■スバル新型「フォレスター」なぜ大胆な変貌で「タフ路線」にシフト?
フルモデルチェンジでデザインが全面的に刷新されたスバル新型「フォレスター」。
そのデザインを従来モデルの正常進化ではなく、新しい方向へシフトしたと感じた人も多いことでしょう。
そこでデザインを担当した高木曽太さんに10の質問をぶつけてみました。
【画像】超カッコいい! これが新型「フォレスター」です!(94枚)
■【質問その1】デザインの見どころは?
――新型フォレスターのデザインの見どころはどこでしょうか。
「SUVらしさとかギヤ感ですね。一般的にギヤ感というとゴツゴツしたイメージかと思いますが、新しいフォレスターではシンプルかつクリーンなデザインテイストとしつつ、冒険に出かけたくなるような頼れる感じを表現したのがポイントです。
頑丈で安心感を与える雰囲気や堂々とした佇まいとしています」
■【質問その2】先代とはどう違う?
――デザインの方向性はこれまでと異なるのでしょうか。
「4代目とか5代目(のフォレスター)が特にそうだったのですが、スポーティで軽快に見えるようなデザインを狙っていました。そのため側面には後方へ向かって上がっていく勢いのあるキャラクターラインを入れていたのです。
いっぽうで新型はSUVっぽい、どっしりとしたデザイン。サイドウインドウ下のキャラクターラインは水平基調で、骨格感や安定感を与えています」
――スポーティから堂々とした佇まいへ。フォレスターのエクステリアは、方向性を大きく変えたといって良さそうです。
■【質問その3】サイズ拡大分は何に使った?
――新型は、従来型に対して全長と全幅がそれぞれ15mmずつ拡大しています。それはどこに振り分けたのでしょうか。
「まず全長ですが、従来スバルの車はヘッドランプがボディからボコッと飛び出ているようなデザインが多かったような印象がありませんか。
ライトの後ろにバッテリーがあるから、全長を短くしようとするとそういうデザインになってしまうのです。
しかし新型は、わずか15mmですがグリルの位置が前に出ることで、そういった印象を払拭するデザインができました」
――つまり(ホイールベースやリヤオーバーハングは従来と変わらず)、フロントオーバーハングが15mm伸びているということでしょうか。
「そうです。それでフロントのスッとしたシルエットを実現しました」
――左右幅の拡大はどうでしょうか。
「フェンダーの張り出しですね。片側7.5mmだから数値にすると多くはありませんが、フェンダーを広げることで張り出し部分の角度がグッと起きて、光の受け方が強くなるので視覚的に感じられるフェンダーの厚みがまったく違うのです。
ボディの芯からグッとフェンダーが膨らんでいるように見えると思います」
■【質問その4】新しい顔つきがもたらすものは?
――新型の顔つきは従来モデルと全く違うように思えます。グリルが大きくなりましたよね。そのあたりの考え方を教えてください。
「これまではヘッドランプとグリルの六角形がしっかりと分かる“ヘキサゴン(6角形)モチーフ”をテーマとしていました。グリルとヘッドランプの間にボディ色を入れていたのです。
しかし新型では、より堂々とワイドな感じを見せるために、グリルを大型化してヘッドランプにグリルをつなげました。
グリルの角度も先代はスポーティに見せるために寝かせていましたが、今回がグッと起こして顔つきに厚みを持たせ、堂々とした雰囲気を作っています。
ちなみに先代は水平対向エンジンの低さの表現として、ボンネットフードの中央はフェンダーの頂点よりも低くなっていました。
でも、それをするとグリルの上部が低くなってしまう。
そこで今回はボンネットの真ん中を低くせず、その分グリルの最上部を高い位置にしてボリュームをもたせて、力強さや堂々とした存在感を強調しました」
■【質問その5】バンパー下やドア下にヘキサゴンがある意味は?
――いっぽうで、フロントバンパーの下の樹脂やサイドのドアの下のところにヘキサゴンが組み込まれていますよね。そこにはどんな意味があるのでしょうか。
「ヘキサゴンは構造的に強い形状であることから、強さの象徴としてスバルはよく使っています。車体下に添えたのは厚みのあるしっかりとしたボディをより強く見せたいという想いからです。
また従来はフェンダー(周囲の樹脂)が丸かったのですが、今回はそこも多角形としています。勢いのあるキャラクター入った先代と違ってボディがどっしりとした雰囲気になったぶん、多角形のリズムを作ってフォレスターらしい軽快感を感じてもらおうという狙いからです」
■【質問その6】フェンダー上部に入れた凹みの意味は?
――フェンダーは前後とも張り出しの上に凹ませたラインが入っていますよね。それはどんな理由があるのでしょうか。
「従来は光を受けた明るい面が主役で、ふくらみのエッジがキリッと出ていました。
いっぽうで新型は、凹ませたラインによって生まれる影の面を強調して、フェンダーの厚みを表現しています」
――たしかに陰影がしっかり出て、立体感が強調されます。
「削り取ったというよりは、フェンダーが車体から張り出してきたという印象を持っていただけたら狙い通りです」
■【質問その7】クラッディングは空力デバイスになっている?
――「WRX」などではフェンダーに備わるクラッディング自体が空力を向上するパーツになっていますよね。表面の凹凸(空力シボ)で空気を剥離する効果があると聞いています。フォレスターにもそういった機能があるのですか。
「フロントフェンダーの穴からホイールハウス内の空気を抜いて、より接地性を高めるという機能はあります。
ただ、WRX のような空気を剥離する空力手法は今回は採用していません。
とはいえそういった空力のデバイスが全く無いかといえばそうではなく、たとえばフロントバンパーの下側アンダーカバーは空力シボが入り、空力に寄与しています」
■【質問その8】Dピラーにあるガーニッシュはなぜ?
――Dピラーを見ると、従来モデルには無かったガーニッシュがありますよね。どういう効果があるのでしょうか。
「従来はDピラーの近くまでグイッとキャラクターラインが入っていたのですが、新型はありません。そのガーニッシュを境とし、それより下のボディはワイドに踏ん張る感じ、それより上(キャビン付近)は軽快な印象を与えています。
あと、今回は久々にツートーンカラーを設定しておりますので、ツートーンカラーを塗った際に塗装色が変わる境目をスマートにするという意味もありますね。ツートーンカラーが美しく見えるアクセントポイントといったところでしょうか」
■【質問その9】リヤバンパーが大きく後方へ出っ張っているように見える理由は?
――リヤバンパーの形状が従来と違いますね。
「先代は後ろから見るとグッと左右を上げて門型で処理をしていたんですね。リヤゲートパネルを挟むように。それは後方から見たときにワイドに見えるメリットがあるのですが、洗車後に水が溜まってしまうという面もありました。
新型は大胆に形を変えています。実はSUVのなかにはバンパーの後方への出っ張りがフォレスター半分くらいしか無いクルマもあるんですよ。ミニバンや軽自動車などはリヤゲートとほぼフラットなクルマもあるくらい。パッケージングの利点に加え、ボディに塊感があるぶんバンパーがボコッとでると古いクルマのように見えてしまうというのもあります。
でも、そうする(張り出しを減らす)と、うっかりぶつけちゃった時にリヤゲートまでダメージが及んでしまいやすい。
フォレスターはスバルが考えるデザインと実用性のバランスが大切だから、段差をしっかり残しながらもスッキリと見えるようにデザインを処理しています。(接触してもリヤゲートにできるだけダメージが及ばないようにする)バンパーの機能はしっかり持っている。お客様にやさしくありたいというか、機能性は大事だと考えています」
■【質問その10】インテリアのポイントは?
――インテリアのポイントも教えてください。
「インテリアで注目していただきたいポイントはですね……まず外観同様に従来型と比べるとガラッとイメージを変えたということ。
従来型はエクステリアと同様にスポーティなデザインとしているので、キャラクター線が多く入っていました。助手席前などはけっこう傾斜もあって、広さを感じられ開放的でしたね。
いっぽう新型は厚みがあり、クルマが乗員をしっかり守ってくれるという安心感を得られるデザインとしています。
パッドも厚みがあるし、フロントのドアトリムも水平基調とし、よりシンプルでありつつ価格に見合った重厚感とか品格があると感じていただけると思います」
※ ※ ※
ちなみに新型フロントシートは左右対称で内側(運転席なら左側)のショルダーを外側よりも大きくカットした“なで肩”となっていますが、それは後席から解放感を高めるだけでなく、運転席や助手席の人が振り向きやすいようにして前後席のコミュニケーションを取りやすさを狙っているからなのだとか。
新型フォレスターはスタイリングにおいて大胆な変貌を遂げたほか、インテリアではファミリー層への配慮が多くされているのも印象に残りました。
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みんなのコメント
SUVが多い現在
アウトドアのフィールドに似合う
落ち着いたデザインになったのは
良かった
無骨なSUVらしさが減ってチャラチャラした印象になる。
あそこはもっと直線貴重にすへきだった。