A90はまもなく伝説のFRスポーツになるかもしれない!
TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は、11月26日、スープラの一部改良と、特別仕様車 「A90 Final Edition」を発表した。一部改良モデルは2025年春以降に日本、欧州、オーストラリアなど、グローバルで順次導入を予定。A90 Final Editionは、欧州と日本で販売。欧州は2025年春、日本での発売時期は現在検討中という。
【FRスポーツ対決】2台の3リッターターボ。フェアレディZとGRスープラを本気で乗り比べた!
スープラは1978年の誕生以来、直列6気筒エンジンを搭載したFRクーペとしてキャリアを積み、しだいにスポーツ性を鮮明化。モータースポーツシーンでも活躍してきた。2019年には17年間の長いブランクの後に復活。現行A90は、BMWとの連携で世界を代表するFRミドルスポーツのポジショニングを明確にした。そのストレート6ターボをはじめ、パワートレーンはBMW製。生産も欧州で行われる。BMW Z4と関係の深いモデルだが、スープラの開発はトヨタの理想を追求。現トヨタ会長でもあるモリゾウの強い想いが結晶した傑作という評価が定着している。
今回の一部改良は、A90スープラが更なる熟成を図ったことのメッセージ。だが、A90 Final Editionは、生産が終了することを示唆している。プレスリリースでは「現行スープラが世界中のスープラファンの皆様にご愛顧いただいていること、世界各国のGTカーレース、ドリフト競技、およびNASCARなど様々なモータースポーツの現場でも多くのチームにご愛用いただいていることに対する感謝をこめ、現行スープラの集大成として台数限定のスープラ『A90Final Edition』を設定しました。現行スープラの生産は終了を予定していますが、今後もモータースポーツ活動を通じてスープラを鍛え続けていきます」と記載している。
メーカーはスポーツカー作りを通じて、走りの最新技術と、クルマ文化の意味、そしてユーザーとのリレーションシップの大切さを学んでいる。だからこそ、スポーツカーは、「継続が大切」といわれる。それはスポーツカーが最新技術の結晶であり、ドライビングファンを提供するアイテムだからである。テクノロジーと感性の両面で、つねに磨き込みを行うことで魅力がキープでき、作り手(メーカー)とファン(ドライバー)の強い絆が構築できる。モデルが途切れると絆の継続は難しく、さらに世界のライバルとの性能ギャップも一気に広がる。
A90スープラの生産が終了することは、ひとりのファンとしても非常に残念である。だが、TGRはモータースポーツを通じて今後も鍛え続けると宣言している。単なる生産終了ではなく、スープラの魅力と価値を高める積極的なアプローチを期待したい。
一体感の向上を目指し各部を改良。Final Editionはまさに集大成
前置きが長くなったが、一部改良とA90 Final Editionについて具体的に説明しよう。
一部改良は3リッターモデルが対象、「さらなる一体感のある走り」を目指し、ドライブトレーン、ブレーキ、ボディなど広範囲に手を加えた。
目立つポイントは、アクティブデファレンシャルの制御見直しによるアンダーステアの抑制と、ブレンボ製フロントブレーキの大径化である。サスペンションも電子制御ダンパー特性が変更されスタビライザーが強化された。ブッシュやマウントの見直しでロードインフォメーションがドライバーに伝わりやすくしたのも見逃せない。ボディ自体もリア床下ブレースの構造強化で剛性を高めている。
外装ではダックテールタイプのカーボンリアスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、タイヤスパッツを拡大することで前後の空力バランスをリファインした。ホイールは精悍なマットカラーになる。
A90の集大成というFinal Editionは、まさにメーカーフルチューンバージョン。モータースポーツで活躍するGT4マシンから得たノウハウを積極的に投入することで世界トップのポテンシャルを誇るFRスポーツに仕上げた。
エンジンは吸気経路の見直しと、低背圧触媒を採用することで圧力損出を低減。合わせてエンジン制御の最適化で最高出力を285kW(387ps)から320kW(435ps)、最大トルクは500Nm から570Nmへとアップした。
スペック向上に伴い冷却性能は強化され、ラジエター冷却ファン変更とサブラジエーター追加を実施。デファレンシャルギアカバーの冷却フィンも大型化している。排気系にはアクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用。より迫力あるサウンドが楽しめるのも魅力だ。
ブレーキも専用仕様。フロントにブレンボ製19インチと高ミュー・ブレーキパッドを導入。前後にフローティング構造のドリルドディスクを組み込み、サーキット走行でも十分な制動力を確保した。ブレーキホースもステンレスメッシュとする念の入れようである。
ボディとサスペンションもファインチューンされた。サスペンションはGT4も採用しているKW製。伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を備え、前後ともスタビライザーを強化。ブッシュの見直しとフロント床下ブレースの追加で一段と正確なハンドリングと限界性能アップを実現した。タイヤは標準比で10mm拡幅したミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を装着する。
内外装もスペシャルである。エクステリアはTOYOTA GAZOO Racing Europeが空力性能開発を担当。これまでの実戦で得た知見と風洞も用いたテストで造形を仕上げた。具体的にはカーボン製のフロントスポイラー、フロントカナード、フロントセンターフラップ、そしてスワンネック形状のリアウイングを装着。通常領域からサーキットレンジまで、理想の接地性とハンドリング性能を生み出す。
インテリアもドライビングに集中できる環境に注力している。シートは鮮烈なレッドのレカロ製のカーボンフルバケット(RECARO Podium CF)。ステアリングホイール、センターコンソールニーパッド、インパネ中央部などはアルカンターラ表皮仕上げだ。
A90 Final Editionは、すべてが特別。その性能のすべてを引き出すには相応のテクニックが必要である。走るほどにドライバーが覚醒し、新たな発見を得る、まさにリアルスポーツに仕上がっている。スープラはたとえ生産が終了しても永遠のスポーツカーとしての名声を獲得するに違いない。
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みんなのコメント
ま、他人がどうあれ、洗車しながら自分の車が一番かっこいいと思えればいいのでは。
そもそも80スープラもかっこいいかと問われると意見分かれる。
70とか好きなのはおじさんメイン。