欧州CO2規制でディーゼルが苦戦
欧州メーカーでは最近、プラグインハイブリッド車や小排気量ガソリンターボエンジン車が増えてきた。その背景には、厳しい欧州CO2(二酸化炭素)規制がある。2021年には95g/kmとなり、その後も段階的に自動車メーカーにとって厳しさが増す規制内容となっていく見込みだ。
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そうなると、国によっては販売車の半数以上がディーゼル車だった欧州市場で、CO2規制への対応で自動車メーカーにとってコスト高になりやすいディーゼル車が徐々に減っていく傾向が出てきている。となれば、ここで日本のハイブリッド車への注目が集まるのではないか? だが、現実はそう簡単な話ではない。
技術的にはトヨタリードで、ジャーマン3が新たなる戦略
ハイブリッド車技術を本格的に量産したのは、周知のとおり、トヨタである。欧州でも、プリウスを筆頭に、オーリスなどでハイブリッド化が進み、「欧州でハイブリッド車といえばトヨタ」というブランドイメージが根付き始めている。その他の日系メーカーの欧州市場でのハイブリッドについては、正直なところトヨタほどのインパクトはない。
一方、欧州市場の中核を占めるジャーマン3(ダイムラー、BMW、VWグループ)のハイブリッド車戦略はどうなっているのか? 2000年代に、ダイムラー・BMW・クライスラー(当時)が連携して、2モーターハイブリッドシステムを共同開発したことがある。当時、筆者も欧州や北米で、このシステムを搭載したさまざまな車種に試乗した。だが、結果的に3社の技術開発と営業の方針がかみ合わず、この話は空中分解してしまったという経緯がある。
その後、ジャーマン3はそれぞれ、EV、プラグインハイブリッド車、そして燃料電池車の独自開発を進めた。それが、2010年代に入ると、コスト削減からリチウムイオン二次電池の共同開発などで手を組むようになった。そして2016年以降は、VWグループが主導するEVシフトにダイムラーとBMWが同調するかたちで、EVを中心に、パワートレインのシステムの構造がEVに近いプラグインハイブリッド車の量産化を強化している。
技術で勝るトヨタとブランド力で優位に立つ独3メーカーの勝負
こうしたジャーマン3の動きと、トヨタのハイブリッド車戦略は相容れない。換言すれば、ジャーマン3としては、ハイブリッド車の基礎技術や特許をトヨタやトヨタ関連企業が握っている現状では、あえてハイブリッド車での競争を避けて、プラグインハイブリッド車とEVに開発の軸足を持って行こうとするのは、当然のことだ。そうなると、欧州での自動車ブランドの格付けがモノを言う。ヒエラルキー(序列)として、ジャーマン3が優位な立場にある。ハイブリッド技術で真っ向勝負のトヨタ。今後の欧州戦略、お手並み拝見といったところだ。
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