日本でも根強いファンを持つ英国車MINI。オリジナルとなるクラシックミニは、2000年に生産を終了しているが、未だに根強いファンを持つ一台だ。
今や生産されたすべてが旧車の領域といえるが、そのミニを新車で手に入れる手段があるという。それが英国で誕生した「ミニ リマスタード」。その実車が、ついに日本上陸を果たした。
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このクラシックミニが一体どのように生まれ、どんな仕様を手にすることができるのか。その価格まで含めてお届けしよう。
文:大音安弘/写真:大音安弘、デビッドブラウンオートモーティブ
【画像ギャラリー】現代的な装備を纏って蘇るクラシックミニ!! 英国の伝統的名車を写真で見る!!
■完全にリフレッシュされたミニ
英国人ビジネスマン、デビット・ブラウン氏率いる「デビッドブラウンオートモーティブ社」によって手掛けられる「デビッドブラウン ミニ リマスタード」
2020年7月31日(金)~8月2日(日)、幕張メッセで開催された自動車イベント「オートモビルカウンシル」に、新車同様の美しさと個性的な仕様を備えた一台のクラシックミニが展示された。その名を「デビッドブラウン ミニ リマスタード」と呼ぶ。
このミニを手掛けたのはデビッドブラウンオートモーティブ社で、自動車愛好家の顔を持つ英国人ビジネスマン、デビット・ブラウン氏によって2013年3月に創設された自動車会社である。
デビッドブラウンオートモーティブ社最初の市販車はアストンマーティンDB5をモチーフとした「スピードバック」。ジャガーXKRのシャシーやエンジンなどを流用した独自のスポーツカーだ
最初の市販車は、オリジナルモデル「スピードバック」でアストンマーティンDB5をモチーフとしたクラシカルなデザインに、ジャガーXKRのシャシーやエンジンなどを流用することで、独自のスポーツカーを送り出している。その第2弾といえるのが、このミニなのだ。
「ミニ リマスタード」は、同社の完全オリジナルではなく、ベースとなるクラシックミニを完全に分解したフルレストア車となるが、組みなおす段階で、最新技術と購入者の要望を取り入れたカスタムを行うことで、新車といっても過言ではない品質と現代的な機能を備えたオーナーだけのミニを生産している。
つまりカスタムカーの色合いが強いのが特徴だ。
■ミニ リマスタードは“単なるクラシックカー”ではない
ベースとなるミニは同社が厳選した中古車を使い、製造工程は英国工場の職人による手作業で行う。最新技術と購入者の要望を取り入れたカスタムを行っている
ベースとなるミニは、基本的に同社が厳選した中古車を使う。全ての製造工程を英国工場で、職人による手作業で行う。単に分解して仕上げるのではなく、一新すべきところは一新している。
その一例が、ボディシェル(上屋)だ。専門メーカーに新造させたものを使い、ボディを作り直すことで、剛性と遮音性を大幅に向上させているという。同時に、内外装のリフレッシュと共にオーダー合わせてカスタムしていく。
当然、エンジンも完全に分解し、リフレッシュされるが、この際にチューニングを実施。30%の出力向上を図っている。
エンジンも完全分解とチューニングを実施し、エンジンブロックにはサウンドブラスト処理後パウダーコートペイントや防錆処理などを施し、仕上げの向上とエンジン本体の保護を行う
さらにエンジンブロックには、サウンドブラスト処理後、パウダーコートペイントを施すことで、見た目の仕上げの美しさに加え、錆を防ぐなどのエンジン本体の保護も行う。
結果、1275ccの4気筒OHVエンジンの性能は、最高出力71hp/4700rpm、最大トルク118Nm/3100rpmまで向上される。
現代では、平凡なスペックと受け止められるが、クラシカルなエンジンかつ車体の乾燥重量が740kgに過ぎないことを鑑みれば、かなり軽快な走りが期待できる。その性能は、最高速度145km/h、0-100km/h加速11.7秒とアナウンスされている。
■悩ましい豊富な仕様とオプション
モトリタ製ウッドステアリングはパワーステアリング化、他にもパワーウインドウ、エンジンスイッチ、エアコン、リモコンドアロックなど快適機能を装備
簡単に基本仕様を紹介すると、パワーステアリング、4速MT、12インチアロイホイール、リモコンドアロック、モトリタ製ウッドステアリング。
さらにApple CarPlay&Android Auto対応7インチのディスプレイオーディオ、パワーウィンドウ、エンジンスイッチ、エアコン、6スピーカーなど、基本的な快適装備もしっかりと抑えてある。
Apple CarPlay&Android Auto対応7インチのディスプレイオーディオ、6スピーカーなど、現代的な最新装備もしっかりと押さえている
完全受注生産となるため、仕様は、全てはオーナーの望むまま。ボディカラーは14色が用意され、白、黒、ボディ同色の3つルーフカラーを組み合わせる。
足元の12インチのアルミホイールは、6種類から選択可能。インテリアでは、基本となる革張りシートを6色から選ぶことになる。この基本構成を決めるだけでも、相当の時間が必要となりそうだが、さらに豊富なオプションが購入者を悩ませる。
目ぼしいオプションを挙げてみると、トランスミッションは、5速MTと4速ATへの変更が可能。すでに性能向上を図ったエンジンにも、ボアアップで1330ccに変更した83hp仕様を用意する。
このほかに、LEDヘッドライト、ツインエキゾーストパイプ、ブレーキキャリパーの塗装、可動式後席ウィンドウ、フォグランプ等々。もちろん、内外装のアクセントパーツや専用用品類まで揃う、充実ぶりだ。
■注目の価格は? 高価だが価値ある1台
価格はオーナーの希望によって異なり、自身でオーダーした場合でも1600万円ほど。現代の快適機能を装備したフルレストアのクラシックミニが手に入ると考えれば、決して不当に高価なものではない
オートモビルカウンシルに展示されたのは、限定車「DAY TRIPPER(デイトリッパー)」。これは中止となった今年3月のスイス・ジュネーブモーターショーに展示予定だった特別仕様車が、日本に上陸したもの。
最大の特徴は、電動キャンバストップとマットホワイトとブルーを組み合わせたユニークな2トーンカラーだ。価格は1760万円で、現車のみの世界に一台のミニである。
日本の総代理店となるホワイトハウスによると、全てがフルオーダーとなるため、価格は1台ごとに異なり、自身でオーダーした場合でも、1600万円ほどは掛かるだろうとのこと。
金額だけを聞けば、高価なことに驚かされるが、現代車同様に毎日乗れる快適機能と実用的な性能を備えること。職人が約1400時間をかけて組み上げること。何より自分だけの新車同然のミニを手にできることなどを考えれば、その価格も決して不当なものではないことが分かる。
また、ベース車に自身のクラシックミニを英国に送り、リマスタードに仕上げてもらうこともできるという。実車確認は必要となるが、現時点で、公道走行が可能なものであれば、大丈夫そうだ。
日本での販売拠点は、ホワイトハウスが展開するディーラーのひとつ「オートプラネット名古屋」にて行われる。
最新情報によれば、現在設定される限定車のうち「モンテカルロ」が完売。現時点では、フルオーダーの標準車、限定25台の「カフェレーサーズ」、そして世界に1台のみの「デイトリッパー」の3タイプとなる。
もしオーダーした場合の納期は2~3年にもなる(!)というが、すでに商談も進んでいるとのことだ。
クラシックミニをこよなく愛する人にとって、かなり魅力的な選択となりそうなミニ リマスタード。フルレストア車とも異なる新たな旧車との付き合いとしても興味深い一台だ。
■ミニ リマスタード 日本公式サイト(リンク先)
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みんなのコメント
1600万出してまで買う車か?
所詮、大衆車。