台湾の高速道路にはバーも料金所もありません!
「あー、羨ましい!」 。ある日、いつものように、好きなYouTuberさんの動画を観ていて、そう叫んでしまいました。
動画の投稿者はおそらく30代前半のクルマ好きで、普段は「分割日本1周」など、国内の主に一般道を愛車のフェアレディZ(Z33型)で走る様子をアップしています。
その方がパンデミックも落ち着いたので初めて海外ドライブの動画を上げていました。台湾全土を回る中で、彼のレンタカーが高速道路を通過する際に、冒頭の「羨ましい」という言葉が私の口から出てきたのです。なぜかというと、台湾の高速道路の出入り口にはゲートも料金所も、あの、「とうせんぼ」をするバーも無いのです。
【Front Screen/安東弘樹】新種のクルマ好き? テスラ・オーナーのYouTubeにはまっています
日本ではクルマにETC車載器を取り付け、そこに専用のクレジットカードを差し込み、それを読み取るゲートが料金所に有って、通過する際にはスピードを時速20km/hまで落とすのがルールです。しかし動画を観ると、台湾では何もないように見えるのです。
これは、優れたETCシステムのおかげ。台湾のシステムは、2015年に国際有料道路協会の最高賞を受賞、2016年にも国際道路連盟の世界道路成果賞におけるスマート交通管理部門で、最優秀賞に輝きました。
あまりに羨ましかったので、動画を途中で停止させ、インターネットを駆使して、このシステムを詳しく調べてしまいました。
台湾のETCはe-TAGというシールを貼るだけ
台湾のETCは日本と違い、フロントガラスにe-TAGと呼ばれるシールを貼るだけで車載器は必要ありません。このe-TAGにはICやアンテナが内蔵されており、料金所(というよりセンサー)などからの電波をエネルギー源として動作するパッシブタグになっています。電源すら必要ないのです。しかも、このタグは低コストで作れるため、ユーザーに無料で提供されます(少なくとも調べられた2021年まではそうでした)。このような理由から普及も早かったということです。
料金は、道路上にセンサーが適宜設置されているため、e-TAGが付いているクルマがどこから入って、どこで高速道路を降りたかが瞬時に把握され算定されるようになっています。ですので、高速道路には料金所は有りませんし、ドライバーは減速する必要もありません。当然料金を徴取するスタッフも居ません。ユーザーは制限速度に気をつけて自由に走行すればいいのです。
もしe-TAGを付けていないクルマが通過しても問題はありません。e-TAG未装着車の料金徴収はどうするのかというと、クルマのナンバーを読み取り、後日、クルマの所有者や使用者に請求する仕組みになっています。手数料として1割増しの料金を請求するようですが、e-TAG自体が無償のため、未装着のクルマは、ごくわずかだそうです。
このYouTuberさんは、レンタカー利用です。たぶん、借りるときにクレジットカードを登録したか、コンビニなどで後払いもできますので、それを利用して決済したと思われます。レンタカーなどでも簡単に利用できるのも、このe-TAGの優れた点です。
動画内でも、YouTuberさんが「すげー、これは便利だ」といっていましたが、私も同感。素直な感想として、「羨ましい」という言葉が出たのです。
ETC車載器を購入する必要がなく、通過する際に減速する必要もない台湾のETCシステムは理想的だと思いますが、皆さんは、どう思われますか?
できれば日本も台湾と同様のETCシステムを導入してほしいと考えます。もちろん、いまから日本のシステムを変えるにはハードルは高いでしょう。しかし日本の高速道路は、半永久的に有料であることが決まっています。今後のゲート維持費や新設する際のコストを考えたら、ユーザーの利便性も含めて、台湾システムへのETC全面変更を決断してもメリットがあると考えます。
先日、もともと持っていたマイナンバーカードに保険証と銀行口座を紐付ける手続きのために役所に行って、諦めに近い感情になりました。色々と後付けのデジタル化を必死に進めている役所の努力が垣間見えたものの、さまざまな手続きを、手作業でやっている様子を見て、日本で何か制度やシステムを替えるということは、あまりにハードルが高いと実感しました。
いくらメリットがあっても日本のETCが台湾式になるのは難しいかもしれませんね。
【プロフィール】
あんどうひろき/フリーアナウンサー。1967年、神奈川県生まれ、元TBSアナウンサー、現在は独立し、TBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s ~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、MBS「朝日奈央のキラめきスポーツ~キラスポ~」、テレビ東京「ミライの歩き方」、bayfm78「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。趣味・特技はモータースポーツ、クルマ全般、弓道、スキー。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員
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みんなのコメント
この方はCOTYでアイオニックに満点入れたと評判の人ですね
るーつもネット上では色々書かれているようで
台湾の方式は誰が運転していようと車の所有者に請求されますが、日本ではどんな車を運転していようが運転者へ請求されます。