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WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰

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WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰

 電動化以降の2年間も、最高峰のRX1eクラスでWorldRX世界ラリークロス選手権連覇を達成し、前人未到6回のシリーズチャンピオン獲得記録を持つヨハン・クリストファーソンは、2024年のWorldRX開幕を前に「新たな挑戦」として、持続可能な燃料で駆動する内燃機関(ICE)搭載の『フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX』にスイッチする。

 今季より“Battle of Technologies(バトル・オブ・テクノロジーズ)”と銘打ち、新たにサステナブルフューエル採用のICE搭載車と、バッテリーEV(BEV)のRX1eモデルが混走することを認めたWorldRXだが、その新年度に向けここまで電動モデルでシリーズ連覇を達成してきたクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)が新たな方針を発表。スウェーデンを拠点とするオーロベイ社を通じて、ハイブリッド技術や燃焼パワートレイン・コンポーネントの世界的企業グループであるホース・パワートレイン・リミテッド社との新しい先駆的パートナーシップを結んだ。

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 この提携を受け、新たにKMS・ホース・パワートレインと改称したチームは、クリストファーソンとオーレ・クリスチャン・ベイビーのために新型の内燃機関搭載モデル2台を製造。かつてのタイトルパートナーであるフォルクスワーゲンとレッドブル、そして北欧小売チェーン大手バウハウスのサポートを維持するとした。

「新しく製造したマシンで電気自動車と競争するのは困難だろうが、新たに提携したオーロベイは、スポンサーとしてだけでなく技術面でも、僕らにとって夢のパートナーだ」と語った“6冠王者”のクリストファーソン。

「長期的な枠組みで作業に取り組み、それに応じて計画できることは本当に楽しいだろう。これは典型的なKMSスピリットが詰まったエキサイティングなプロジェクトなんだ」

 スウェーデンのヴェルムランド地方アルヴィカに位置するKMSのワークショップにて、冬の間に自社開発された持続可能燃料を採用するホットハッチについて、組織を率いるトミー・クリストファーソン代表も「歴代最強のビースト」と、その競争力に高い評価を与えてきた。

 事実、ここまでで唯一の対外的実戦参加となったRallyXノルディックの開幕戦では、クリストファーソンとベイビーが2日間で圧倒的なワン・ツー・フィニッシュを達成している。しかし当のドライバーたちは、最高レベルでその偉業を繰り返す可能性を低く見積もっている。

「僕らは方向転換し、異なる方向に進んでいる。そのため競合他社とどのように比較されるかを予測するのは困難だ」と、絶対的エースの見方に同調するKMS所属3年目を迎えたベイビー。

「新しいクルマでテストしなければならない複雑な要素がたくさんあるが、このように大規模で協力的なパートナーと働くのは非常にエキサイティングだよ」

■電動車vs内燃機関車が実現するWorldRXは「素晴らしいプラットフォーム」

 そのKMSを2年連続のワールドチャンピオンチームに育て上げたトミー代表も、同様に新しい協力関係に強気の姿勢を見せており、100年を超える継続的なイノベーションを誇り、世界クラスの次世代パワートレイン・ソリューションを開発、設計、製造する巨大企業グループとの連携が「チームを次のレベルに押し上げるのに役立つ」と考えている。

「彼らオーロベイは我々が考えられる最高のパートナーであり、これはWin-Winの状況だ。両社には非常に優秀なエンジニアが多数在籍しており、経験や人材を交換できることで、お互いに多大な利益を得るだろう」と続けるトミー代表。

「我々が研鑽を受けたフォルクスワーゲン・グループでは『すべてのモータースポーツは最終的に消費者に利益をもたらすべき』というモットーがあった。競争ほど効果的に開発を推進するものはなく、このプロジェクトで我々は未来のエンジンの開発に参加することができる」

「彼ら両社に存在する極度の願望と情熱を見るのはとても刺激的で、ともにソリューション指向の作業環境を有する。我々の野望は、少なくとも5年間の長期的なコラボレーションであり、これにより長期的な展望を持ってクルマを開発する安心感が得られる。また、パートナーがさまざまな自動車ブランドのエンジン製造業者として明らかな選択肢となることに貢献したいと考えているんだ」

 そのオーロベイ・スウェーデンABの最高経営責任者を務めるミハエル・フライスCEOも、この協業に向け高い期待を寄せる。

「レースとパフォーマンスに関する当社のビジョンは、市販の2リッターエンジンをはるかに高い出力レベルに調整し、モータースポーツでも素晴らしい結果を達成できることを世界に示すことにある」とフライス氏。

 同じくホース・パワートレイン・リミテッドのCEOであるマティアス・ジャンニーニも「FIA世界ラリークロス選手権は、ホース・パワートレインにとって代替燃料で駆動した場合のICEの性能を示す、素晴らしいプラットフォームだ」と意気込む。「当社は、あらゆる機会にパワフルで軽量なモジュール式ソリューションを提供できる。それを世界に示す最良の機会だよ」

 こうして盤石の体制を整えたKMSのトミー代表も、新年度に向け期待を膨らませつつ、競技の側面では慎重な姿勢も見せる。

「スポーツ面では、このバトル・オブ・テクノロジーズはラリークロスに特有の素晴らしいコンセプトだ。非常に大きな挑戦だが、興味深いものでもある。真新しいクルマ、真新しいパートナー、そして電気自動車に匹敵する非常に短い期間で開発されたサステナブルフューエル採用のICEがある」とトミー代表。

「ここ数年、WorldRXで連覇を達成しているが、謙虚にならなければならない。ふたたびタイトルを争うには多くのことが必要だと認識しているからね」

「しかし、開発パートナーを探している面々にとってつねに魅力的なチームになることを目指してきた。今、そこにたどり着いたことに信じられないほど満足しているよ」

 その2024年WorldRXの新シーズンは、7月6~7日にKMS・ホース・パワートレインの地元スウェーデンが誇る伝説の地、ホーリエスで開催される恒例の『マジック・ウイークエンド』で幕を開ける。

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