最近のクルマには、高級車はもちろん、軽自動車にさえ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)機能が付いている。かつての”ただの”クルーズコントロールとは違い、セットすれば、アクセル、ブレーキ操作なしに前車に追従走行(前車がいなければ設定速度で走行)。前車が減速すれば自動で減速し、常に一定の車間距離を保ってくれる先進運転支援機能である。よって、前車に近づきすぎないため、あおり運転と間違えられることもない。しかも、GWなどの混雑期の高速道路につきものの大渋滞時にもACCは絶大なる威力を発揮してくれるのである。
ACCと聞くと、高速道路をスイスイと走っているときに役立つ、自動運転の入り口にある先進運転支援機能と思われがちだが、実際にもう8年以上、ACCを愛用している筆者の経験からすれば、高速道路の渋滞時にこそ役立ち、渋滞による右足の疲労を最小限にしてくれる、かなり実用的、というか、もはや高速走行になくてはならない機能だと感じている。具体的には、渋滞によるノロノロ運転中でもペダル操作不要で、運転にかかわるストレスが低減されるとともに、渋滞でクルマがストップした際、自車は自動で止まり、車種、機能によって約3秒間、またはそれ以上の時間、ブレーキホールド機能が働き、ブレーキを踏み続ける必要はない。前車が動き出せば、ACCスイッチ、またはアクセルペダル操作、あるいは完全自動で自車も再発進、前車への追従走行を再開してくれるのである。まさに自動運転の入り口にある機能と言っていい。
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もし、2022年のGWにすでに高速道路を利用してドライブに出かけている、またはこれから高速道路を利用してドライブする予定があるなら、ぜひACCを使った安全快適なドライブを楽しんでもらいたい。ACCが付いているクルマなのに、まだACCを使ったことがない・・・というドライバーも、これを機会に、取扱説明書を引っ張り出して機能を理解すれば、それほど面倒なく使いこなせるはずだ(日産はプロパイロット、スバルはアイサイト、トヨタやマツダはレーダークルーズコントロールといった呼び方をしている)。
日産プロパイロット
多くの車種の場合、ステアリングのメインスイッチをONにしてから、SETボタンを押せば、現在走行中の速度でACCが起動する。設定速度を高めたい、下げたい場合は、SET(-)/RES(+)ボタンの上下で設定する。設定速度はメーター内のACC作動画面に表示されることになる。前車との車間距離も任意に決めることができ、クルマと横白線のアイコンのあるスイッチ操作で(押すたびに間隔が変わる)設定できる。
また、ACCにレーンキープ機能が付いているクルマなら、道路とハンドルのアイコン(一例)が付いたボタンを押すとONになり、レーンの中央付近をキープして走ってくれるから(ゆるやかなカーブを含む)、ペダル操作だけでなく、ステアリング操作も楽になる(手を添えていなければならない)。つまり、ACCのメインスイッチ、SET(-)/RES(+)ボタン、車間距離設定、レーンキープ機能の最大5つのボタンの機能さえ覚えれば、誰でも使いこなせるはずである。
ルノー・アルカナ
このGWで初めてACCを使うドライバーがちょっと緊張しそうなのが、前車が減速し、自車も同時に減速した際、前車にぶつからずに減速、または止まってくれるのか?・・・という点だろう。なので、最初はACC作動時でも右足をブレーキペダルに軽く乗せておくと安心だ。ちなみにACC作動時、ブレーキを踏むとACCは解除されてしまうので、「うっかり」がないように注意が必要だ。
また、一般的なACCは一度、速度を設定すると、カーブや高速道路の降り口でもその速度のまま走ってしまう。よって、スピードが出すぎた状態でカーブや高速道路の降り口に突っ込んでしまう。事前にブレーキを踏む(ACCは解除されるから、その後、RESボタンを押して復帰させる)か、筆者のように、ACCの速度設定ボタンを長押しして設定速度を10km/hごと落とす・・・といった、減速のための裏技が必要になる。
が、そうしたACCの便利さをさらに高めているのが、スバルのアイサイトXや日産プロパイロット2.0といった、高精度地図データ、GPS、天頂衛星などを用いた高度なACC機能だ。カメラが速度標識を読んだり、高精度3D地図データがカーブや料金所などを認識するため(天頂衛星では複数のレーンも認識)、カーブ手前速度制御、料金所手前速度制御などが可能になり、例えばスバルのアイサイトXでは、約50km/h以下で作動するハンズオフドライブも実現する(車内のカメラがドライバーを常に監視していて、ドライバーが前を向いている・・・という条件付き)。さらに、一般的なドライバーがレーンチェンジするより遥かにスムーズかつ安全に自動レーンチェンジまで行ってくれる車種、機能もあるから、高速走行での安全性は高まり、ドライバーのストレスは激減。同乗者も一段と快適に乗っていられるのである。
スバル・レヴォーグ アイサイトX装着車
日産スカイライン プロパイロット2.0装着車
現時点で高速道路同一車線でのハンズオフドライブが可能なのは、スバルのアイサイトX装着車(レヴォーグ、アウトバック)、日産のプロパイロット2.0装着車(スカイライン、アリア)、トヨタ最新のトヨタセーフティセンス+アドバンストドライブ渋滞支援(ノア&ヴォクシーは0-約40km/h)などで、車種は限られているものの、GWの高速道路渋滞時には、一般的なACCよりさらに役立ってくれること、間違いなしである。
そんなハンズオフドライブだが、ひとつだけ、注意点がある。この時代だから、運転中もマスクを着用しているケースもあるはずだが、スバルのアイサイトXを装備したレヴォーグとアウトバックを試乗した経験上、カラーマスクだと車内のカメラがドライバーの顔を認識できないようで、実際、グレー、タークグレー、ライトグレーのマスクをしていると、顔認識されず、ハンズオフドライブは不可。白いマスクに付け替えて、作動が開始された経験がある・・・。一例として、スバルのアイサイトX装着車のドライバーは、白いマスクでの運転が必須ということだ。
ということで、2022年のGW、ACC装着車に乗っているのであれば、高速道路のロングドライブ、渋滞時の運転が劇的に楽になるACCをぜひ使いこなして、安全、快適なドライブを楽しんでいただきたい。ちなみに、高速走行でACCを常用していると、燃費が良くなったり(無駄なアクセル、ブレーキ操作がないため)、ブレーキ、タイヤの摩耗が低減する可能性もあったりする(筆者の経験による)から、いいことづくめなのである。繰り返しになるけれど、往路、GW渋滞に遭遇しても、ACCを使いこなせばドライバーの運転のかかわるストレス、疲労は最小限で済み、元気ハツラツなまま、目的地に辿り着けることになる。
文・写真/青山尚暉
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みんなのコメント
でも、文明の力。 楽だわ。