現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > FFなのにカミソリのようなハンドリング!「2代目CR-X」はキレッキレの激辛ホットハッチだった

ここから本文です

FFなのにカミソリのようなハンドリング!「2代目CR-X」はキレッキレの激辛ホットハッチだった

掲載 更新 104
FFなのにカミソリのようなハンドリング!「2代目CR-X」はキレッキレの激辛ホットハッチだった

切れ味鋭い走りで新風を巻き込んだサイバー

 1987年9月、バブル真っ盛りのなかに登場し、「サイバー」の呼称で愛された2代目CR-X。先代のバラードスポーツCR-Xの後継モデルであり、4ドアセダンのバラードシビックの販売終了もあってホンダCR-Xの名を名乗ることとなる。 その走りはまさに痛快極まるFFホットハッチであり、1.6L直4DOHCエンジンは切れ味鋭く、高回転をキープすれば小気味よい走りが楽しめた。軽量ボディでワイドなトレッドと短いホイールベースで作り込めば、ファンな走りが実現できることを証明。走りのモデルといえばターボだ、FRだという風潮が残っていた時代にCR-Xは新風を吹き込んだ。

「タイプR」でも「SiR」でもないのになぜ? 新型シビックに6速MTが採用された理由とは

シビックより小柄なボディサイズで走りの切れ味を実現

 その理由は、ベース車両はワンダーシビックなのだが大きく作り分けられているのが特徴だ。ボディサイズは、シビック3ドアが全長×全幅×全高が3965×1680×1335mm、ホイールベース2500mmなのに対し、CR-Xは同3775×1675×1270mm、同2300mmと、ひとまわり小さく仕立てられたことでホットハッチらしい切れ味を実現していたからだ。

 スタイリングはいかにも空力が良さそうなフラッシュサーフェイスで、テールラインの整流効果もあってCD値=0.30を達成した。ルーフには解放感あるグラストップ、リヤハッチにはエクストラウインドウと呼ばれる、外部が見えるように透明化されたハッチを採用することで後方視界を確保。余談だが、このエクストラウインドウは初代&二代目インサイトにも同じ手法で採用されている。

 とくにグラストップはルーフのほぼ全体がガラスで、シビックのガラスサンルーフとの比較では1.7倍という広さ。キャノピーに包まれる天井部も戦闘機のコクピットのようなムードに一役買っている。ただ多層構造の熱反射ガラスが用いられており、本格的にジムカーナなどのモータースポーツを楽しみたい方からは「重いし割れる」とグラストップは避けられていた。

高回転&高出力のZC型など画期的なエンジンをラインアップ

 そんなサイバースポーツCR-Xに当初投入されたエンジンは3種類。まずは100ps/12.8kg-m(1.5X/4速AT)と105ps/13.2kg-m(1.5X/ 5速MT)のD15B型1.5L直4SOHC16バルブ。このエンジンにはカムシャフトをオフセットすることで点火プラグをセンターに設ける機構を搭載し、ワンカム4バルブを実現。出力と燃費のバランスを高次元で実現したユニットに仕上がっていた。 そして当時のホンダDOHCモデルの証でもあるトップグレードの「Si」には、1.6L DOHC16バルブのZC型直4エンジンを搭載。アルミ合金製エンジンブロックの採用や9.5という高圧縮比から130ps/6800rpm、14.7kg-m/5700rpmの高性能を発揮する。当時のF1と同じスイングアーム方式バルブリフトは、吸気側10.3mm、排気側9.0mmというリフト量を可能にし、さらに等長吸気マニホールドやバテット(必要部で肉厚を変化させた)構造の排気システムは4-2-1-3の排気脈動効果を持たせた形状を採用。高回転、高出力、高耐久性を実現した。

高出力がモータースポーツでは仇に!? ドラシャ破損が続出

 サスペンションはこの当時ホンダのお家芸となっていた4輪ダブルウイッシュボーン式を採用。ホンダとして当時すでに慣れたサスペンション方式にダンパーに力がかからないアーム配置とすることで、タイヤの性能を十二分に発揮させる、文字通り切れ味鋭いハンドリングに仕立てられていた。

 余談ながらモータースポーツでも活躍したCR-Xだったが、前述の通りルーフが重いグラストップは嫌われたうえ、ジムカーナなどでは「ダブルウイッシュボーンのドラシャ(ドライブシャフト)を折るな!」というメカニックの声がソコカシコから飛んでいたという。その理由はステアリングの舵角が大きいときに高トルクを与えると、破損する例が多かったのだ。 さらにダブルウイッシュボーンのドラシャの交換は面倒で、各チームのメカニックが奮闘していたことが懐かしい。ストラット式の倍の時間がかかるとか。それゆえジムカーナ場では、誰かに声をかければCR-Xの予備のドライブシャフトを売ってもらえるほど、定番の交換部品だった。

マイチェンで待望のDOHC VTECを搭載したSiRが登場

 1988年8月にABS(当時の表記はALB)、AT車に「P」のポジションでないとキーが抜けなくなるなどのインターロック機構が備わったCR-Xだが、クライマックスは1989年2月。ついにインテグラで話題沸騰となった、脅威の圧縮比11.1の自然吸気B16A型エンジンが「Si」の上位グレード「SiR」に搭載された。 100ps/Lを自然吸気ながら発揮するB16A型直4エンジンは160ps/15.5kg-mを誇った。当時のF1技術がフィードバックされたものであり、CR-Xにこそふさわしいと国内外のメディアで騒がれていたわけだが、ついにCR-Xに搭載されたのだ。

 加えて、新開発のビスカスカップリング式LSDやABS、本革シートや本革ステアリングが採用され、ハイマウント・ストップランプも装着。高性能な195/60R14タイヤとフロントには専用ベンチレーテッド・ブレーキを採用した。それまで185/60R14タイヤだったCR-Xも、見栄えではなくて走りのためにタイヤサイズをアップし、スポーツ性に磨きをかけた。 このサイバーの最終仕様は、見るからに走る気満々で乗って楽しい、走って楽しい一台だった。この時代のホットハッチの先鋒だった。

 走らせると、まあ、よく曲がる! 当時のFFスポーツの定石的な乗り方をすると、曲がり過ぎるぐらい回答性が良いと感じられた。もちろんFFの癖は顔を出したが、それはサイバーのトレッドやホイールベース、重量バランスやサスペンションのセッティングなど、ホンダが意地を見せた証。おそらく、FFはスポーツ走行はできないなんて誰が言ったんだ、と。 ボディサイズの違いからも明らかなように、シビックの3ドアとはまったく違う仕立てとなっており、サイバーは気持ちよい走りに特化させるべく作り上げたモデルなのだ。

サイバーはFFながら走る楽しさを教えてくれた希有な存在に!

 同様に、誤解されている方もいるようだが、初代バラードスポーツCR-Xも単にバラードのスポーツモデルではなかった。バラードCR-Xのデビューは1983年6月(発売は7月)で、2代目4ドアのバラードは1983年9月(発売は10月)。つまりバラードCR-Xの方が4ドアセダンのバラードよりも先にデビューしているのだ。 ボディサイズもバラードCR-Xが全長×全幅×全高が3675×1625×1290mm、ホイールベース2200mm、比較対象となる3ドアの3代目シビックが3810×1630×1340mm、ホイールベース2380mmなので、バラードCR-Xは一段とスポーツにこだわって作られたことがわかる。つまり「バラード」「サイバー」ともにCR-Xがどれほど本気で開発され、ホンダにとっては重要な車種であったが想像してもらえるだろう。

 こうして意欲的に開発されたCR-Xだが、輝いた時期はなんて短いのだろうか。だが、先代はバラード、後継がデルソルを名乗ったCR-Xだったが、いまも強く輝いているのは「サイバー」がもたらす走り。操るクルマに乗るその時間が楽しかったという証だと思っている。

 サイバーCR-Xは、短い期間ながらも強烈な輝きさを発揮したスポーツだった。

■CR-X SiR(2代目サイバー)

ボディサイズ

全長×全幅×全高=3800×1675×1270mm

ホイールベース=2300mm

トレッド前/後=1450/1455mm

エンジンタイプ=直列4気筒DOHC

総排気量=1595cc

最高出力=160ps/7600rpm

最大トルク=15.5kg-m/7000rpm

トランスミッション=5速MT

サスペンション  前後=ダブルウィッシュボーン/

ブレーキ 前/後=ベンチレーテッドディスク/ディスク

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
バイクブロス
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
バイクブロス
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
くるまのニュース
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
バイクのニュース
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ベストカーWeb
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
Auto Messe Web
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
Webモーターマガジン
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
くるくら
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
くるまのニュース
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
OPENERS
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース

みんなのコメント

104件
  • 給料、ボーナス全て注ぎ込み新車でSiRを買いました。ざっくり込み込み200万強だったと記憶してます。その後はボーナスを貰ったらホイール、ショック、サス、マフラー、オーディオなどの購入に全て充てて自分仕様に仕立てる楽しみもありました。あれから32年経ったのか…。あの頃に帰りたいな〜。
  • サイバーはどこを走らせても速かった

    バックミラーに映るハチロクなんて秒で消えた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

126.0158.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.0298.0万円

中古車を検索
CR-Xの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

126.0158.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.0298.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村