手入れは簡単? EVのメンテナンス
最先端のテクノロジーを搭載したEV(電気自動車)は、内燃機関車に比べて維持やメンテナンスにコストがかかると思われることがある。しかし実際には、機械的な部品が少ないため、あまり手間がかからず、財布への影響も少ない。
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とはいえ、エンジン以外に手入れが必要な部分も多いので、メンテナンスフリーというわけではない。では、どんなことが必要なのだろうか? EVのメンテナンス方法について紹介したい。
メンテナンスが必要な箇所
すでに述べたように、電気モーター(複数搭載されることもある)はあまり注意を払う必要がない。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンには何千もの可動部品が使われているが、電気モーターは非常にシンプルで、ほとんどが20程度の部品からできている。
そのため、オイル交換やフィルターの交換、カムベルトやウォーターポンプの交換は必要ない。しかし、それでも故障の可能性を検出する診断機による簡単なチェックは必要だ。バッテリーも同様で、可動部品がないためメンテナンスの負担は軽い。バッテリーを構成するセルの性能をチェックし、異常があればデータとして表示される。
また、高電圧ケーブルの点検も行う。ボンネットなどを開けると見える鮮やかなオレンジ色が高電圧ケーブルで、損傷や接続の緩みがないかを確認する。ほとんどの場合、走行中に巻き上げるゴミなどから守られるよう設計されているため、基本的に問題は起こりにくい。
トランスミッションも、ほとんどのEVは基本的にメンテナンスフリーだ。EVに搭載されているのは減速機とディファレンシャルだけで(一部モデルを除く)、一般的な多段変速機よりもシンプルな構造となっている。減速機のギアには、潤滑のためにオイルが使われているが、ほとんどのメーカーは高度な合成油を使用することで、「定期的な交換は不要」としている。
また、EVには従来の自動車と同様に冷却システムが搭載され、モーターの回転数や外気温に関係なく、バッテリーを最適な温度に保っている。空気で冷やす空冷式と、液体で冷やす水冷式があるが、後者は液量を目視で確認し、必要なら補充する程度で済む。
その他の部分は、従来の内燃機関車とほぼ同じであり、注意すべき点も変わらない。EVの場合、電気モーターの抵抗で減速する回生ブレーキの使用により、従来の摩擦ブレーキはディスクやパッドの交換頻度を減らすことにつながるだろう。しかし、EVは車重が重いため、ブレーキへの負担は大きくなることは覚えておいたほうがいい。また、ブレーキフルードは通常2年に1回交換する必要がある。
サスペンションやステアリング、タイヤの状態も定期的に確認する。EVは質量が大きく、瞬時にトルクが発生するため、特にタイヤの摩耗率が高くなる。
最後に、冷暖房と換気システムの点検では、ほとんどの場合、従来と同様にエアフィルターを交換するだけで済む。エアコンシステムの冷媒もチェックし、必要に応じて補充される。
どこに持っていけばいいの?
EVは機械的にはシンプルだが、非常に高電圧の電気システムを使用しているため、この部分の修理が必要な場合は、専門家の対応が必要となる。現時点では、正規ディーラーでのメンテナンスが最良だろう。通常、各店舗には、自社の電動モデルを扱うために特別な訓練を受けた整備士がいる。単に機械部品に詳しいだけでなく、正しい安全装置の使用や適切な衣服の着用などを徹底している。
しかし、EVの本格的な販売が10年以上前に始まったこともあり、EVを修理できる工場は世界的にも増えている。その多くは、診断機器とリチウムイオンバッテリーの健康状態をチェックできるソフトウェアを導入している。
メンテナンスを受ける間隔
可動部品が少ないEVだが、内燃機関車と同様のメンテナンス間隔が設定されている。ブレーキ、サスペンション、タイヤなど安全に直接関係する項目はモニタリングが必要なため、専門的な整備を行う間隔を大きく空けるのは得策ではない。2年毎の車検と毎年の法定点検は当然だが、使用状況や走行距離によっては半年に1度は点検を受けたい。
なお、海外では1年毎の点検が法律で定められていなかったり、車検制度すらなかったりする国や地域もある(米国では州により異なる)が、こうした地域ではメーカーによってメンテナンスのスケジュールが決められることがある。例えば、欧州で販売されている日産リーフの場合、1年に1回または1万8000マイル(約2万9000km)のどちらか早い方でメンテナンスが必要となり、ポルシェ・タイカンの場合は2年2万マイル(約3万2000km)とされている。
いずれにせよ、各車両の取扱説明書やメンテナンスガイドを確認することをおすすめする。
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