生み出すほか、迫力あるエンジンサウンドをあたりに響かせてスポーツマインドを掻き立ててくれる。その一方で、MDモードを選べばエンジンレスポンスが穏やかになるだけでなくエキゾーストノイズまでぐっと抑え込まれ、深夜や早朝の住宅地を走る際にも不自由しない。
適度にタイトなコクピットはクルマとの一体感をひときわ強調してくれるうえ、ステアリングホイール、各種レバーやスイッチ類が手の届きやすい位置にレイアウトされていて操作性は上々。そうした優れた機能性とは別に、MINIの伝統でインテリアのちょっとしたデザインにもこだわりが感じられるのは嬉しいところ。たとえばダッシュボード上の大型ディスプレイを囲むようにレイアウトされたアンビエントライトは、まるで生き物のようにその色を変化させてドライバーとのコミュニケ
ーションを深めてくれる。現行世代では、内外装のクオリティが一段と向上したことも特筆したい。
ボディサイズが小さくとも、室内スペースをあきらめなくてもいいことはMINIが備えるもっとも重要な遺伝子のひとつ。前後乗員の着座姿勢をアップライト気味にすることで、短い全長の中にたっぷりとした室内空間を確保しただけでなく、ラゲッジルームもサイズに似合わず広々。さらに後席のバックレストを、このクラスでは珍しい3分割可倒式とすることで、キャビンとラゲッジルームの比率を柔軟に活用できるよう工夫している。MINIらしい知的なスペースユーティリティだ。
驚異的なスペース効率で余裕あるキャビンを作り出し、伝統的な自動車の価値を覆し、モータースポーツの世界ではコンパクトボディで本格的なスポーツカーを打ち破ったオリジナル ミニ。その歴史は、既成概念へのチャレンジそのものだといって間違いない。
そうしたMINIだから、従来の習慣に囚われることなく、アクティブに毎日を暮らす人々にも、ぴったりとマッチするだろう。とりわけ、ダイナミックな走行性能とALL4を備えたMINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバーならば、行動範囲は驚くほど広がるはずだ。(文:大谷達也)
MINI ジョン・クーパー・ワークス クロスオーバー 主要諸元
●全長×全幅×全高=4315×1820×1595mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1630kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1998cc
●最高出力=231ps/5000rpm
●最大トルク=350Nm/1450-4600rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=579万円
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